「鳥取弁で古里賛歌」読売新聞中国版で紹介されました。

2002年10月7日、読売新聞「このページに悲しいニュースはありません」コーナーで紹介されました。

自作CDが人気 実は消防士

いけん、いけん、いつもうちがもらうばっかりだらあぁあ、こがなことしなっと いけんけ、うち、よう返ししぇんじぇ……。
贈り物を受け取るのに、気恥ずかしくなるほど遠慮を繰り返すおばさんを、コミカルに描いた歌。
ギターをつま弾いて鳥取県中部の方言で歌うのは、同県羽合町の石川達之さん(45) 自ら率いるバンド「ハワイ笑歌村塾」のライブの一こま で、おじさんもおばさんも顔を見合わせて照れ笑い。

石川さんは地元の東伯消防署の消防士だが、昨年5月にCDを自主制作し、デビュー。
自ら作詞作曲のフォークソングがラジオ番組で紹介されたのがきっかけで、山陰地方で徐々に人気が高まった。
県内や隠岐(島根県)などでライブを重ねCDも自主制作では異例という約3千5百枚が売れた。

鳥取に生まれ育ち、高校時代はビートルズにあこがれていた。
大都会での生活を夢見て東京の大学に進んだが、卒業後は∪ターン。
田舎暮らしは性に合わないと感じていた。そんな時、何気なく方言で作った歌を口ずさむと実に素直な気持ちになれた。
「無いものねだりせずに、『羽合にこだわろう』」。わだかまりがなくなった。都会は都会と思えてきた。

「普通のことを方言で歌ったら面白いんちゃうか」
2000年に地元の音楽仲間3人でハワイ笑歌村塾が誕生した。
地味で引っ込み思案だといわれる鳥取人。二十世紀ナシと砂丘が有名だが、全国的な知名度はいまいち。

鳥取のつもりで鳥と取を逆に書く人や倉吉のつもりで倉敷と書く人。ああ、いけん、いけん。

「例えば鳥取のおばさんには独特の味わいがある。僕の歌を通じて不器用だけどユーモラスな鳥取人の素顔に触れてほしい」
笑歌村塾の歌を聴いて、夏休みの自由研究に地域の方言を調査しました、そんな小学生からのメールも届いた。

山深い鳥取の中部では、谷が一つ違うだけで言葉も違う。ステージに立ち、観客席で飛び交うお年寄りたちの方言に耳を澄ますのも大きな楽しみだ。

今年7月には2枚目のCDアルバム「いしかわくん」を発売した。
狙うは鳥取発のミリオンヒット「安易な故郷礼賛はしたくない。どこか突き放した目で見つめていたい」。
鳥取が好きだからこそ、そんな言葉にも嫌みがない。

Tシャツ姿の”歌う消防士”は、ギターをかき鳴らし、「鳥取賛歌」を奏でるのだらあぜ。