あんなに可愛かった我が子が、私に向かって「うるせえなあ!」なんて言うんです。
保護者会の講演会で話し終わったあとに、話しかけてこられるお母さん方が多いのですが、よくそんな話を聞きます。
子どもさんが、中学生や高校生になると、多くのお母さんが通る道ですね。
「最近は、私と口もきいてくれないんです。親としての自信がなくなります」
中には、涙ぐみながら話される方もいらっしゃいます。
お父さんだって、かつては一緒に仲良くキャッチボールしていた息子に
「チッ!」
と舌打ちされた経験があるかもしれませんね。
話を聞きながら、私が激しい反抗期だった頃の母親のことを思い出します。
母も、同じように息子の言動に心を曇らせたり、心配したりしてたんだろうなあ。
心の中で母に手を合わせるのですが、実は当時は荒れていた私でしたが、心の中では母に申し訳ないという気持ちはありました。
おそらく、親に反抗的な態度を取る子ども達の多くは、親の愛情がわかっていながら、それでもモヤモヤとした思春期の悩みから、自分に一番近い存在の親に当ってしまうのでしょう。
やがて成長して大人になると、素直に話せるようになることも、その当時ではわかりません。
でも、しっかりと注いだ愛情は、反抗期の子ども達の心にも、ちゃんと蓄えられています。
本人がそのことに気づいたり、感謝を表現するまでには、まだまだ月日が必要なのでしょう。
4月21日は、広島県福山市の社会福祉法人わかば福祉会川口西保育所の参観日に、講演をやらせていただきました。
清水所長さんが、昨年の日本保育協会中国・四国ブロック研修会で私の講演を聞き、保護者の皆さんにも聞いてもらいたいということで、ご依頼をいただきました。
理事長さんや所長さんといろいろお話をする中、子育ての話から救急現場の話になりました。
講演の中でも、救急現場のエピソードをお話しました。
『あんなに可愛かった子どもが、どうしてこんな反抗的な態度を。
自分が親としてちゃんとしていなかったからだろうか』
などと、親としての自分を否定しないでください。
子どもは、言葉や態度に表さないけれど、ちゃんと親ががんばる姿を見ています」
涙を拭いながらうなづく方が何人もいらっしゃいました。
まず親が元気でいることが、子どもにとって大事なことです。
何歳になっても、子どもにとって親は大きなエネルギー源です。
悩みや不安をたっぷりと運んできてくれる子ども達ですが、同時にいっぱいいっぱいパワーや愛情をくれます。
憎まれ口を聞かれても、あとでそっと微笑んであげましょう。
子どもの心も、きっと「キュー!」となっているに違いありません。
この日も、たくさんたくさん笑って、泣いていただきました。
講演を終わって子どもたちの声の聞こえる園庭に出てみると、きれいに藤が咲いて、いい香りがしました。