おうちごはんが多くなると気をつけたい衣類着火の危険

新型コロナウイルス対策で外食回数がガクッと減って、全国的に自宅での食事が増えてますね。

外食しないとなると、おうちごはんとなるわけですが、どうしても冷凍食品やカップ麺的な食品が多くなりますね。
最近はずいぶんおいしいものが多くなったとはいうものの、毎食はきついので夕食くらいは手料理にするか、なんて家庭もあるんじゃないでしょうか。

自宅で調理する機会が多くなると気をつけたいのが、着衣着火による火災ですね。
着衣着火とは、文字通り着ている衣類に火がつくことなんですが、こんろの火などが着衣の袖や裾に着火するというのが一番多いです。

「自分たち家族は大丈夫だけど、田舎の親が心配」
という方もいらっしゃるんじゃないでしょうか。

確かに、着衣着火の火災は、ほとんどが高齢者ですが、それ以外の年齢層でもあります。
子どもの着衣着火の火傷というケースもありますので、注意するにこしたことはありません。
ふるさとのご両親の安全も、いまいちど考えてあげましょう。

私が鳥取県中部消防局に勤務していたころ、何度か着衣着火による火災に出動しました。
火災原因調査をやって気づいたことなど、着衣着火に対する注意点をお伝えしたいと思います。

着衣着火でどれくらい被害が?

ガステーブルの炎

消防庁発表の、令和元年9月6日付けの平成30年中の火災状況によれば、
住宅火災における死者(放火自殺者等除く)の発生した経過別死者数の中に、 着衣着火48人とあります。

これはあくまで住宅火災ですが、それ以外も含めると合計111人の死者数でした。
そのうち、65歳以上が100人と、ほとんどが高齢者というのが現実です。

全国でこの件数は少なく思えますが、死者数が111人ということは、死に至らなかった負傷者数については記載はありませんが、かなり多くなると思います。

私が消防士だった32年間、鳥取県の中部地域という全国有数の人口の少なさでも、着衣着火が何件かあり、負傷者を救急搬送したことが何度かありました。
ということは、危険性はどこでもあるということですね。

着衣着火といっても状況はいろいろ

仏壇の灯明ローソクに火をつける

着衣着火といっても、いろいろなケースがあります。

住宅内で一番多い原因は、こんろ(ほとんどがガスコンロだと思いますが)の炎が服の袖や、マフラーなどに着火するケースです。

「うちは田舎の親が心配で、調理はIHにかえたよ」という方も多いと思います。
昔と違って今は、ガスこんろも安全機能が充実してきて、天ぷらをするときに火がつっきぱなしでも、加熱防止装置が作動して自動消火してくれます。
鍋のかけ忘れでも、消し忘れ消火機能がありますし、煮物がふきこぼれても、立消え安全装置が作動してくれます。

以前、私が出動した事例で、天ぷら鍋のかけ忘れが原因の火災がありました。
「加熱防止装置がついているはずんなんだけど、なんで火災になったんだろう?」と、頭をひねりながら原因調査をしていたら、2口ガスこんろの片側1口にしか加熱防止装置がついていなくて、ついてないほうのゴトクに天ぷら鍋をかけていたことがわかりました。

高齢者が使うのであれば、安全機能の万全なものを買ってあげていただきたいと思ったものです。

よくある着衣着火の事例

・コンロの奥に置いてある調味料などを取ろうとして着火
・調理中に首に巻いていたマフラーの裾が、こんろの火と接触して着火
・仏壇のお供え物をとろうとして、腕をのばしたらローソクの火が服に着火
・電気ストーブに衣類が触れて着火

ずいぶん昔に私が救急出動したのは、子どもがライターで火遊びをしていて衣服に着火し、火傷を負ったケースです。
その後、いわゆる使い捨てライターは、安全装置がついて子どもの力では着火できないようになりましたが、それまではライターを使った火遊びからの火災もけっこうありました。

屋外では、ゴミ焼きをしていて火がついたというケースもありました。

今は、昔みたいに敷地内で焚き火のようにゴミを焼くことが条例などで禁止されているので、かなり少なくなったとは思いますが、畑で枯れ草を焼いたりなどは今もよくあります。
風の強さや着ている衣類には十分気をつけて、消火の用意もしていただきたいですね。

もし着衣に火がついたら

バーベキューの火

もし服やマフラーに火がついたら、近くに水があれば、すぐに水をかぶる

気が動転して(そりゃあわてますよね)、走り回ったりすると、よけいに火の勢いが強くなり逆効果になります。
そんなときには、地面に転がる

バーベキューの盛んなアメリカでは、走らない・地面に転がる「Stop,Drop,Roll」を標語にしているそうです。
(参考文献「火災の科学」辻元誠著)

着衣着火の防止対策

ガステーブルのゴトク

・防炎のエプロンなど防炎物品を使用する
・袖や裾が着火しやすい服は着ない
・仏壇の灯明を電気にする
・電気ストーブから安全な距離をとる
・ガスこんろの奥に調味料などを置かない
(こんろのまわりを整理整頓)

ご自身はもとより、ふるさとの実家に帰省の際には上記のことを確認してあげましょう。

ここのところ連日の新型コロナウイルス関連のニュースで、四六時中意識にのぼってきますが、それでも毎日どこかで火災は起こり、消防車は走っています。
病気も事故も火災も、遠ざけることができることには万全を尽くしたいものだと、私自身も自戒してます。