最近は食事する時くらいしかテレビを見なくなりました。

先日、たまたまサスペンスの予告が流れていて、血まみれで倒れる役者の姿を見て、ふいにかつての救急出動のことを生々しく思い出しました。

「ああ、こんなだったなぁ」と。

額からぼとぼとと流れる血液で目が見えなくなった人や、ぱっくりと切り裂かれた身体の切り口に見える黄色い脂肪層、開放骨折で白い骨が露出した脚や、

血液のにおいや、救急車内のにおい、

車両前部がつぶれ、油圧拡張機で拡張し、挟まれた脚を引き抜く時の怒号のような指示命令の声、

いろんな記憶が次々によみがえりました。

沿道にずらっと並んだ野次馬に浴びせられた罵声も思い出しました。

交通事故と海水浴場の水難の場合は、すごい野次馬の数になります。

交通事故の場合は、かなり遠巻きに見て、

「おい! 消防、何やってんだ! それで給料もらっとんのか、お前ら!」

など、いろんな言葉が飛んで来ます。

夜の繁華街の近くであったりすると、えらいことです。

ある時、国道の歩道に並んでいた野次馬達が横転した車体の裏側を見ながら野次を飛ばしていて、

その反対側でどんなドラマが進行しているのかについてはまったく分からないわけです。

潰れた車体をエンジンカッターで切ったり、拡張機で広げたりして、車内の運転者を確認すると、すでに絶命していて、頭部はあり得ない形に潰れていました。

野次馬に見えないように毛布で隠したり、マスコミが撮影しようとする時などは、警察と協力してブルーシートで隠したりします。

たまにCPRをしながらストレッチャー移動する時に、野次馬が傷病者を見ることがあるんですが、さっきまでうるさく野次を飛ばしていたおじさんが、真っ青な顔にになり、急に無口になります。

そんな人ばかりではなく、中にはいろいろ協力してくれる人もいます。

現場によっては、救急車が到着する前に通行人によって車外に助け出されていて、タオルで止血がしてあったりすることもあります。

野次を飛ばす人は、邪魔はするけど手伝わないと相場は決まっているようです。