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「今の君に価値がある」定時制・通信制高校で伝えた命と進路

「将来の夢は何ですか?」

高校生になると、そんな質問をされる機会が増えるのではないでしょうか。

進学するのか、就職するのか。

どんな仕事に就きたいのか。

これからどのような人生を送りたいのか。

すぐに答えられる人もいれば、まだ分からない人もいると思います。

夢や目標を持つことは大切です。

目標に向かって努力するなかで、人は成長し、自分でも知らなかった力に気づくことがあります。

しかし、すべての人が今すぐ夢を見つけられるわけではありません。

将来のことを考える余裕がないほど、心が疲れているときもあります。

夢が見つからないことや、思うように前へ進めないことによって、自分の価値までなくなったと思わないでほしい。

そんな思いを、鳥取県内の定時制高校と通信制高校の生徒の皆さんにお話ししました。

キャリア教育だからこそ、命について話したかった

2019年11月、鳥取県立倉吉東高等学校定時制のキャリアアップ講座でお話ししました。

演題は、「今の君に価値がある~幸せはつかむものではなく気づくもの~」です。

翌12月には、鳥取県立鳥取緑風高等学校通信制の生き方・進路講演会で、

「高校生の君たちへのエール」

と題してお話ししました。

キャリア講座というと、夢や目標を見つけ、将来に向かって努力することを伝える場だと思われるかもしれません。

もちろん、それも大切です。

しかし、夢に向かって進む途中で、挫折することもあります。

自分が思い描いていた進路へ進めないこともあります。

そんなときに、

「夢がかなわなかったから、自分には価値がない」

「周りと同じように進めない自分は駄目だ」

と思ってほしくありません。

夢や目標よりも先に、自分の命を守ってほしい。

それが、消防・救急現場で多くの命と向き合ってきた私が、高校生の皆さんに一番伝えたかったことでした。

録画ではなく、できれば直接伝えたい

高校のキャリアアップ講座で歌う石川達之

鳥取緑風高校の通信制では、生徒の皆さんが2日に分かれて登校するため、講演を聴けない生徒には録画を見せるというお話がありました。

それでも私は、できることなら、両日とも学校へ行って直接お話ししたいと思いました。

録画にも、時間や場所を選ばずに見られるよさがあります。

一方、会場で生徒の表情を見ながら話すと、その日の空気に合わせて言葉の間を変えたり、大切な部分をゆっくり伝えたりできます。

歌も、同じ場所で一緒に聴いていただくことで、録画とは少し違った伝わり方をすることがあります。

そのため、12月15日と17日の2回、学校へ行かせていただきました。

夢が見つからなくても、今の自分に価値がある

夢を持つことは素晴らしいことです。

けれど、夢を持たなければならないわけではありません。

進む方向がまだ決められないときもあります。

いったん決めた進路を変えることもあります。

疲れて立ち止まることもあります。

それは、人生に失敗したということではありません。

今すぐ夢が見つからなくても、今の自分に価値があります。

誰かより早く進まなくてもいい。

少し休み、心と体に力が戻ってから、また考え始めてもよいのではないでしょうか。

救急現場から伝えた「また始めるために命を守る」

講演では、自ら命を絶とうとした方の救急現場についてもお話ししました。

感じやすい年代の生徒さんたちですから、具体的な方法や現場の状況は話していません。

私が伝えたかったのは、命を失うことの怖さで生徒を追い詰めることではありません。

苦しいときには、逃げてもいい。

立ち止まってもいい。

休んでもいい。

そして、一人で抱え込まず、誰かに助けを求めてほしい。

生きていれば、傷ついた心を休ませることができます。

少しずつ力を取り戻し、もう一度、自分の歩幅で始めることもできます。

救急搬送中に意識を取り戻し、二人で泣きながら抱き合った夫婦の姿を見たこともあります。

その姿から私は、人の気持ちは、苦しみのただ中にあるときから変わることがあるのだと感じました。

今見えている苦しさが、この先もずっと同じ形で続くとは限りません。

だからこそ、また始めるために、まず命を守ってほしい。

それが、私の願いです。

救急現場から学んだ「命の授業」については、生きているだけですごい!「命の授業」で話すことにも書いています。

少しレトロで熱苦しい歌は届くだろうか

講演では、オリジナルソングのギター弾き語りも行いました。

会場へ入る前には、少し心配もありました。

(私の、ちょっとレトロで熱苦しい歌が、高校生の皆さんに届くだろうか)

そんなことを考えていたのです。

ところが、生徒の皆さんはアコースティックギターにも関心を示し、歌にも耳を傾けてくれました。

話だけでは重くなりがちな命のテーマも、歌を挟むことで、自分の家族や大切な人を思い浮かべながら受け止めてもらえることがあります。

この日の高校生の皆さんにも、言葉と歌の両方で、私の思いを伝えました。

生徒たちから届いたメッセージ

講演後、生徒の皆さんが書いたメッセージカードをいただきました。

そこには、

「命を大切にします」

「感謝を伝えます」

という言葉がありました。

そして、

「歌がよかった」

と書いてくれた生徒もいました。

「命を大切に」という言葉だけでなく、歌のことを心に残してくれたこともうれしく感じました。

何年先、何十年先かに、心が苦しくて前へ進めない時期が来るかもしれません。

そのときに、講演で聞いたすべてを思い出す必要はありません。

「立ち止まってもいい」

「今の自分にも価値がある」

「生きていれば、また始められる」

そのどれか一つでも、心の片隅に残ってくれたらと思います。

今すぐ答えを出さなくてもいい

進路を決めることも、夢に向かって努力することも大切です。

けれど、今すぐ人生の答えを出せなくてもかまいません。

夢が見つからないとき。

思うように進めないとき。

自分を責めたくなったとき。

一人で何とかしようとせず、身近な人や先生、相談できる人に話してみてください。

歩き続けることだけが前進ではありません。

休むことも、助けを求めることも、方向を変えることも、その後の人生へつながる大切な選択です。

夢や目標よりも大切なものがあります。

それは、今ここにいるあなたの命です。

高校生の皆さん、そして講演の機会をつくってくださった先生方、本当にありがとうございました。

高校生向けの講演を企画されている皆さまへ

高校生向けの講演では、消防・救急現場で命と向き合った経験をもとに、命の大切さ、自分を否定しないこと、挫折したときにも助けを求めてよいことをお話ししています。

オリジナルソングのギター弾き語りを交えながら、生徒を励ますだけでなく、それぞれが自分の歩幅で将来を考えられる時間にしたいと思っています。

講演内容については、講演案内ページをご覧ください。

項目

内容

行事名

定時制キャリアアップ講座

日時

2019年11月13日

演題

今の君に価値がある~幸せはつかむものではなく気づくもの~

場所

鳥取県立倉吉東高等学校

対象

定時制の生徒

項目

内容

行事名

通信課程生き方・進路講演会

日時

2019年12月15日・17日

演題

高校生の君たちへのエール

場所

鳥取県立鳥取緑風高等学校

対象

通信制の生徒

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