喜びも苦しみも言葉にして伝えよう

生きていると、いいこともあれば、悪いことだって必ずあります。
その時々の思いを、言葉にして親しい誰かに伝えてください。

プラスの言葉を口にしなさいという教えが、いろんな人から言われています。
そんな本だって山ほどあります。
たしかに、日ごろからマイナス言葉ばかり口にしている人とのおつきあいは、ちょっとご遠慮申し上げたいと思うところもあります。

しかし、心のエネルギーが少なくなったり、枯渇しそうだったりするときにまで、無理に自分のマイナス思考を戒めて、プラス言葉を口にしようとしないでください。

心が弱っているときに、自分の心にウソをついてまでプラス言葉を口にしたり、プラス思考になろうとしたりすることで、体にまで悪い影響を与えることが科学的にも証明されています。

私がかつて勤務した消防という職業は、メンタルを壊す要因がかなり多い職業でした。
とくに災害時に悲惨な現場で活動することで、全国的にメンタルを壊す人がたくさんいました。

そんな災害時の活動でのストレス=惨事ストレス対策のひとつに、
「愚痴をこぼす」
「相談する」

ということが効果的だと言われています。

それは実際に阪神淡路大震災等で活動した消防官、東日本大震災で活動した自衛官など、対応された医師やカウンセラーの方が話していることです。

職業柄、「つらい」と感じたり、「苦しい」と弱音を吐きそうになったりする自分を、恥じてしまい、強い自分であろうとするために、そんな自分の心を隠そうとしがちです。

そんな思いは、「自分ひとりがこんなに弱気になっていて恥ずかしい」という思いにつながります。

同僚の実際の思いを知って、はじめて「自分だけではなかった」と思えることで心の回復が早まったそうです。

誰かに話を聞いてもらうことや、親しい誰かとともに時間を過ごすことが、日常生活のストレスにも、非常時の大きなストレスにも、とても効果があるということです。

コロナ禍になって、いつもは楽しいことを共有して、苦しいときには寄り添ってもらえた存在と会えなくなった人も多いと思います。
メールでも、電話でも、リモートでも、その時々の思いを伝えあうことがとても大事なことを思い知らされたここ数年でした。

中には、「思いを伝えあうような存在自体いないよ」という方もいらっしゃるかもしれません。
この世からいなくなってしまった人に、心の中で話しかける人もいれば、墓参りで話しかける人もいます。

お寺さんや神社でお祈りする人もいれば、住職さんや神主さん、そしてお参りをする仲間と話すことで心の平安を得る人もいます。

11月4日に鳥取市にある「メモワールいなば」という葬祭場で講演をしました。
と言っても、葬式の祭壇の前で話したわけではありません。

この日は「令和4年度 高野山真言宗枢議・参与・寺院檀信徒大会」ということで、以前ご本尊さまの前で講演させていただいた高野山真言宗最勝院のご住職からお話をいただいたのです。

早くから参加させていただいて一緒にお経を読ませていただき、ご詠歌を聞かせていただき、お話も聞きました。

たくさんの方が参加され、日ごろからお寺にお参りに行かれる方ばかりだからなのか、私の歌や話に明るく笑っていただきました。

まさに「釈迦に説法」なのではと思いつつ、私が消防現場活動で感じていた「今日一日いのちがあることのありがたさ」や、「幸せは日常生活の中にある」ということを現場活動のエピソードを交えてお話ししました。
涙をぬぐわれている方もいらっしゃいました。

お寺さんでお話させていただくときにいつも感じるのは、聞いてくださる皆さんがほんとに暖かいということです。
「そうそう」とうなづきながら聞いてくださる姿を見て、感謝の思いが自然にあふれるのを感じていました。

ほんとにありがとうございました。

項 目 内 容
講演会タイトル 令和4年度 高野山真言宗枢議・参与・寺院檀信徒大会
日 時 2022/11/4(土)
場 所 鳥取県鳥取市服部 メモワールイナバ