生き残るためには整理収納が必要と元消防士は考える

あなたは片付けが得意ですか?
どちらかというと、片付けが苦手だという人の方が多いのではないでしょうか。

私も、得意とは決して言えませんが、部屋の中がある程度散らかると片付けますね。
片付け始めると、今度はいろんな場所が気になって、整理収納どんどんやるぞモードになります。
本人が片付けが苦手といっても、他人から見ると、「フツーに片付いてるじゃない」なんてレベルが一般的ではないかと思います。

問題なのは・・・ゴミ屋敷状態の家屋です!

それもちょっと極端だと言われそうですが、ゴミ屋敷までいかないお家でも、整理収納がされてなくて危険とともに生活されているお宅もあります。
そんな屋内の整理収納作業の有無が生死を分けるというお話をしたいと思います。

防災的に問題ありな片付いていない家

ごみ屋敷の内部

消防士時代、私は火災の消火作業で他人様のお宅に土足でお邪魔する機会がよくありました。
ほぼ全焼状態で火勢が強すぎて屋内進入できない場合もあるんですが、そうでなければ、空気呼吸器を背負って屋内進入する場合もあれば、ボヤのときには素面で入って放水することもあります。

そんな消火作業の行く手をはばむのが、ときにはゴミの山であることがあります。

玄関を入って、我が目を疑ったことがあります。
上りがまちから廊下全体にゴミ袋が、腰の高さより上にびっしりと堆積しているのです。

なんとかその山を乗り越えて、出火箇所の台所にたどり着いたのですが、室内はさらに何層ものゴミ袋が山になっていました。
燃えていたのは、台所のガスコンロ周辺でした。

ガスコンロ周辺も、もちろんゴミが山になっていました。
そりゃ燃えるだろ~!
と、心の中でツッコみながら放水しました。

これが消防署から何キロも離れていたら、間違いなく全焼して、近隣に延焼しているところです。
可燃物の山の中で生活しているわけですから、常に火災の危険と同居していたことになります。

しかも、それだけではありません。
地震でも風水害でも、避難にかなりな時間を要することは間違いありません。

救急搬送をはばむ家

現場に到着した救急車

ゴミ屋敷の例を出されても、とお思いの方もいらっしゃるかもしれません。
なので次は、そこまでじゃなくて物が多いというレベルの家の話をします。

今度は救急の話です。
急病で高齢の男性が苦しんでいるという救急要請で出動したときです。

老夫婦2人の家庭なんですが、玄関を入ると、廊下の隅にずらっと物が並んでいるんです。
ひもでくくってある古雑誌や、使わなくなった家電などです。

普段はストレッチャーを転がして目的の部屋まで行くのですが、直進することができませんでした。
足をたたんで持ち上げて部屋まで行きました。

部屋の中は意外に片付いていました。
かなり苦しそうな状態の男性を、ストレッチャーに収容して搬送するのですが、これが廊下の角を曲がるのに手間がかかるんです。
とにかく物が邪魔をするので、重たい病人を乗せたストレッチャーを持ち上げて、体をひねってようやく角をクリアしました。
腰への負担は半端ありません。

普段だと、1分かからず屋外まで搬送できたはずなのに、何分もかかりました。
それだけ苦痛な時間が伸びることは、本人にとっても不本意だと思います。

しかし、これが一分一秒を争う病状であったり、呼吸停止してCPRしながら搬送する場合だと、たいへんなことです。

おそらく、収納庫とか物置などがなかったのでしょうが、普段からの整理収納は大切だと思いました。

整理収納がなされずに亡くなられたケース

火災の炎

私が消防士時代、消防隊として消火作業をするだけではなく、火災原因調査も担当していました。
焼損した家屋の焼落物を取り除いたり、発掘して調査をすることも珍しくはありませんでした。

逃げ遅れの情報があった場合は、出火点を限定して火災原因を調べるだけではなく、亡くなられた人を探さなくてはなりません。
そんな調査も何度もやったのですが、とても残念なケースがありました。

ようやく発見したそのお宅のご主人は、勝手口につながった廊下に横たわって焼落物の下になっていました。
もう少しで勝手口に到達するという場所でした。

全焼火災で屋根が焼け落ちても、発掘してどこに何があったかを調査します。
家人の説明で補完しながら調査していくと、勝手口近辺には物がいっぱい置かれていたようでした。
火のまわってくる方向に玄関があったので、勝手口に向かわれたのではないかと思います。

ちなみに、焼死の直接的な原因は、火傷ではなく一酸化炭素中毒で亡くなられる方が圧倒的に多いのです。
火がまわってくる前に、煙で行動できなるということを考えると、一秒でも早く避難できることが大切なんです。

整理収納されていれば、もしかしたら助かった命かもしれないと思うと、残念でしかたありません。

災害の種類を問わず整理収納は大切

いろいろと実際にあったケースをお話しました。

「整理収納」と聞くと、普通は美的観点とか、捜し物などで時間をロスすることがもったいないとか考えますが、それだけではないということですね。

どうも性格的に片付けが得意じゃないという方は、防災対策の一環として取り組まれるのがいいと思います。
もし、今台所で火災が起きたらこの状態で無事に避難できるかな?
もし、今地震が起きたらこの状態で無事でいられるだろうか?

時々、そんなふうにご自宅を見直してみられることをおすすめします。

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