2026年8月29日、兵庫県加東市で開催された人権講演会に講師としてお招きいただきました。
実は、加東市で講演をさせていただくのは2度目でした。
4年前にも、同じ会場で講演をしています。
ただし、そのときはコロナ禍。
会場に市民の皆さんを集めて開催することができず、ケーブルテレビの番組として収録し、後日何度か放送して市民の皆さんに見ていただく、という形でした。
拍手のない講演

4年前の講演会。
司会の方に紹介していただき、いつものように会場へ登場しました。
ところが、拍手はありません。
目の前にいるのは、参加者ではなくカメラです。
講演が始まり、いつものようにちょっとしたジョークを口にします。
しかし、会場は「シーン……」と静まり返っていました。
もちろん無観客なのですから、当たり前です。
コロナ禍の頃、テレビのバラエティー番組で芸人さんたちが、
「リモートはやりづらい」
「お客さんの反応がないと難しい」
と話しているのを、よく耳にしました。
その気持ちを、私も身をもって体験しました。
私は普段、会場の皆さんの表情を見ながら話します。
笑ってくだされば、そこからまたアドリブで言葉が出てきます。
「あ、ここはもう少し話してみよう」
「この話は少し短くしよう」
そんなことを、その場の空気を感じながら無意識に調整しています。
ところが無観客では、その反応がありません。
いつもなら自然に出てくるジョークも、だんだん出なくなりました。
気がつけば、いつもよりずっと真面目で、少し硬い講演になっていました。
決して、収録だから力を入れていなかったわけではありません。
精一杯お話ししました。
それでも、やはり何かが違うのです。
4年前の加東市での講演についてのブログはこちらです ↓
「誰もが笑顔で働くために」社員研修会で人権講演会
4年後、今度は皆さんの顔が見える

そして今回。
4年ぶりに同じ会場へ伺いました。
今度は、目の前にたくさんの参加者の皆さんがいらっしゃいます。
予想していた以上に多くの方にご来場いただきました。
話し始めると、笑ってくださる。
うなずいてくださる。
こちらをしっかり見ながら聞いてくださる。
その反応を見ているうちに、私自身もどんどん楽しくなってきました。
「そうそう、これだよなぁ」
思わず、そんな気持ちになりました。
消防士時代に経験した事故や救急現場の話をするときにも、皆さんの表情を見渡しながら話します。
うなずいている方がいる。
じっとこちらを見ている方がいる。
涙をぬぐっている方がいる。
そんな姿が目に入ると、自分でも声に力がこもっていくのがわかります。
講演は「一方通行」ではない
改めて感じたことがあります。
それは、講演というのは、講師が一方的に話をして、参加者の皆さんがそれを聞くものではないということです。
同じ場所に集まり、同じ時間を過ごす。
笑ったり、考えたり、胸がいっぱいになったりする。
講師も皆さんの反応を受け取りながら、言葉を返していく。
そうやって、お互いの感情が少しずつ動いていく。
その「熱」が、会場の空気をつくっていくのだと思います。
録画された動画を見てもらうことにも、もちろん意味があります。
オンラインだからこそ届けられる人もいます。
けれど、同じ場所に集まって顔を合わせるからこそ生まれるものも、やはりあります。
講演は「なま物」なのだと、4年前と今回の講演を比べて、あらためて感じました。
「支え合い」から「支え愛」へ

今回の講演では、消防・救急現場で経験したことを交えながら、命の大切さや、家族や身近な人とのつながり、心を支える言葉についてお話ししました。
そして地域の中で、
「おはようございます」
「元気ですか?」
そんな挨拶や、ほんの短い会話からでも、人と人とのつながりは生まれていくというお話もしました。
大げさなことをしなくてもいい。
誰かを気にかける。
声をかける。
話を聞く。
笑顔を返す。
そんな小さな思いやりが積み重なって「支え合い」になり、さらにそこに人を思う気持ちが加われば、
「支え愛」になっていくのではないでしょうか。
そんな思いをお伝えしました。
4年前とは違う歌を

私の講演では、お話の途中でテーマに沿ったオリジナルソングを歌います。
4年前のケーブルテレビの番組を見てくださった方もいらっしゃったと思います。
もっとも、4年前に私がどんな話をして、どんな歌を歌ったのかまで覚えている方は、そう多くないだろうとは思いました。
それでも、せっかくもう一度呼んでいただいたのです。
今回は曲を入れ替えて、4年前とは違う歌を歌わせていただきました。
歌っている間も、皆さんの表情がよく見えます。
涙をぬぐっておられる方もいました。
やはりこれも、目の前に皆さんがいるからこそ感じられるものです。
「やっぱり収録より生はいいですねぇ」
講演終了後には、何人もの方が声をかけてくださいました。
涙ぐみながら気持ちを話してくださる方。
満面の笑顔で、
「よかったです」
と声をかけてくださる方。
皆さんに喜んでいただけたことが伝わってきて、私も本当に嬉しくなりました。
そして今回の担当は、4年前にもお世話になった職員の方でした。
講演が終わったあと、
「やっぱり収録より生はいいですねぇ」
と言ってくださいました。
私も、
「本当にそうですねぇ」
という気持ちでした。
後日いただいたメールには、
「講演を依頼してよかった」
という言葉もありました。
講演を仕事にしている者にとって、これほど嬉しい言葉はありません。
人がいるから、言葉が生きる
4年前、誰もいない客席を前に話した会場。
そして4年後、たくさんの皆さんの笑顔や涙を見ながら話した同じ会場。
場所は同じでも、まったく違う時間になりました。
人に何かを「伝える」ということは、ただ言葉を発することではないのでしょう。
聞いてくださる人がいて、
笑ってくださる人がいて、
うなずいてくださる人がいて、
その反応を受け取って、またこちらから言葉を返す。
そうして初めて、言葉が生き始めるのかもしれません。
ご来場いただきました加東市の皆様、本当にありがとうございました。
そして担当職員の皆様には、会場到着時から温かく迎えていただき、機材の搬入から講演終了後の撤収までお手伝いいただきました。
細やかなお心遣いに、心より感謝申し上げます。
4年ぶりに、今度は皆さんと同じ空間でお会いできたこと。
とても嬉しい一日になりました。
ありがとうございました。
| 項 目 | 内 容 |
|---|---|
| タイトル | 令和8年度加東市企業人権教育協議会 市民公開講座 加東市広域隣保活動事業人権講演会 |
| 日 時 | 2026年8月29日(土) |
| 演 題 | 救急現場で学んだ命の輝き ~笑顔で暮らすために~ |
| 主 催 | 加東市企業人権教育協議会 加東市市民協働部人権協働課 |
| 場 所 | 兵庫県加東市社 加東市役所 2階201会議室 |
| 対 象 | 加東市企業人権教育協議会会員 加東市民 |
| 講演時間 | 80分 |
| 講演内容 | 人権・命の重さ・心の健康・地域の支え合い |





