子育て、仕事、家事と、日々の忙しさに追われて、息苦しさを感じていませんか?
時には、 「なんで自分ばかりが大変な思いをしているんだろう」 と気持ちの余裕をなくして、悲観的になる瞬間もあるかもしれませんね。
私自身、かつて消防士として勤務していた頃は、隔日勤務であった上に、非番の日に招集されたりすることもあり、子育てが大変な時期に、あれもこれも中途半端で不満が蓄積していました。
私生活で、自分のやりたい事もできず、仕事でもミスを犯して思い通りにならない事も多く、自分だけが何をやってもうまくいかなんだと悲観的に過ごしていた時期でした。
そんな私の考えを一変させてくれた出来事がありました。
それはある救急現場での体験です。
少年を襲った交通事故

「中学生が車にはねられた!」
通行人の119番通報で出動しました。
道路上に倒れていた少年は、呼吸停止していたので、CPRをしながら病院へ向かいました。
現場からはかなり遠方の病院だったので、汗だくになって心臓マッサージを続けました。
病院のベッドに少年を移すと、
「年齢が若いので、蘇生の確率があるかもしれません。時間をかけてCPRをやりましょう」
ドクターの言葉で、看護師と救急隊員とが交代しながら心臓マッサージを継続しました。
かなり時間が経過したのちに、ドクターは心臓マッサージをする救急隊員を制止して、死亡時刻を告げました。
病院に駆けつけて来て、その様子を見ていた父親は、少年に向かって呼びかけました。
「目を開けろー!
お前はずっとがんばってきたじゃないか。
夏の暑い日もずっと部活をがんばったじゃないか。
お前ならがんばれる。
頼むから目を開けてくれー!」
朝、いつものように元気よく家を出て学校に向かった我が子が、まさかこの世からいなくなるなんて、そんなことを受け入れることなんてできなかったに違いありません。
父親の呼びかける声を聞きながら、私は自分の肩が大きく揺れるのを、必死にこらえました。
しかし、流れる涙を止めることはできませんでした。
少年の事を考え続けた夜

仮眠室のベッドに横たわりながら、少年の事を考えました。
道路に倒れていた通学用の自転車
転がっていた青いナップサック
泣きながら救急車を見送っていた同級生の泣き声
現場の状況や、目を閉じた少年の顔が浮かび、仮眠など取ることもできず、いろんな事を考えました。
青春真っ只中の少年は、きっといろんな話を友だちとしていたのでしょう。
将来の夢や、ゲームや、好きな女の子の事なども話していたのかもしれません。
もうすぐ高校生になる時期だったので、新たな環境に期待で胸をふくらませていたのかもしれない。
大好きな家族や友達と、もっと時間を一緒に過ごしたかっただろう。
そんな大事な大事な時間は、永遠に失われてしまった。
そう考えると、胸が苦しくなりました。
いつまでも、少年に呼びかける父親の声が響いていました。
少年の未来を私達は生きている

あの少年の失われた未来の時間を、私たちは生きています。
そんな大切な時間なのに、今までの私は、不平不満ばかりを感じながら毎日を過ごしていた事に気づきました。
毎日がつまらないとか、忙しいばかりでちっともいい事がないとか。
本当の苦しみも、悲しみも知らずに愚痴ってばかりいた自分が恥ずかしくなりました。
あの少年が過ごす事のできない貴重な時間を、間違いなく自分は生きているのだから、今のこの時間を大切にすごしていこうと思いました。
その後、私がずっと感じてきた事を、あなたに伝えたいと思います。
今この瞬間を大切にしよう

今までは、いることが当たり前だと思っていた家族。
その救急搬送を経験して、妻や子ども、両親、兄弟、友人にあらためて感謝しました。
感謝の思いを持つだけではなく、ふだんから相手に伝えておかないと、何かあれば後悔がずっと残ってしまいます。
言葉で伝えられる「ありがとう」は、とても嬉しいものです。
照れくさくてなかなか言えなかった「ありがとう」をたくさん伝えましょう。
亡くなった少年に、一番大切なことを教わりました。その時の具体的なエピソードの一部をこちらに書いています。
「心の中が震えるほどの感謝」
毎日忙しくてたいへんな事もありますが、家族と一緒に過ごす「今」という時間を、意識して楽しみ、大切にしましょう。
忙しすぎると、人生の優先順位を間違えてしまいがちです。
限りある人生という時間で、今は何が大切なのかを意識することで、優先順位が明確になります。
今、この瞬間を楽しみ、大切にしていきましょう。




