300人以上が集まった会場で、知り合いの顔を見つけました。
その人が隣の方と顔を見合わせ、楽しそうに笑っている姿が見えました。
講演を終えて帰宅した頃、その知人からメールが届きました。
「今日、最高に楽しかった」
誘い合ってグループで来てくれていたようでした。
2020年2月11日、鳥取県湯梨浜町のハワイアロハホールで開催された「JA鳥取中央女性会大会・家の光大会」で講演しました。
演題は、「笑って伸ばそう健康寿命」
梨農家で育った経験や友人との別れを通して感じた、人とのつながりが心を支えることについて、笑いとオリジナルソングを交えながらお話ししました。
梨農家で育ち、助け合いの中にいた

今では、なかなか見かけなくなった風景があります。
昔の農家では、農繁期になると親戚や近所の人が集まり、互いの家の仕事を手伝うのが習慣でした。
田植えの時期には、大勢で田んぼに出ました。
私の実家は、稲作に加えて二十世紀梨を生産する農家でした。
梨の人工授粉や袋掛けの時期にも、親戚や近所の人が手伝いに来てくれました。
昼になると、集まったみんなで一緒に弁当を食べます。
午後3時には、作業の手を休め、お茶とおやつを囲みました。
作業の話だけでなく、いろいろな話をしながら、にぎやかに笑っていました。
子どもだった私は、そのにぎやかな時間がうれしくてたまりませんでした。
誰かの家の仕事を手伝い、次は別の家を手伝う。
一人では大変な仕事も、みんなで力を合わせて進めていました。
そこには、農作業を手伝うということだけではなく、人と人との温かなつながりがありました。
形を変えて残る地域のつながり

昔は、近所の家へ気軽に上がって話をしたり、足りない食材を借りたりすることも珍しくありませんでした。
今では、田舎でも近所の人のことをよく知らないという時代になりました。
農家の数も減り、農繁期に親戚や近所の人が集まる光景も、見かけることが少なくなりました。
それでも、人のつながりがすべてなくなったわけではありません。
JAの施設では、地域の人や同じ趣味を持つ人が集まり、味噌作り、焼き肉のたれ作り、料理教室など、さまざまな活動が続けられています。
作業をしながら話し、笑い合う。
形は変わっても、私が子どもの頃に見た温かな時間が、そこには残っているように感じます。
世代を越えた女子会のように会話が盛り上がる場所では、男性の私は少しお邪魔かもしれません。
それでも今回は、そんなJA女性会の集まりへ呼んでいただきました。
「和やかで盛り上がる内容を」

講演のお話をいただいたとき、担当者の方へ、
「どのような内容がよいでしょうか?」
とお尋ねしました。
すると、
「女性ばかりですから、和やかで盛り上がる内容がいいです」
というご希望でした。
私は、
「任せてください!」
とお答えしました。
以前は落語家や音楽家が出演されたと聞き、「それなら今回は、さらに盛り上がっていただこう」と張り切りました。
会場には300人以上が集まり、参加者の9割以上が女性でした。
これまでにも県内のJA女性会の行事へ出演する機会がありました。
どの会場でも、皆さんが元気によく笑い、温かく反応してくださいます。
今回も、自己紹介の段階から大きな笑いが起こりました。
笑い声がなかなか収まらず、次の話へ進めないほどでした。
明るく見える人も、苦しみを抱えている
会場では「健康寿命」についてお話ししました。
しかし、健康とは身体のことだけではありません。
心の健康も大切です。
私はかつて、親しい友人を自死で亡くしました。
いつも明るく、元気なスポーツマンでした。
ジョークが面白く、とてもいい男でした。
けれども、その明るさの奥で、誰にも相談できない苦しみを抱えていたことを、私は後になって知りました。
外から元気に見える人が、心の中でも元気だとは限りません。
笑っている人が、悩みを抱えていないとも限りません。
私たちは、相手の表情だけを見て、「この人は大丈夫」と思ってしまうことがあります。
けれども、苦しさを言葉にできず、一人で抱えている人がいるかもしれません。
悩みを生むのも人、支えてくれるのも人
私たちの悩みの多くは、人間関係から生まれます。
人に言われた言葉で傷ついたり、分かってもらえないと感じたりすることがあります。
その一方で、悩みを解決するヒントをくれたり、力を貸してくれたりするのも人です。
問題そのものがすぐに解決しなくても、誰かに話を聞いてもらうことで、暗くなっていた心に小さな明かりが見えることがあります。
つらいときに、
「最近どうしてる?」
と声をかけてくれる人がいる。
一人では行きにくい場所へ、
「一緒に行こう」
と誘ってくれる人がいる。
そんなつながりが、外へ出るきっかけや、もう一度笑うきっかけになることがあります。
講演会場で見つけた知人も、一人ではなく、誘ってくれた人と一緒に参加していました。
隣の人と顔を見合わせて笑う姿を見て、人とのつながりが持つ温かさを感じました。
JA女性会にある温かなつながり

会場に集まった皆さんは、とても明るく、元気で、パワフルでした。
しかし、その一人ひとりにも、これまでの人生で経験した悩みや苦しみがあるのだと思います。
それぞれの経験を重ねながら、今、仲間と同じ会場に集まり、心から笑い合っている。
その姿は、私が子どもの頃に見た農繁期の光景と重なりました。
畑の中でおやつを食べながら笑い合った時間。
一台のテレビを大勢で囲み、同じ番組を見ながら笑った時間。
人とのつながり方は、時代とともに変わります。
それでも、人と会い、話し、一緒に笑う温かさは、なくならないでほしいと思います。
JA女性会の活動は、地域の人が集まり、交流し、つながりを保つ大切な場になっているのではないでしょうか。
笑いと歌が広がった講演会
心の健康や人とのつながりについてお話ししながら、オリジナルソングも聞いていただきました。
硬い話だけではなく、しっかり笑っていただきながら、講演を進めました。
講演の最後には、アンコールをいただきました。
会場の皆さんの笑顔を眺めながら、もう一曲歌いました。
講演後には、サインを求めてくださる方や、一緒に写真を撮ってくださる方がいました。
「もっといっぱい聞きたかったです」
と、満面の笑顔で声をかけてくださる方もいました。
そして帰宅後、会場に来ていた知人から届いたのが、
「今日、最高に楽しかった」
というメールでした。
その言葉が、何よりうれしく感じられました。
誘って会場まで一緒に来てくださった方にも、感謝しています。
人とつながることで、元気を取り戻すきっかけが生まれる。
講演でお話ししたことを、私自身もあらためて感じた一日でした。
JA鳥取中央女性会の皆さん、ありがとうございました。
JA女性会・地域団体向けの講演をお考えの方へ
JA女性会・女性部、地域女性団体、自治体、地域づくり団体などで、人とのつながり、心の健康、健康寿命をテーマにした講演を行っています。
梨農家で育った経験や、消防・救急現場で命と向き合った経験をもとにしたお話へ、笑いとオリジナルソングの弾き語りを交えます。
重いテーマも一方的にお話しするのではなく、参加された皆さんと一緒に笑い、歌に耳を傾けながら考えられる時間をお届けします。
詳しくは、心の健康講演会の内容をご覧ください。
講演についてのご相談は、お問い合わせページから承ります。
JA鳥取中央との別の取り組みは、次の記事でも紹介しています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 講演会名 | JA鳥取中央女性会大会・家の光大会 |
| 日時 | 2020年2月11日(火)13:00~14:30 |
| 演題 | 笑って伸ばそう健康寿命 |
| 会場 | ハワイアロハホール |
| 所在地 | 鳥取県東伯郡湯梨浜町 |
| 主催 | JA鳥取中央女性会 |
| 参加者 | 300人以上 |

