家族の「当たり前」を見直す男女共同参画|鳥取市で講演

男女共同参画講演会で話す石川達之

私の前には、透明な飛沫防止シート。

顔にはフェイスガード。

参加者の皆さんとの間隔も、いつもの講演会より広く取られていました。

2021年10月3日、鳥取市で開催された「第28回女と男とのハーモニーフェスタ」で、90分の講演を担当しました。

演題は、「泣いて笑って考えるコロナ禍での家族関係」です。

感染対策のため、定員を少なくしての開催でした。

いつもとは違う講演会場でしたが、同じ場所に集まり、お互いの顔を見ながら話を聞けることのありがたさを感じた一日になりました。

目次

消防・救急現場で感じた「当たり前の日常」

男女共同参画講演会で話す石川達之

講演では、消防・救急現場で経験したことをもとに、命の大切さ、家族への感謝、当たり前の日常のありがたさについてお話ししました。

事故や災害は、それまで続いていた日常を、突然変えてしまうことがあります。

朝、家族に「行ってきます」と声をかける。

仕事から帰り、「ただいま」と言う。

家族と一緒に食事をする。

たわいのない話をする。

そんな毎日は、続いている間は当たり前に思えます。

しかし、救急現場や災害現場では、その当たり前が決して約束されたものではないと感じる場面が何度もありました。

だからこそ、今そばにいる人を大切にすることや、感謝を言葉にすることを、講演の中でお伝えしています。

男女共同参画は、家庭の中にもある

「男女共同参画」という言葉を聞くと、行政の制度や職場の取り組みを思い浮かべる方が多いかもしれません。

もちろん、それらは大切です。

しかし、男女共同参画は、もっと身近な家庭の日常にも関係しているのではないでしょうか。

誰が食事を作るのか。

誰が洗濯や掃除をするのか。

子どもの学校や家族の通院について、誰が予定を把握しているのか。

高齢になった親のことを、誰が気にかけているのか。

家庭の中には、名前のつかない小さな仕事がたくさんあります。

その役割が、性別や昔からの習慣だけで、いつの間にか一人に偏っていることもあります。

やってもらっている側は、それが毎日繰り返されるうちに、「してもらって当たり前」と思ってしまうことがあります。

けれど、している側にとっては、時間も体力も気遣いも必要なことです。

男女共同参画を考える第一歩は、家庭や職場で誰かが担っている「見えにくい役割」に気づくことなのかもしれません。

「ありがとう」だけで終わらせない

私は講演で、感謝を言葉にして伝えることの大切さをお話ししています。

「ありがとう」と言われることで、心が軽くなることがあります。

自分のしていることを、誰かが見てくれていたと感じられるからです。

ただ、男女共同参画という視点から考えると、「ありがとう」と言うだけでは足りないこともあります。

一人に負担が偏ったまま、

「いつもありがとう」

と言い続けるだけでは、相手の疲れはなくなりません。

感謝を伝えることに加えて、

「何か私にできることはある?」

「今日は代わろうか?」

「この役割を一緒に分けられないだろうか?」

と尋ねてみる。

そして、実際に手を動かす。

感謝を言葉にし、負担にも気づき、できることを分け合う。

それが、家庭や職場でできる身近な男女共同参画ではないかと、今、改めて考えています。

「男だから」「女だから」が心を苦しめることもある

性別によって役割を決めつける言葉が、本人の心を苦しめることもあります。

「男なのだから、弱音を吐いてはいけない」

「女性なのだから、家族の世話をするのは当然だ」

「父親だから、家族を養わなければならない」

「母親だから、家事も子育てもきちんとしなければならない」

そうした考えに縛られると、疲れていても「助けてほしい」と言えなくなることがあります。

家族を大切にすることと、一人で全部背負うことは同じではありません。

男性でも、女性でも、つらいときには弱音を吐いていい。

得意な人ができることを担い、難しいときには助けを求める。

家庭でも職場でも、その人の性別ではなく、気持ちや状況を聞きながら役割を考えられる関係が大切ではないでしょうか。

これは、心の健康を守ることにもつながると思います。

人と話すことで、心が少し軽くなる

当時は、感染対策のため、人と会ったり、ゆっくり話したりする機会が減っていました。

この日の講演では、ストレスを一人で抱え込まないことや、気持ちを誰かに話すことについてもお伝えしました。

これは、特別な時期だけに必要なことではありません。

悩んでいるとき、人に話したからといって、すぐに問題が解決するとは限りません。

それでも、

「しんどかった」

「腹が立った」

「本当は寂しかった」

と口にすることで、自分の気持ちが少し整理されることがあります。

話す相手も、立派な助言をしなければならないわけではありません。

すぐに正しい答えを返すより、

「そうだったんだね」

「それは大変だったね」

と、まず話を聞く。

家族や職場で、そのような会話ができることも、人と人とが支え合うために大切だと思います。

笑って、泣いて、家族を思う時間

男女共同参画講演会で話す石川達之

私の講演では、消防・救急現場の体験談だけでなく、オリジナルソングの弾き語りも交えています。

この日も、笑いをテーマにした歌では、会場から予想以上の笑いが起こりました。

悲しい出来事を乗り越えた話や、救急現場で感じた命の重さについてお話しすると、涙を拭く方の姿も見えました。

笑ったり、泣いたりすることで、張り詰めていた気持ちが少し緩むことがあります。

家族をテーマにした歌を聴きながら、自分の家族や大切な人の顔を思い浮かべた方もいらっしゃったかもしれません。

講演が終わったあとには、笑顔で話しかけてくださる方や、涙を浮かべながら感想を伝えてくださる方がいらっしゃいました。

感染対策で距離を取っていても、同じ会場で心を動かし、言葉を交わせることを、私自身もありがたく感じました。

男女共同参画の講演でお伝えしたいこと

男女共同参画は、男性と女性を対立させるためのものではありません。

家庭、職場、地域の中で、誰か一人だけに役割や負担が偏っていないかを見つめ、互いの気持ちを聞きながら支え合うためのものだと、私は考えています。

消防・救急現場で感じた命の大切さ。

突然失われることもある、当たり前の日常。

そばにいる家族への感謝。

つらいときに弱音を言える関係。

「ありがとう」を言葉だけで終わらせず、実際に役割を分け合うこと。

私がお伝えしてきたこれらのテーマは、男女共同参画とも深くつながっています。

制度や用語を説明する専門的な講演とは違いますが、消防士、夫、父親としての経験を通して、参加された皆さんが自分の家庭や職場を振り返る時間をつくりたいと思っています。

パンフレットと機関紙で紹介していただきました

講演後、女と男とのハーモニーフェスタ実行委員会が作成された記録集を送っていただきました。

感染対策に配慮しながら開催された講演や催しの様子がまとめられており、私の講演についても掲載していただきました。

また、鳥取市男女共同参画センターの機関紙「輝なんせ鳥取」と「講座四コマ集」でも、講演を紹介していただきました。

輝なんせ鳥取の表紙
輝なんせ鳥取に掲載された石川達之の記事

開催概要

項目内容
行事名第28回女と男とのハーモニーフェスタ
開催日2021年10月3日(日)
時間13時30分~15時
演題泣いて笑って考えるコロナ禍での家族関係
会場鳥取大丸(現在の丸由百貨店)5階
開催地鳥取県鳥取市
主催女と男とのハーモニーフェスタ実行委員会
主な内容家族関係、感謝、当たり前の日常、心の健康、人とのつながり、オリジナルソング

ご参加くださった皆さん、そして感染対策を行いながら開催準備をしてくださった実行委員会の皆さん、本当にありがとうございました。

男女共同参画・人権講演会を企画されている皆さまへ

私は、32年間の消防・救急現場での体験とオリジナルソングを交え、命の大切さ、家族への感謝、心の健康、人とのつながりについてお話ししています。

男女共同参画を、難しい制度の話だけでなく、家庭や職場の「当たり前」を見直す身近なテーマとして考えていただく講演です。

開催目的や参加される方に合わせ、家族関係、役割分担、感謝、コミュニケーション、心の健康などから重点を決めて構成します。

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