500人の中学生を前に、私が両親に「ありがとう」を伝えたエピソードを話しました。
全員が、講演の最後まで真剣に聴いてくれました。
2019年2月2日に、島根県松江市の松江市立第二中学校での人権講演会でした。
授業参観後の講演で、前列は生徒たちで、のの後ろには保護者さんと先生方が並び、一緒に聞いていただきました。
救急、災害現場で私が体験した、人が生きようとする力のすごさについて話し、なんでもない毎日が本当は尊い時間なんだということを歌をまじえて伝えました。
思えば、私自身が中学生の頃は、自分のことばかり考えていて、親の思いについて考えたことがありまりませんでした。
何かしてもらっても、それが当たり前だと思っていました。
月日が流れ、自分が親になっていろんな体験を重ねていき、やっと親の思いについて考えるようになりました。
大人になれば、もう悩んだり苦しんだりすることはなくなるのだと思っていました。
まさかいずれ自分が子どものことで心配したり、悩んだり、苦しんだりするなんて想像もできませんでした。
親も、いろんな思いをしているんだよ。
切ないほど君たちを愛して、大切に思っているんだよ。
そんなことを、生徒のみんなの両親にかわって伝えました。
「生んでくれてありがとう」
「育ててくれてありがとう」
思春期だとよけいに照れくさくて、素直に言葉にできません。
それでも、その恥ずかしさを乗り越えて、伝えて欲しい。
直接伝えるのが無理だったら、メールでも手紙でもいいから、
今はできなくて、それが数年先でもいいから、
いつかきっと伝えて欲しい。
松江第2中学校のみんなも、あの日帰ってから伝えた人、
伝えようと思いながらも、親の顔を見たら言い出せなかった人
もう少し大人になってから伝えようと思った人
さまざまだと思いますが、いつかは伝えたいと思いを持ってくれたらとてもうれしいなあ、と後日先生からメールで送っていただいた画像を見ながら思いました。
ステージから見ていると、生徒さんで涙を見せた人はごく一部でしたが、その後ろの保護者席では、ハンカチで涙を拭かれている方がたくさんいました。
心が動いてこその講演だと思っているので、それは素直に嬉しくて、講演にも力が入りました。
講演が終わったあと、保護者会役員さんや先生方からは、「泣くのを我慢するのがたいへんだった」というお言葉をいただきました。
そこは素直に泣いていただいてけっこうなんですが、男性は特に涙を見られたくないので我慢するんですね。
これからもたくさんの人に、命の大切さや、日常のありがたさ、心の病気の予防などを伝えていこうと、あらためて思った一日でした。
先生方に渡り廊下に運んでいただいた音響機材とギターを、そのまま忘れて車を出してしまいご心配をおかけしましたが、またいつかお会いしたいと思います。
皆さん、ありがとうございました。
翌月、人権担当の先生からお礼の文書と一緒に生徒さんの書いた感想文の一部のコピーも送っていただきました。
プライバシーのこともありますので、そのさらに一部を紹介します。
(お礼文より抜粋)
生徒たちは様々な想いを持ちながら講演を聞いていたようです。また、保護者や教職員の中にも自分の家族に置き換えて考える方、家族の感謝を思い浮かべて心を熱くしていた方もいたようでした。
(生徒の感想文抜粋)
◆歌を歌っているときは、その歌詞に感動して心が熱くなりました。
そして、自分で自分の命をなくす自殺については、けっきょく死ぬのが怖くて、助かったときに生きていてよかったのだと思えるのだと思いました。
もし、自分がそういう状況になったとき、楽しいことを考えるようにしたいです。
◆今日の講演を聞いて私は、生きる力とはすばらしいものなんだとあらためて思いました。
わたしが一番心に残ったことは、言葉の力についてです。
人が笑顔、うれしくなるような言葉をかけてあげたいなと思います。
◆生きていることが幸せなんだということに今日気づきました。
石川さんのおかげで、自分の自殺したいという気持ちがうすまりました。
石川さんの各地の講演で、多くの人々が生きるって幸せだと気づいてくれたらうれしいです。
◆いつも私のために注意してくれる親への感謝の気持ちがいっぱいあるのに、口から出る言葉は違います。
今日、石川さんの話で親の気持ちがわかりました。
今日は言えないけど、今年中には自分の思っている事を親に伝えたいです。
項 目 | 内 容 |
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タイトル | 松江市立第二中学校人権講演会 |
日 時 | 2019年2月2日(土) |
演 題 | 「生きる力と言葉の力」 |
場 所 | 島根県松江市西川津町 松江市立第二中学校 |