やりたいことをやる人生にしよう|消防士が命の現場で学んだ後悔のない生き方

太陽を見上げ両手を広げる人

やりたいことを1ミリもやらずに死ぬのか

ふいに、そう思う瞬間がありました。

やりたいことがある。
でも、今から始めるのは遅すぎるんじゃないか。

生活費や住宅ローン、教育ローンの返済を、ずっと実行できないとの言い訳にしてきたことに気づきました。

そんな私の背中を押したのは、職場の先輩の死でした。 定年退職を目前にして癌が見つかり、退職辞令は病院のベッドの上で受け取ったそうです。 その数カ月後に他界。

文字通り寝食を共にした先輩でした。

「石川君、本当に今のままで後悔しないのか?」

「人間はいつ死ぬかなんて分からないぞ。やりたい事をやれよ」

仮眠室で横になっていると、頭の中で先輩の声が聞こえました。 それは自分が勝手に作り上げた空耳かもしれませんが、妙にリアリティーのある声がいつまでも耳に残っていました。

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先輩の死が私を動かしたのは確かです。 でも、先輩の死だけではなかった。

消防士として32年間、救急現場で何度も見てきた光景—— それが、もうひとつの後悔を、私に突きつけていたのです。

目次

救急現場で突きつけられた「命の時間」

煙の中の消防車

救急現場や救助現場でショッキングな光景を目にするたびに、人間はいつ死ぬのか分からないことを見せつけられてきました。

「朝、起きたら、隣で寝ていた主人が息をしていないんですよ」

「仕事に行かなきゃいけないのに起きてこないので、起こしに部屋に行ってみたら、動かないんです」

そんな119番通報を受けて、救急出動することが何度もありました。

えー、眠ってるんじゃないのか?
そう思うくらい安らかな表情で目を閉じている人もいました。

「昨夜は、いつもと変わりなかったので、まさかこんな・・・」

「どうにかならないんですか? 助けてください!」

若い人もいれば、高齢の方もいました。
家族の反応もまちまちでした。

数分前まで呼吸をしていた人を心臓マッサージしながら搬送した末、結局亡くなった人もいました。

そのたびに思いました。

明日が来ることを、誰も保証してくれない。
確率が低いというだけで、若ければ死なないというわけじゃない。

よく考えてみれば当たり前のことなのに、いつしか忘れていたのです。

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救急車の中で見えた、2つの後悔

夜中に走行する救急車

命の現場では、家族の絆も見えてきました。

「この人を何とか助けてやってください。この人がいなくなったら、私は生きていけないんです!」

泣きながら夫の手を握る妻の姿がありました。

どれだけ大切な存在か、どれだけ支えられてきたか。 その言葉から、長い年月を共に過ごしてきた夫婦の歴史が見えました。
きっと、普段はそんなことを口にする人ではなかったのだと思います。

「お母ちゃん、死なないで! 苦労ばっかりかけて、何もしてあげてないのに」

泣きながら母親に声をかける女性の姿がありました。

「何もしてあげてないのに」
その言葉が、救急車の中に響いていました。

もっと早く、もっと何かをしてあげたかった。
感謝の気持ちはあったのに、言葉にも行動にもしてこなかった。
そんな後悔が、その一言に凝縮されているようでした。

「お母ちゃん、いっぱい愛してるよ」

意識が薄れていく母親に、必死で声をかけ続ける娘の姿もありました。

救急車の中で、その短い時間に、家族の関係性や人生の縮図が見えることがありました。

そして、何度もそんな光景に立ち会ううちに、気づいたのです。

泣き崩れる家族の姿に共通していたもの、
それは、「伝えておけばよかった」という後悔でした。

ありがとう、と言っておけばよかった。
大切だよ、と伝えておけばよかった。
もっと一緒にいる時間を作ればよかった。

そして、私はもうひとつの後悔にも気づきました。

この救急車の中で泣いている人たちは、たぶん、やりたいことも後回しにしてきたのではないだろうか。

もっと自分らしく生きておけばよかった。 やりたかったことを、やっておけばよかった。
そんな後悔を同時に抱えている人が、少なくないのではないか。

救急車の中で泣き崩れる家族の姿を見るたびに、この2つの問いが胸に突き刺さりました。

やりたいことを、いつまで先延ばしにするのか。

大切な人に伝えたい想いを、いつまで言葉にせずにいるのか。

この2つの後悔は、つながっている

テーブルの上の朝食

何度もそんなことを考えたのですが、現場活動が終わり、日常生活に戻るとしだいにそんな思いも薄らいでいきました。

そんなことをくり返しながら、日々が過ぎていきました。

でも、救急現場での経験を重ねるうちに、少しずつ見えてきたことがありました。

「やりたいことをやらなかった後悔」「大切な人に想いを伝えなかった後悔」
この2つは、バラバラの話ではなかった。

どちらも、「先延ばし」が生んだ後悔だったのです。

やりたいことがあるのに、「いつかやろう」と先延ばしにする。
感謝の気持ちがあるのに、「わざわざ言わなくても」と先延ばしにする。

明日があると思っているから、先延ばしにする。
でも、明日が来ない人を、私は何人も見てきた。

先延ばしにした結果、取り返しがつかなくなる。
その痛みは、どちらも同じでした。

そして、もうひとつ気づいたことがありました。

私自身が、まさにこの2つを先延ばしにしていたのです。

やりたいことがあるのに、ローンや安定を言い訳にして踏み出さなかった。

会いたがって頻繁に電話をくれる母に対しても、いつでも会えると思い、たまにしか実家に帰らなかった。

妻や子どもに「大切だよ」と言葉にすることもなかった。

そばにいてくれる人の存在を、いつの間にか当たり前だと思っていた。

感謝を伝えたら、不安が薄らいでいった

妻に感謝の花束を渡す夫

それから早期退職願を提出し、ようやく講演家の道を歩み始めました。

正直、理想通りにはいきませんでした。講演の依頼が思ったほど来ない時期もありました。

でも、続けられたのは、「やりたいことをやっている」という実感があったからです。

それは「やりたくないこと」での困難ではなく、 「やりたいこと」をやる上での困難 でした。

その違いは、大きかった。

今は、一時は諦めかけていたやりたい事をやっています。
たくさんの人に出会い、生きがいが感じられる生活を送っています。

「◯◯さん、ありがとうございます。おかげでやっと本気で生きているって実感が持てましたよ!」
心の中で先輩に感謝を伝えました。

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後悔のない人生とは、この2つを先延ばしにしないこと

住宅街に朝日が登る風景

朝、いつものように目覚める。 今日、こうやって朝日を感じながら、大切な家族と語らい、出社して同僚とあいさつをかわす。

そんな平凡な日常こそ、最大の感謝に値することなのだと気づきました。

「今を大切に生きる」とは、2つの意味があるのだと思います。

1つは、自分らしく、やりたいことをやって生きること。

もう1つは、大切な人に、想いを伝えながら生きること。

この2つが欠けたとき、人は後悔を抱えます。

やりたいことをやらなかった後悔。
大切な人に想いを伝えなかった後悔。

この2つの後悔を同時に抱えてしまったら、自分の人生を肯定することが、とても難しくなるのではないでしょうか。

逆に、この2つを先延ばしにしなければ、たとえ突然の別れが来たとしても、後悔は少なくなるはずです。

もちろん、大切な人を失えば、誰だって「ああもしてあげればよかった」「こんなこともやってあげられたのに」と後悔することはあるでしょう。

それでも、感謝を伝えられていたなら、やりたいことを我慢せずに生きていたなら、喪失感も、自分への後悔も、いくらか癒やされていただろうと思います。

今日から、1ミリだけ動いてみる

講演のベンチに座る夫婦の後ろ姿

では、私たちは今日から何をすればいいのでしょうか。

いきなり大きく変える必要はありません。

まずは、1ミリだけ、動いてみてください。

やりたいことに、1ミリだけ近づく

・やりたいことについて、情報を集めてみる
・できる範囲で、小さく始めてみる
・信頼できる人に、想いを話してみる
・今は夢みたいな話だと思えても、将来の計画を、紙に書き出してみてください

大切な人に、想いを伝える

小さな「ありがとう」「大切に思っているよ」という言葉で十分です。

直接言葉にすることが恥ずかしいなら、手紙やメールでもいい。
一緒に散歩をする、食事を作ってあげる、それだけでも想いは伝わります。

「いつか伝えよう」と思ったら、それは先延ばしの始まりです。

今日、伝えてください。

後悔のない人生を、一緒に

住宅街に朝日が登る風景

これを読んでいるあなたに、先輩の言葉をもう一度伝えます。

「人間はいつ死ぬかなんて分からないぞ。やりたい事をやれよ」

そしてもうひとつ、救急現場で泣いていた家族の姿が、私に教えてくれたこと。

「大切な人への想いは、今日、言葉にしてほしい」

この2つが揃ったとき、あなたの人生は「後悔のない人生」へと変わっていきます。

やりたいことに、1ミリだけでも近づいてみてください。

そばにいてくれる人に、小さな感謝を伝えてください。

たとえ何年先でも、何歳になっても、お互いに後悔のない人生を歩んでいきましょう。

まずはほんの小さな事からでも、今日から始めてみましょう。

後悔のない人生を、一緒に歩んでいきましょう。

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