「育て方を間違えたのかもしれません」
子育て講演会のあと、そんな思いを話してくださるお母さんがいます。
子どもを大切に思い、精いっぱいやってきたからこそ、叱りすぎた日や、向き合う余裕がなかった日を思い出してしまうのでしょう。その言葉を聞くと、私も自分たち夫婦の子育てを振り返ります。
私たち夫婦も、悩みながら子育てをしてきた
私たち夫婦の子育ては、完璧とはほど遠いものでした。
子どものことで心配になり、育て方について意見が違って口論になったこともあります。自分のこと以上に不安になり、「これでよかったのだろうか」と悩んだことは何度もありました。
それでも、互いに子どもたちを大切に思っていることは分かっていました。考えが違うときも、夫婦でたくさん話しました。
今思えば、子どもを思う気持ちがあっても、いつも穏やかに接することはできませんでした。親だって疲れますし、感情的になることもあります。
「完璧を目指さない」というのは、子どものことを適当に考えるという意味ではありません。思いどおりにできなかった自分を責め続けるより、気づいたところから、また子どもと向き合っていく。そのほうが、私たちには大切だったように思います。
「間違えた」と思ったとき、今からできること

叱りすぎたと思ったら、あとで「あのときは言いすぎた」と伝えることができます。伝えそびれた思いがあるなら、子どもが成長してからでも、自分の言葉で話すことができます。
もちろん、話せばすぐに分かり合えるとは限りません。思春期には、何を言っても返事がないこともあります。
私も当時は、息子にどこまで伝わっているのか分かりませんでした。
息子が大人になってから、一緒にお酒を飲みながら、あの頃の話をするようになりました。いわば、子育ての「答え合わせ」です。
聞いてみると、私が伝えたつもりでも伝わっていなかったことがあります。一方で、反応がないから届いていないと思っていた言葉を、息子が覚えていたこともありました。
「あの頃、なんで毎日ムシャクシャしていたのか、自分でも理由がわからなかったけど、ずっとそっけない態度を取ってて『申し訳ない』という気持ちと、感謝の気持ちはあったよ」
そんなことも話してくれました。
私たちが大切に思っていたこと、息子への愛情が伝わっていたとわかったことは、とても嬉しく思いました。
子育ての答えは、その場ですぐには分からないものですね。だから、過去を振り返って悔やむことがあっても、「もう遅い」と決めなくていいと思います。
子どもが今、何を考えているのか聞いてみる。自分の思いも伝えてみる。そのやり取りを、今日からまた始められるのではないでしょうか。
手城保育所で伝えた「子育ては親育ち」

こうした子育てへの思いを、広島県福山市の手城保育所で、保護者や職員の皆さんにお話ししました。
演題は「救急現場で学んだ子育ての原点 ~子育ては親育ち~」。消防士時代の経験や、私たち夫婦の子育てを振り返りながら、オリジナルソングも交えてお伝えしました。
講演前に音響の準備をして、声を確かめるために歌を1コーラス歌ったとき、会場の準備をされていた職員さんが涙ぐんでおられました。講演後には、参加された方から「涙が止まらなかった」「歌詞が心に響いた」という言葉もいただきました。
子育てについて話す講演ですが、私が完成された親として答えを伝えるわけではありません。悩んで、夫婦で話し合って、子どもからも教わってきた一人の親として、お話ししています。
「育て方を間違えたのかもしれない」と思う日があっても、その日まで子どもを大切にしてきた思いまで、否定しなくていい。そんなことを、これからも保護者の皆さんと一緒に考えていきたいと思います。

| 項 目 | 内 容 |
|---|---|
| タイトル | 手城保育所保護者会講演会 |
| 日 時 | 2023年6月3日(土) |
| 演 題 | 「救急現場で学んだ子育ての原点 ~子育ては親育ち~」 |
| 場 所 | 広島県福山市手城町 社会福祉法人福住会 手城保育所 |
保育所・幼稚園やPTAなどでの講演を企画されている方は、子育て講演会の内容をご覧ください。

