「安全」とは、無事に帰って家族と過ごせること|岡山県での講演が広報紙に掲載されました

備北地区ゼロ災運動研究集会の風景

11月27日に岡山県高梁市で開催された「備北地区ゼロ災運動研究集会」での講演の様子が、「岡山県労働基準弘報12月号」に掲載されました。

郵送で届いた広報誌を手に取り、改めて当日のことを思い出していました。

目次

初対面の方々の心が動く瞬間

県外での講演は、いつもそうですが、主催者さんもスタッフさんも、そして参加される皆さんも、私とは初対面の方ばかりです。

最初は少し硬い空気が漂うこともあります。

ところが、講演が進むにつれて、だんだんと前のめりになって聴いてくださる方が増えてくるのがわかります。

その瞬間が、私にとって何よりのやりがいを感じる時間です。

この日は男性の参加者が多かったのですが、終わったあとに数人の方から声をかけていただきました。

「子どもがいるので、今日の安全の話はとても響きました」
「涙を我慢するのが大変でしたよ」

そう言ってくださる方がいて、素直に嬉しかったですね。

私が話すジャンルの講演会は、心が動いてこそ意味があると考えています。
ですから、笑いと涙は不可欠なんです。

そうした反応をいただけると、「伝わったんだな」と実感できます。

32年の消防現場で学んだこと

今回の講演テーマは「心の健康づくりで災害ゼロに」

私は32年間、消防士として働いてきました。

その中で痛感してきたのは、労災事故にも交通事故にも、メンタル面の影響が少なくないということです。

悩み事で眠れない夜が続いて、作業中に集中力が途切れる。

心配事を抱えたまま運転して、判断が遅れる。

事故の背景には、そうした「心の不調」が隠れていることが多いのです。

病人、けが人を医療機関へ安全に搬送しなければならない消防機関でさえ、毎年事故のニュースが流れます。

その原因は、交差点での安全確認不足や、無謀運転の車による衝突など、さまざまです。
でも、少なくとも、過労運転やメンタル不調での運転などは、未然に防げるはずなのです。

ベテランほど生まれやすい「油断」

安全大会講演スライドから「ベテランも注意」

もうひとつ、現場で学んだ大切なことがあります。

それは、意外なことに経験を積んだベテランほど、油断が生まれやすいということ。

もちろん、業務に熟練することは素晴らしいことです。

でも、それが「慣れ」になり、「まあ大丈夫だろう」という気持ちにつながると、それが「油断」となり、思わぬ事故を招いた現場にも出動したことがあります。

身体能力が高く、経験も豊富な人が、危険を冒して事故に遭うケースも見てきました。

自分では気づかないうちに、運動神経、反射神経、体力などが衰えている場合もあります。
注意力を切らさないで、安全確認を怠らないことが大切です。

「安全」の本当の意味

今回の講演で、私は一曲のオリジナル曲を歌いました。

『安全の輪』という歌です。

「安全」という言葉は、職場の現場でよく使われます。

でも私は、こう思うのです。

安全というのは、「無事に仕事を終えて家に帰り、家族に笑顔を見せられること」だと。

職場だけのことではなく、自分を待っていてくれる家族がいる。
その存在を含めて、「安心・安全」というものを考えてほしい。

そんな想いを込めて、この歌を作りました。
歌詞の一部を紹介します。

毎日変わらぬ平凡な日々に突然やって来て
愛する人を奪ってく 労災事故
慌てず焦らず、心はいつでも落ち着ついていよう
誰もが笑える無事故の職場を目指していこう
あなたが笑顔で家路に着くことを
家族みんなで待ち望んでいる
心をいつも健康に保つために
毎朝みんな笑顔であいさつを
忘れず交わそうよ

広報紙に掲載いただいた言葉

岡山県労働基準弘報に掲載された石川の講演の記事

送っていただいたのは「岡山県労働基準弘報12号」です。

広報紙には、講演について「単なる知識の伝達にとどまらず、心に響く『体験』として受け止められた」と書いていただきました。

また、「労災防止のためには、作業環境の改善だけでなく、働く人一人ひとりの心の健康が重要であることを実感した」

「歌と語りが融合した講演は、参加者に『安全はみんなでつくるもの』という強い印象を残した」とも書いていただきました。

これ以上ない言葉をいただき、感謝しかありません。

幸せは、気づくもの

親子が楽しく夕食を食べる風景

悲しいニュースをテレビで見るたびに、胸が痛くなります。

労災事故で、愛する家族を失った人たちの嘆き。

あなたが笑顔で家路に着くことを、家族みんなが待ち望んでいる。

そのことを、どうか忘れないでほしいという思いを、私が体験した救急現場のエピソードを交えてお伝えしました。

講演の最後に、いつもお伝えしている言葉があります。

「幸せは、つかむものではなく、気づくもの」

無事に今日を終えられること。
家族が待っていてくれること。

当たり前のように思えることが、実はどれほど尊いか。
そのことに気づける心を持ち続けていたい。

講演を通じて、そんな想いをこれからも届けていきたいと思っています。

岡山県労働基準協会の皆さま、そしてご参加いただいた皆さま、本当にありがとうございました。

岡山県労働基準弘報12号の表紙
岡山県労働基準弘報12号の石川講演の紹介記事

↑ 岡山県労働基準弘報12号

項 目内 容
タイトル備北地区ゼロ災運動研究集会
日 時2025年11月27日(木)
演 題心の健康づくりで災害ゼロに
主 催一般社団法人 岡山県労働基準協会新見支部
安全衛生委員会
場 所岡山県高梁市原田北町
高梁総合文化会館
よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次