2025年8月27日、鳥取県八頭町の丹比地区まちづくり委員会さんからご依頼をいただき、地域の皆さんに向けて講演をさせていただきました。
会場に着いて驚いたのは、予想以上に大勢の方が集まってくださっていたことです。そして何より、皆さんのとびっきりの笑顔。初対面の方ばかりでしたが、とても気さくに話しかけてくださいました。
この日の講演では、消防・救急現場で経験したことをもとに、笑うこと、家族や身近な人へ感謝を伝えること、人と集まって交流することの大切さを、オリジナルソングを交えながらお話ししました。
ただ話を聞いていただくだけではありません。講演前には私も一緒に体操をし、講演後にはお茶を飲みながら皆さんとお話しするという、私にとっても新鮮で温かい一日になりました。
百歳体操に初挑戦

講演が始まる前に、参加者の皆さんが定期的に取り組んでいる「いきいき百歳体操」が始まりました。
せっかくの機会なので、私も参加させていただくことにしました。
「いきいき百歳体操」は、高知市で生まれた、重りを使ってゆっくりと体を動かす体操です。椅子に座って映像を見ながら、一つひとつの動きを丁寧に行います。
「百歳体操」という名前を、この日初めて目にしました。
(百歳まで元気でいられそうな、なんとも縁起のいい名前だなあ)
そんなことを思いながら始めたのですが、普段から筋トレをしている私にも、けっこうこたえる動きがありました。

勢いをつけず、ゆっくり丁寧に動かすからこそ、筋肉にしっかり効いているのが分かります。
参加者の皆さんが、この体操を定期的に続けていらっしゃることにも感心しました。運動だけでなく、顔を合わせて一緒に取り組む時間そのものが、皆さんの楽しみになっているのだと思います。
会場に広がっていった笑顔

60分の講演が始まると、最初は少し緊張気味だった皆さんの表情が、少しずつやわらいでいきました。
消防士時代の体験をお話しすると、じっと耳を傾けてくださる。少し笑える話になると、あちらこちらから笑い声が聞こえてくる。
ギャグソングを歌うと、今度は手をたたきながら笑ってくださいました。
一人が笑うと、その隣の方も笑顔になる。その笑顔を見て、私も楽しくなってきます。
講演は、講師が一方的に話すだけのものではありません。聞いてくださる方の表情や反応を受け取りながら、一緒にその場の空気をつくっていくものなのだと、改めて感じました。
まだ温かかった、お母さんのお弁当

講演では、私が救急隊員だった頃に経験した、忘れられない出来事もお話ししました。
冬の寒い朝、バイク事故の救急要請がありました。
凍結した畑の中で倒れていたのは、19歳か20歳くらいの青年でした。心肺停止の状態で、急いで心臓マッサージをしようと革ジャンの胸のファスナーを下ろしましたが、途中で引っかかって開きません。
胸の中から出てきたのは、まだ温かいお弁当箱でした。
お母さんが、就職したばかりの息子のために、朝早く起きて作ったお弁当。寒い朝だったので、青年はホッカイロ代わりに胸に入れていたのかもしれません。
心臓マッサージをしながら、私は思いました。
「お母さん、いつも弁当をありがとう」
きっと、そう伝えたかったのではないだろうか。
願いもむなしく、その青年の命は戻りませんでした。
救急車に揺られながら、私は決心しました。
(自分は、ちゃんとおふくろに伝えよう。産んでくれてありがとうって)
この話をしている間、会場は静まり返っていました。皆さんが、それぞれの大切な人を思い浮かべながら聞いてくださっているように感じました。
この出来事については、次の記事に詳しく書いています。
「生んでくれてありがとう」と伝えたくなったきっかけは交通事故
「ありがとう」は、言わないと伝わらない

講演の後半では、家族へ感謝を伝えることについてお話ししました。
私は以前、耳の遠い父に「育ててくれてありがとう」と伝えたことがあります。
小さな声では聞こえませんから、かなり大きな声になりました。
「おやじぃー! 育ててくれてぇー、ありがとぉーーー!!」
この場面を再現すると、会場から温かい笑いが起こりました。
感謝の言葉は、心の中で思っているだけでは相手に伝わりません。私も父へ伝えるまでは照れくさくて仕方がありませんでしたが、言葉にできたことで、心の中に温かいものが残りました。
講演後、一人の女性が私のところへ来て、こう話してくださいました。
「私も今度、息子に『ありがとう』って言ってみようと思います。恥ずかしいけど、言わないと伝わりませんからね」
その言葉を聞いて、講演をさせていただいた意味があったと、心から思いました。
懐かしい歌で学生時代を振り返る

講演では、昔の出来事や懐かしい記憶を振り返る「回想法」についても触れました。
その後、卒業をテーマにしたオリジナルソング「校庭」を、映像を流しながら歌いました。
皆さんの表情を見ていると、それぞれの学生時代や、当時一緒に過ごした人たちを思い出しておられるように感じました。
一つの歌をきっかけに、会場にいる一人ひとりの心の中へ、違う風景が浮かんでいたのかもしれません。
お茶の時間に見つけた、元気の理由

講演が終わると、グループに分かれてお茶の時間になりました。
私も加わり、たくさんの方とお話しすることができました。
ある方は、
「毎回この集まりが楽しみでね」
と話してくださいました。別の方は、
「ここに来ると元気になる」
と笑顔でおっしゃいました。
さらに何人もの方から、
「こんなに笑った講演は初めて」
「毎年来てください」
という、うれしい言葉もいただきました。
体を動かし、会話を交わすこと。定期的に集まり、顔を合わせて笑うこと。
この日の皆さんの様子を見ていると、そうした日常の積み重ねが、地域のつながりと一人ひとりの元気を支えているのだと感じました。
笑って、動いて、感謝を伝える

八頭町丹比地区での一日を通して、私自身も多くのことを教えていただきました。
ゆっくり丁寧に体を動かすこと。
一緒に集まり、顔を見ながら話すこと。
照れくさくても、大切な人へ「ありがとう」を伝えること。
どれも、特別な道具がなければできないことではありません。毎日の暮らしの中で、少しずつ大切にしていけることだと思います。
この講演の後、私たち夫婦も、運動だけでなく入念なストレッチを続けるようになりました。百歳体操で体験した「ゆっくり丁寧に動く」ということを、自分たちの生活にも取り入れています。
丹比地区まちづくり委員会の皆さん、そして温かく迎えてくださった参加者の皆さん、本当にありがとうございました。
皆さんの笑顔から、私の方がたくさんの元気をいただきました。
八頭町丹比地区 健康づくり講演概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 日時 | 2025年8月27日(水) |
| 主催 | 丹比地区まちづくり委員会 |
| 場所 | 鳥取県八頭町丹比地区 |
| 講演時間 | 40分 |
| 講演内容 | 消防・救急現場での体験談とオリジナルソングを交え、笑い、感謝、人との交流について伝える講演 |
地域・高齢者向け講演会のご依頼をお考えの方へ
地域の健康づくりをテーマとした講演では、32年間の消防・救急現場で経験したことをもとに、笑うこと、家族や身近な人へ感謝を伝えること、人と集まり交流することの大切さをお話ししています。
体験から生まれたオリジナルソングのギター弾き語りも交え、参加される方の年代や、地域・主催者様のご希望に合わせて講演内容を構成します。

