自殺予防講演会
かつて私は救急隊員として、数多くの自損行為の現場に出動しました。
搬送件数は年々減少傾向にあるとはいうものの、実際に現場に出動する救急隊員としての実感は、「こんなに自殺しようとする人は多いのだ」というものでした。
消防士として活動してきた32年間のあいだに、友人や親族の自殺という衝撃的な出来事にも遭遇しました。同じ現場を体験しても、おそらくは他の隊員とは胸への突き刺さり方がずいぶん違ったのではないかと思います。常に、「他人ごとではない!」という思いで対応してきました。自殺現場で遺体にとりすがって泣き叫ぶ家族の姿が、かつての私達家族の姿と重なり、息苦しさを覚えながらの現場対応でした。
知人に言われたたったひと言で「死」を選らんでしまった人もいれば、友人のひと言で思いとどまった人もいます。
成人の4人に1人は「本気で自殺したいと考えたことがある」という日本財団の調査結果がありますが、SNSに自殺願望を投稿する中高校生も多く、事件に巻き込まれるケースも少なくありません。
中学生・高校生対象の講演会では、自損行為現場で命を落とさずにすんだことを、後日本人 から感謝された事例や、無理心中をしようとして命拾いをして泣きながら喜びあう夫婦の姿など、実際にこの目で見てきたことをお話しています。
自殺に楽な死に方なんてない
きれいな死に方なんてない
残された家族はこんなに悲しむんだ
自殺未遂で助かった人の喜び明かりの見えないトンネルの中にいるように思えても、生きていればいつかは出口が見えてくる
多感な年頃の生徒たちは、食い入るように真剣に聞いてくれます。
先が見えない不安が社会全体を覆うこんな時だからこそ、命の大切さ、生きることの尊さ、生きていることのありがたさを実感してもらう、そんな講演会になるように全力でお伝えいたします。
※「人権講演会」でも自殺予防について、「心の健康講演会」でもうつ予防についてお話しています。
参加者様の感想
死に瀕した多くの人たちに対応する火災・救急・救助現場場では、必死に生きようとする力に圧倒され続けました。単なる言葉ではなく、実感として「命の重さ」を思い知らされました。命だけではなく、他人の人権にも、自分自身の人権にも意識を向けることの大切さをお話します。
様々な労災事故に救急隊、救助隊として対応してきました。現場活動だけではなく、事故の原因なども調査するため、背景も知ることができました。個人のストレス対策から職場内でのコミュニケーションについて、私の消防士時代の現場体験をまじえてお話します。
「子育て」は人生の一大事業なので不安になるのも当然です。人生観と子育て観が激変した交通事故現場での体験を通して、親自身が元気で子どもに向き合う方法や、落ち込まないようにするコツ、子どもと共に成長するための考え方をお話します