愛する人の命を守る 私たちにできる交通安全への取り組み

「毎日どこかで大事な命が失われている」

これは私が作詞作曲した鳥取県交通安全協会の歌「安全の輪」の冒頭の一節です。
私がかつて消防士だった頃、日常的に交通事故現場に出動していました。

交通事故の被害状況は様々でしたが、共通していたのは、悲劇は予期しないときに突然やってくるものだということでした。

救急現場で見た現実

救急車にストレッチャーを収容する画像

当時、数多くの交通事故現場に出動しました。
その一つ一つの現場が、記憶に強く残っています。

軽自動車とトラックの衝突事故では、幼い男の子の兄弟が負傷し、弟は命を落としていました。
その姿を目にした時、言葉では表現できないほどの衝撃を受けました。

ドラマなどでよく「時間が止まる」という表現を耳にしますが、その時の私は、まさしくそんな状況で、一瞬全身がフリーズしました。

また別の事故では、深夜の単独事故で、電柱に激突して大破した車の中で、呼吸停止状態の青年がハンドルに胸に当てた状態でうつ伏せになっていました。
救助工作車で出動し、油圧拡張期でドアを開き、つぶれたフロント部分に挟まれた脚を抜く作業をやりました。

ようやく救急車に収容したとき、心臓マッサージを受けている青年の姿を見ると、胸が苦しくなりました。
結果的に、帰らぬ人となった彼は、当時の私よりかなり下の年齢でした。
彼にはやりたいことがたくさんあった、会いたい人が、たくさんいたはずです。
大切な人や会いたい人だって、たくさんいたはずです。
しかし、それももう叶わなくなりました。

また別の日、朝の通勤時間帯に、歩道に乗り上げた車が並木にぶつかった単独事故に出動しました。

運転席には意識を失った若い女性が乗っていました。
通いなれた通勤経路を、いつもと変わらずカーラジオを聞きながら職場に向かっていた彼女。なんでもない平凡な朝のはずが、一瞬で人生が変わってしまった瞬間でした。

危険は突然やってくる

若い親子が笑顔で楽しそうに話す画像

こんな交通事故現場に出動するたびに、危険は理不尽に突然襲ってくるものだということを痛感しました。
毎回、交通事故の無慈悲さに、胸を痛めると同時に、恐怖を感じました。

「絶対誰も望んでないのに毎日のように
 たくさん命を奪ってゆく 交通事故」

誰一人として交通事故を望む人はいません。
それでも毎日、日本のどこかで尊い命が失われているのが現実です。

私たち一人ひとりにできること

運転席の画像

交通安全のために私たちにできること、一つ一つは小さなことです。
その小さなことをないがしろにしないことが、私たち自身の命、また周囲の命を守ることにつながります。

  • 運転時の集中力維持 – スマートフォンの操作をしない、疲労していたら休憩する、運転を控える
  • 適切な車間距離の確保 – 「だろう運転」から「かもしれない運転」への転換
  • 歩行者としての注意 – 横断歩道での確認、夜間の反射材着用
  • 定期的な車両点検 – ブレーキ、タイヤ、ライトの確認

疲労運転だけではなく、日頃のメンタルヘルスもとても重要になります。
悩み事や不安を抱えていて、集中力を欠くことになれば、大事故に繋がる可能性もあります。

大切な人を守るために

安全標識

「あなただって大事な人を失いたくない
 自分自身も傷つきたくない そう思うはず」

衛生安全大会でこの歌を歌わせていただく機会があります。

あの日、あの残酷で悲しい現場で感じた安全への願いを、今後も伝えて行きたいと思っています。

大切な人の笑顔を守るために。 愛する家族との時間を守るために。 そして、誰もが安心して暮らせる社会を実現するために、一緒に「安全の輪」を広げて行きましょう。

「一般財団法人鳥取県交通安全協会」さんのホームページから「安全の輪」を聴くことができます。
 

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