あの子が生きられなかった今日を僕たちは生きている

公園を歩く笑顔の少年のイラスト

子育て、仕事、家事と、日々の忙しさに追われて、息苦しさを感じていませんか?

時には、 「なんで自分ばかりが大変な思いをしているんだろう」 と気持ちの余裕をなくして、悲観的になる瞬間もあるかもしれませんね。

私自身、かつて消防士として勤務していた頃は、隔日勤務であった上に、非番の日に招集されたりすることもあり、子育てが大変な時期に、あれもこれも中途半端で不満が蓄積していました。

私生活で、自分のやりたい事もできず、仕事でもミスを犯して思い通りにならない事も多く、自分だけが何をやってもうまくいかなんだと悲観的に過ごしていた時期でした。

そんな私の考えを一変させてくれた出来事がありました。
それはある救急現場での体験です。

目次

少年を襲った交通事故

交通事故現場に少年が横たわり景観が調査しているイラスト

「通学中の中学生が車にはねられた!」

通行人の119番通報で出動しました。

道路上に倒れていた少年は、意識がなく、手当をしながら無線で状況を送りました。
自発呼吸があったので、酸素投与しながら、骨折の有無を確認しました。
収容する病院もすぐに決まり、ICUに収容しました。

夜になって、その後の経過を病院に確認すると、亡くなっていたことがわかりました。

救急隊員として、助けられなかった無念さと、無力感に襲われました。

少年の事を考え続けた夜

仮眠室で思いにふける消防士

仮眠室のベッドに横たわりながら、少年の事を考えました。

道路に倒れていた通学用の自転車
転がっていた青いナップサック
泣きながら救急車を見送っていた同級生の泣き声

現場の状況や、目を閉じた少年の顔が浮かび、仮眠など取ることもできず、いろんな事を考えました。

あの時、泣いて見送っていた友達と、きっといろんな話をしていたのだろう。
将来の夢や、ゲームや、好きな女の子の事なども話してきたんだろう。

もうすぐ高校生になる時期だったので、新たな環境に期待で胸をふくらませていたのかもしれない。

大好きな家族や友達と、もっと時間を一緒に過ごしたかっただろう。
そんな大事な大事な時間は、永遠に失われてしまった。

そう考えると、胸が苦しくなりました。

少年の未来を私達は生きている

部屋の窓からと奥を見つめる消防士

失われた少年の未来の時間を、私たちは生きています。

そんな大切な時間なのに、今までの私は、不平不満ばかりを感じながら毎日を過ごしていた事に気づきました。

毎日がつまらないとか、忙しいばかりでちっともいい事がないとか。
本当の苦しみも、悲しみも知らずに愚痴ってばかりいた自分が恥ずかしくなりました。

あの少年が過ごす事のできない貴重な時間を、間違いなく自分は生きているのだから、今のこの時間を大切にすごしていこうと思いました。

その後、私がずっと感じてきた事を、あなたに伝えたいと思います。

今この瞬間を大切にしよう

家族で仲良く食事をするイラスト

今までは、いることが当たり前だと思っていた家族。
その救急搬送を経験して、妻や子ども、両親、兄弟、友人にあらためて感謝しました。

感謝の思いを持つだけではなく、ふだんから相手に伝えておかないと、何かあれば後悔がずっと残ってしまいます。

言葉で伝えられる「ありがとう」は、とても嬉しいものです。
照れくさくてなかなか言えなかった「ありがとう」をたくさん伝えましょう。

亡くなった少年に、一番大切なことを教わりました。その時の具体的なエピソードの一部をこちらに書いています。
「心の中が震えるほどの感謝」

毎日忙しくてたいへんな事もありますが、家族と一緒に過ごす「今」という時間を、意識して楽しみ、大切にしましょう。

忙しすぎると、人生の優先順位を間違えてしまいがちです。
限りある人生という時間で、今は何が大切なのかを意識することで、優先順位が明確になります。

今、この瞬間を楽しみ、大切にしていきましょう。

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