生きていることの輝き 中学生に伝える

私が講演で小学生、中学生、高校生にまず伝えたいのは、「命の大切さ」です。

小学生2人が建物の屋上から飛び降り自殺 などというニュースを目にすることがあります。
SNSに「誰か一緒に死んでくれる人いませんか」という書き込みが多いというショッキングなニュースも、何度も見ました。

消防士時代にたくさんの「死」に向き合ってきたからこそ伝えたいのは、
きれいな死なんてないよ
楽な死に方なんてないよ

ということです。

大切な家族が亡くなった時、残された家族はどんなに悲しむのか、ということも実際の現場で見てきた光景を話します。

一番大切なのは命だということを、皆さんに伝えに来ました。
現場で亡くなった人を見るたびに、生きていること自体がすごいことだと感じます。
夢が壊れても、悲しい出来事があっても、生きてさえいれば、またエネルギーを蓄えて、新しい夢を見つけることも、素晴らしい人と新しく出会うこともできます。

そして「感謝を伝える」ことが、相手だけではなく、自分の心も元気にしてくれるよ、ということも話しました。
これも、かつて私自身が勇気を出して、両親、妻、息子たちに「ありがとう」と伝えた経験を話しました。
講演の終わったあと、毎回何人もの生徒さんが、感謝のことばを口にしたり、メールで伝えたり、手紙を渡して伝えたりしたことを知らせていただきます。

2019年11月16日、鳥取県伯耆町の伯耆町立溝口中学校人権講演会で、そんな話を歌を交えて、中学生の生徒さんと保護者さんに伝えました。

溝口中学校校舎

2年前にも保護者と生徒が一緒に聞くという同じスタイルの講演をやりました。
その時の演題も今回と同じ「生きていることの輝き」でした。
担当していただいた先生が、前回と同じ話をしてやってくださいと、同じテーマを依頼されました。

当時の1年生が3年生になり、受け止め方も変化しているのではないかと思いました。

後日、先生が生徒さんの感想文を送ってくださいました。

プライバシーの問題もありますので、それぞれ部分的に抜粋してご紹介します。

石川達之人権講演会のアンケート

◆私は今まで家族や友人、自分のことを大切にしようとはあまり思いませんでした。
もし、自分が死んだら悲しむ人は、たくさんいることがわかったので、自分の命を大切にしようと思いました。
人生を大切に生きていきたいと思いました。
◆石川さんの消防の話は、とても悲しくて、心がしめつけられましたが、同時に心に深く刻みこまれました。
自分もこの先、たくさんの厚い壁にぶつかると思うので、えんりょせずに家族や信頼できる友人に悩みを相談したいとおもいました。
◆石川さんの講演は2回目でしたが、今日、私は命の大切さが以前よりもっとよく分かりました。
講演を聞いて特に私がしようと思ったことは「産んでくれてありがとう」と母に伝えるということです。1年生の時にも伝えましたが、もう一度伝えたくなりました。
◆私は石川さんのお話を聞くのは2回目で、1回目の時は恥ずかしくてお母さんに「産んでくれてありがとう」が言えなかったけれど、高校に進学する前に言いたいなと思いました。
石川さんの歌はとてもいい曲ばかりで、私は「梨のうた」が一番のお気に入りです。
◆すごいと思ったのは、歌です。3曲すべて良かったです。
僕も「産んでくれてありがとう」「育ててくれてありがとう」と思ったことはあるけど、それを親に伝えたことがないので、思いきって言いたいと思いました。伝えられないとしても、行動であらわしたいです。
◆石川さんの消防で体験したお話を聞いて、やっぱり消防士の人はすごいなと思いました。
亡くなった方の家族や友人が泣いている姿を見て胸がキュッとなるような感じになる、と聞いて、私も胸が痛くなりました。
改めて命の大切さが分かりました。
◆私は、石川さんの話を聞いて、せっかく親が産んでくれたのに、誰かの言葉で死んでしまいたいと思っている人や、亡くなっている人がいるので、苦しい事や、悩みごとがある時は、ずっと自分の心にしまっておくのではなくて、家族や、友達、先生などに言いたいです。
◆事故や火事で亡くなられた方の遺族は、残されてどんな気持ちになるのかということも分かりました。
バイクに乗っていて亡くなられた人の話が心に残っています。
梨の歌がとてもいい歌だなと思いました。

みんな長い長い感想文を書いてくれました。
予想以上に「歌がよかった」とか「歌詞の一言一言が響きました」と書いてくれた生徒さんが多かったのは嬉しかったですね。
最近の中・高校生だとヒップホップとかアイドルグループのリズミカルな曲が好みで、私のフォーク調の曲を聞いてくれるかと心配しましたが、逆に最近は生ギターの音に触れる機会が少ないのか、珍しがってくれたようです。

恥ずかしくて今は言えなくても、いつかは両親に「ありがとう」を伝えてくれることを祈っています。