「生きていてくれるだけで! 本当にそうだと思います」
2013年8月7日、鳥取県の湯梨浜町立東郷小学校で、PTA人権教育講演会を行いました。
演題は、「家庭と現場で学んだ人生の大切なこと」。90分間の講演でした。
消防士として命と向き合ってきた経験、息子たちと過ごした時間、そして妻が心の病気になったときに家族で支え合ったことなどをお話ししました。
講演後、保護者の方がアンケートに書いてくださったのが、冒頭の言葉です。
子どもには、元気に育ってほしい。幸せになってほしい。夢をかなえてほしい。
親だからこそ、いろいろな願いを持ちます。
けれども、その願いが強くなりすぎると、いつの間にか「こうあるべき」「こうなってほしい」という親の思いを、子どもに押しつけてしまうこともあります。
そんなときに戻りたい原点が、「生きていてくれるだけでありがたい」という思いなのかもしれません。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 講演会名 | 湯梨浜町立東郷小学校PTA人権教育講演会 |
| 日時 | 2013年8月7日 |
| 演題 | 家庭と現場で学んだ人生の大切なこと |
| 場所 | 鳥取県湯梨浜町・湯梨浜町立東郷小学校 |
| 主催 | 湯梨浜町立東郷小学校PTA |
消防士として働きながら、息子たちと過ごした時間

当日は暑い中、多くの保護者の皆さんが参加してくださいました。
保護者の皆さんは、それぞれ仕事や家庭のことで忙しくされています。
ちょうど子どもたちは夏休み中でしたので、時間をやりくりしながらでも、親子で一緒に過ごし、思い出を作ってほしいという思いを込めて、私自身の経験をお話ししました。
息子たちが小学生の頃、私は消防士として24時間の隔日勤務をしていました。
子どもたちからすると、朝から晩まで父親が家にいない日が、一日置きにあったわけです。
その分、非番の日には、できるだけ息子たちと一緒に過ごすようにしていました。
夏休みになると、家族でよくキャンプへ出かけました。
妻が仕事の日には、息子たちを遊具のある公園へ連れて行ったり、山までドライブしたりしました。
息子たちは、父親である私とよくしゃべり、よく遊んでくれました。
子どもたちのために時間をつくっているつもりでしたが、振り返ってみると、一緒に過ごすことで、私自身の心も癒やされていたのだと思います。
妻の心の病気に家族で向き合った
その後、妻が心の病気になりました。
息子たちはそれぞれ都会で暮らしていましたが、妻の病状が悪くなったときには、家族で力を合わせることができました。
私は息子たちに、こう話しました。
「お父さんの力だけでは、お母さんを元気にできないんだ。
君たちと力を合わせて、お母さんの病気を治してあげよう」
一人で何とかしようとするのではなく、息子たちにも力を貸してほしいという思いから出た言葉でした。
息子たちはその後、「父を尊敬しています」と人前で言ってくれるようになりました。
子どもの頃に多くの時間を一緒に過ごしたことや、母親の病気に家族で向き合ったことを通して、人を気づかうことや、優しくすることを学んでくれたのではないかと、私は思っています。
講演では、こうした個人的な家族の体験もお話ししました。
家庭から考える人権
人権という言葉を聞くと、少し難しく感じるかもしれません。
しかし、子どもを親の期待どおりに動かそうとするのではなく、一人の人間として、その存在や思いを大切にすることも、身近な人権ではないでしょうか。
子どもが生まれたとき、多くの親は、
「元気に生まれてきてくれてありがとう」
「生まれてきてくれただけでうれしい」
そんな思いを抱いたのではないかと思います。
ところが、子どもが成長するにつれて、期待も少しずつ増えていきます。
「もっと勉強してほしい」
「こういう人になってほしい」
「どうして、ほかの子のようにできないのだろう」
子どものことを思っているからこその願いであっても、その言葉が子どもを傷つけてしまうこともあります。
そんなときには、子どもが生まれた日の気持ちに戻ってみる。
「生きていてくれるだけでありがたい」
その原点を思い出すことが、親子の関係を見つめ直すきっかけになるのではないでしょうか。
この思いについては、次の記事でも書いています。
「生きていてくれるだけで」保護者の感想
後日、講演会のお礼と、取りまとめられたアンケートを郵送していただきました。
その中から、一部をご紹介します。
心が温かくなりました
石川さんのお名前は存じていましたが、お話もお歌も初めてお聞きし、とても心が温かくなりました。
家族を思う気持ちに同感し、涙が何回もあふれました。
また、親としても現役で夢を追い続けておられる姿を、私も見習いたいと思いました。
子どもにも夢を持って、実りのある人生を歩いていってほしいと願っています。
悩んだときには原点に戻る
生きていてくれるだけで! 本当にそうだと思います。
日々の生活に追われ、欲が出て、我が子が生まれた喜びや、生死をさまよったときの苦しみ、悲しみ、単純に愛する気持ちを忘れてしまいます。
毎日楽しく過ごしてくれたら、元気でいてくれたら。
悩んだり迷ったりしたときには原点に戻る。これからの生活の中で大切にしたい言葉でした。ありがとうございました。
我が子が改めて愛おしくなりました
石川さんのお話を聞いていて、改めて、生まれてきて、こうして生きてくれている我が子が愛おしく思いました。
「こうあるべき」「こうなってほしい」という親主体の心から怒りも湧き、子どもたちを傷つけていた言葉もあったなあと振り返りました。
心から愛する我が子たちに、その思いを、笑いを取り入れながら伝え、明るい家庭にしたいです。
保護者の皆さんが、講演を自分自身の子育てや家族に重ねながら聴いてくださったことが伝わってきました。
最後まで真剣に聴いていただき、本当にありがとうございました。
生活に笑いを取り入れる

毎日の生活では、仕事、家事、子育てなど、しなければならないことが次々に出てきます。
気持ちに余裕がなくなれば、つい強い言葉が出てしまうこともあります。
いつも笑って過ごせるわけではありません。
それでも、ときには一緒に笑うことが、家庭の空気を少し和らげてくれることがあります。
参加者の感想にあった、
「その思いを、笑いを取り入れながら伝え、明るい家庭にしたい」
という言葉が、とても心に残りました。
愛情があっても、言葉にしなければ伝わらないことがあります。
だからこそ、深刻な顔で正しいことを言うだけではなく、ときには笑いも交えながら、子どもに思いを伝えることが大切なのだと思います。
親子で過ごせる今を大切に
子どもが小さい頃は、毎日の忙しさに追われます。
私も、消防士として24時間勤務をしながら、息子たちとの時間をつくってきました。
当時は夢中でしたが、今振り返ると、家族でキャンプへ行ったこと、公園で遊んだこと、山へドライブしたことが、家族のつながりを育ててくれたように思います。
特別な場所へ出かけなくても、一緒に話し、一緒に笑うことはできます。
子どもへの期待が大きくなりすぎたときには、**「生きていてくれるだけでありがたい」**という原点を、私自身も思い出したいと思います。
湯梨浜町立東郷小学校の保護者の皆さん、PTA役員の皆さん、学校関係者の皆さん、本当にありがとうございました。
私は、人権講演会や子育て講演会で、消防・救急現場の体験や家族との出来事を、オリジナルソングの弾き語りとともにお伝えしています。
講演内容については、人権講演会のご案内と子育て講演会のご案内をご覧ください。
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