笑いと涙で考える命の尊さ|長門市人権教育セミナー

長門市人権セミナーで話す石川達之

長門市では、初めての講演でした。

大きな会場を前に、

「皆さんは、どのように聞いてくださるだろう」

と、少し緊張しながら壇上に立ちました。

ところが、自己紹介を始めると、会場から笑い声が起こりました。

その笑いに背中を押されるように、私の緊張も少しずつほぐれていきました。

2018年12月2日、山口県長門市で開催された「第3回長門市人権教育セミナー~第39回日置地区あたたかいふるさとづくり研修大会~」で、講師を務めました。

演題は、「救急現場が教えてくれた命の輝き~言葉は心を伝えるためにある~」です。

目次

笑いから始まった人権講演会

会場は、日置農村環境改善センターの多目的ホールでした。

多くの地域の皆さんが参加してくださいました。

人権講演会というと、少し難しく、堅い話を想像される方もいらっしゃるかもしれません。

私は、最初から重い話を続けるのではなく、消防士時代に経験した、今では笑って話せる出来事も交えました。

救急隊員にとっては、そのとき本当に困ったり、冷や汗をかいたりした出来事です。

しかし、時間がたって振り返ると、どこか可笑しみのある現場もあります。

そんな失敗や本音も隠さずにお話しすると、会場から笑い声が起こりました。

講師と参加者の間にあった距離が、笑いによって少し近づいたように感じました。

消防・救急現場が教えてくれた命の重さ

会場の空気が和らいだあと、消防・救急現場で感じた命の重さについてお話ししました。

懸命に処置をしても、救うことができなかった命があります。

一方で、危険な状態から生還された方もいます。

事故や病気によって、それまで続いていた日常が、突然変わることがあります。

そのような現場では、傷病者本人だけでなく、無事を願うご家族の姿にも接してきました。

一人の命は、その人だけのものではありません。

その人を大切に思い、帰りを待っている家族や周囲の人の日常ともつながっています。

現場で活動するたびに、命の尊さを理屈ではなく、目の前の光景から教えられました。

講演で現場の体験をお話しすると、涙を拭く方の姿も見えました。

事故や災害の怖さを伝えることだけが、私の目的ではありません。

普段は当たり前だと思っている命や家族、人とのつながりを、もう一度見つめていただきたいと思っています。

人権は、日常の中にある

「人権」と聞くと、法律や制度について学ぶことだと思われるかもしれません。

もちろん、正しい知識を持つことは大切です。

しかし、人権は、家庭や地域で交わす日々の言葉にも表れるのではないでしょうか。

元気のない人に、

「どうしたの?」

と声をかける。

自分とは違う考えを、すぐに否定せずに聞いてみる。

お世話になった人へ、

「ありがとう」

と伝える。

苦しんでいる人を、遠くから眺めるだけでなく、

「何かできることはありますか」

と尋ねてみる。

一つひとつは小さな行動です。

それでも、誰かの命や気持ちを大切にすることは、そのような日常の言葉や態度から始まるのだと思います。

「あたたかいふるさとづくり」と人のつながり

今回の講演会は、「日置地区あたたかいふるさとづくり研修大会」とあわせて開催されました。

「あたたかいふるさとづくり」という大会名を、今、改めて考えると、人権をとても身近に表した言葉のように感じます。

温かい地域は、特別な誰か一人がつくるものではないのでしょう。

近所の人へ挨拶をする。

困っている人へ声をかける。

相手の話を、途中で決めつけずに聞く。

悩んでいるときに、「助けてほしい」と言える。

そうした小さなやり取りが積み重なり、人が安心して暮らせる地域につながっていくのではないでしょうか。

講演でお伝えした命の大切さや言葉の力も、「あたたかいふるさとづくり」と深くつながっていると感じています。

言葉は、人の心を支えるために使いたい

長門市人権セミナー講演会風景

この日の演題には、

「言葉は心を伝えるためにある」

という副題が付いていました。

心の中で相手を大切に思っていても、何も言わなければ伝わらないことがあります。

一方で、何気なく口にした言葉が、相手の心を傷つけることもあります。

だからこそ、自分が何を言いたいかだけでなく、

「この言葉は、相手にどのように届くだろう」

と、少し立ち止まって考えることが大切です。

言葉を、人を責めたり追い詰めたりするためではなく、相手の心を支えるために使いたい。

家庭でも、職場でも、地域でも、そのような言葉が増えてほしいと思っています。

講演後にいただいた言葉

講演が終わると、何人もの方が声をかけてくださいました。

「よかったです。感動しました」

そう言ってくださる方がいました。

「CDは、どこへ行けば買えますか」

と尋ねてくださった方もいました。

知り合いの方と一緒に来場された方からは、

「とても感動しました。機会があれば、もっと聞きたいです」

という言葉をいただきました。

講師である私が「よい講演だった」と評価するのではなく、参加された皆さんから直接言葉をいただけたことを、ありがたく感じました。

2年前の講演からつながったご縁

今回の講演依頼について担当者の方に伺うと、2年前に山口県美祢市で開催された山口県連合婦人会の講演を聞いてくださったことが、きっかけだったそうです。

一つの講演を聞いた方が、別の地域へつないでくださる。

講演活動を続ける中で、そのようなご縁に何度も支えていただきました。

初めて訪れた長門市で、多くの地域の皆さんへお話しする機会をいただけたことに、改めて感謝しました。

長門市の文化に触れて

金子みすゞ記念館の内部

長門市をゆっくり訪れるのは初めてだったため、前日に一泊し、市内を歩きました。

香月泰男美術館では、「シベリア・シリーズ」をはじめとする作品をじっくりと鑑賞しました。

金子みすゞ記念館では、詩だけでなく、その生涯についての展示も読みました。

作品や詩が生まれた背景に触れると、一つの表現や短い言葉の中にも、その人が生きた時間や思いが込められていることを感じます。

講演だけでなく、長門市の文化に触れられたことも、心に残る時間になりました。

開催概要

項目内容
行事名第3回長門市人権教育セミナー・第39回日置地区あたたかいふるさとづくり研修大会
開催日2018年12月2日(日)
開催時間9時30分~12時
演題救急現場が教えてくれた命の輝き~言葉は心を伝えるためにある~
会場日置農村環境改善センター・多目的ホール
所在地山口県長門市日置上5880番地1
主催長門市教育委員会、長門市人権教育推進委員会
主な内容命の尊さ、家族、人とのつながり、言葉の力、オリジナルソング

講演を準備してくださった長門市教育委員会をはじめ、関係者の皆さん、ご参加くださった地域の皆さん、本当にありがとうございました。

石川達之が講師を務める長門市人権教育セミナーのチラシ

自治体・地域団体の人権講演会を企画されている皆さまへ

私は、32年間の消防・救急現場で経験したことと、オリジナルソングの弾き語りを交え、命の大切さ、言葉の力、家族や地域での人とのつながりについてお話ししています。

人権という重いテーマを知識だけで伝えるのではなく、笑ったり、歌を聴いたり、自分の身近な人を思い浮かべたりできる時間を大切にしています。

自治体の人権教育セミナー、地域住民を対象とした研修会、あたたかい地域づくりを考える講演など、開催目的に合わせて内容を構成します。

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