消防白書によれば、年間の・・・・・

などと書くと、とたんに引かれるおそれが大なので、ここはひとつ自分自身が消防に入る前に疑問に思っていたことを書いてみます。

それは、あんなに家が焼け崩れてしまってどうやって出火原因が分かるの? という疑問です。

初期の段階で鎮火していれば、延焼経路なども判断が一目瞭然で、家族の質問調書から、たとえば一時間前にたばこを吸ってそのガラスの灰皿で消したということが確認できれば、焼けこみ方からたばこと判定します。

じゃあ、でかい家が全焼して全部崩れている場合はどうなんだ? ということですよね。

炭化した柱の焼けこみ方とか、柱が倒れた方向とか、質問調書から延焼経路を推理していき、だいたいの出火室を決めて、そこを発掘します。

これがまた大変なんです。

出火室と推定した部屋から有力な証拠物件が発見できなければ次の部屋と、延々と作業は続きます。

まさかユンボでガレキをどかすわけにはいかないので、警察刑事課の火災調査担当官と一緒に作業します。

みんな手作業です。鍵となる物件を捨ててしまわないようにそれぞれが確認しながら不要な物を捨てて行きます。

出火室を限定していき、いくつも想定される出火原因になりうるものを探していきます。

電気線の断線具合とか、溶融痕の状況なども仔細に見て行きます。

石油ストーブであれば焼けて金属部分のみとなったスイッチが「開」になっていたか「閉」になっていたかを確認します。

焼け崩れていても、落下物を除去すれば床材の焼損の強弱が分かります。

畳みなんかとくに燃えにくいものなので、表面は炭化していても、裏側は残っていたりします。

その燃え方の強弱で出火個所、延焼経路を判定する場合もあります。

で、一番燃え方の強い個所に何が置いてあったか、家族の話から限定して行く、というパターンです。

放火の可能性のある場合など、焼残物を警察の科捜研と呼んでいる「科学捜査研究所」で分析して、灯油やガソリンの成分が含まれてないか、を確認したりもします。

この調査のあと、署で報告書を作るわけです。

図面を書いたり、質問調書や見分調書、火災原因判定書、損害算定書などを作成します。

この文書や図面作成の得意な人と不得手な人とが当然いるわけです。

体を動かすことは得意だが、こっちは超苦手という後輩がいました。

fire

口の悪い上司に徹底的に叱られた彼が、話のしやすい私のところに興奮した表情でやって来て、

「○○さんにめっちゃ叱られましたよ。なんで俺が叱られないかんのですか!

俺が何をしたって言うんですか! だいたい、俺が悪いんじゃなくて火事を出した人が悪いんじゃないですか!

怒るなら火事を出した人を怒らいいじゃないですか!!」

と、すごい剣幕で話しながらも、叱った上司に直にキレるわけにもいかず、ハアハア息を荒げて訴えていました。

理不尽なことを言うのは上司で、自分はあくまでも正論を述べているのだと信じて疑わない後輩の思考回路に乾杯!!

けっこう最近でもたばこが原因での火災って多いんですね。

出火場所を調査するときには、関係者に立ち会ってもらうんです。

ここには何が置いてあったとか確認するためと、これが原因だったというのを説明して納得してもらうためです。

明らかにたばこが原因だという火災の調査でも、たばこの不始末の張本人がくわえたばこで立ち会って、警察さんに叱られたるすると、

プッと吹きそうになります。

「お前らなぁ、俺を犯人扱いしとるんか、ええかげんにせえ、このぉ!」

とからんで来る方もいます。それも、けっこう。

消防職員は「まぁまぁ」という融和懐柔政策をチョイスするんですが、そこはさすが警察さんです。われわれとは違います。

「なにぃい、お前がここでたばこ吸ってたと、奥さんも言ってるんだぞ。

こんな迷惑をかけとって何大きな声出しとるんだ!! 起こったことは起こったことで、認めないかんだろうが!」

と一喝します。

そういう調査員の中にも愛煙家がいて、調査の合間に外に出ては煙を排出します。

消防隊員も、昔は呼吸器を使わずに屋内進入して消火してた頃もあって、煙の中で煤もあんなに吸っているのに、鎮火後に吸う一服が最高だという人がけっこういました。