あなたは日々の生活の中で、お世話になった人たちに感謝の思いを伝えていますか?
照れくさくて言い出せなかったり、毎日忙しくてそんなことを考える暇がなかったりするかもしれませんね。
あるいは、心の余裕がない日々が続いていて、感謝が心に満ちてくるような瞬間が見つけられないかもしれません。
感謝を伝えることで幸福感が増す
しかし、私たちが幸せになるためには、心から感謝することが大切です。
これは単なる私の主観ではなく、様々な調査や研究の結果からも明らかになっています。心からの感謝を相手に伝えることで、我々の幸福感は大きく増すのです。
- カリフォルニア大学デイビス校のロバート・A・エモンズ博士とマイアミ大学のマイケル・E・マッカロウ博士の研究
- ポジティブ心理学の分野で有名なペンシルベニア大学の心理学者、マーチン・E・P・セリグマン博士の研究
- ペンシルベニア大学ウォートン・スクールの研究者たちの研究
それらの研究では、いずれも感謝を伝えることで満足感を得て、幸福感のスコアが上昇したという結果が出ているそうです。
感謝の思いを持てなかった時期
「感謝すること」が大切だと頭で理解していても、簡単に感謝の念を持つことは難しい時期もあります。
「なんで自分だけがこんな思いをしなければならないんだろう」
「どうして誰も自分のことをわかってくれないんだろう」
そんなふうに、自分だけがつらい思いをしているように感じたり、誰も自分のことを理解してくれないと感じたりするときもあります。
そんな思いが胸の中を満たしているとき、感謝の感情を見つけることは難しくなります。
私自身、感謝の大切さを理解するまでには長い時間がかかりました。
しかし、ある出来事を経て感謝の感情を理解し、その力を体感したからです。
私は小学生の頃、勉強を全くせず、悪さばかりする生徒でした。 そのせいで先生からは厳しく叱られ、周りからは見放されることが多かったのです。その頃の私には、感謝の念を持つこともなく、「ありがとう」の言葉を口にすることはありませんでした。
社会人になっても、仕事に対する感謝の感情はなく、たまたま選んだ職業としか考えていませんでした。
愛する人と結婚しても、何年も過ごしているうちに、一緒にいることが当たり前になってしまい、感謝の言葉を口にすることは少なくなりました。
感謝の思いがあふれ出した出来事
しかし、二つの出来事がきっかけで私の心が大きく変わりました。
そのきっかけの一つは、私に子どもが生まれたこと。
もう一つは、消防現場での体験です。
ある日、出動した現場で見た光景は、私の中途半端でいいかげんな考えを、根底から打ち砕きました。
大けがをした家族を前に、泣き叫ぶ人々の姿
自分自身が血まみれになりながら、愛する家族を気づかう姿。
救急車の振動に揺られながら、負傷者の胸部を汗だくになって圧迫しながら蘇生することを祈り続ける長い時間。
命の尊さと向き合い、その現場で感じた衝撃が私の心を大きく変えました。
死亡時刻を医師から告げられ、うなだれて病院をあとにする息苦しい時間。
そんな経験をくり返すうちに、自分の中の何かが、大きく変化していました。
我が子が保育園から帰ってくるのを見るたび、
この世に生まれてきてくれたこと
目の前に存在してくれること
愛する妻が笑いかけてくれること
家族と一緒に話しながらごはんを食べること
なんでもない平凡な日常の一瞬一瞬に対して、感謝の念が湧いてきました。
感謝を伝えるきっかけとなった事故現場のエピソードをこちらに書いています。
「言葉」は心を伝えるためにある
つらいときこそ「ありがとう」を伝えよう
それでも、生きていくといろんなことがあります。
予期せぬ不幸な出来事が襲ってくることもあります。
苦しくなって、心の余裕がなくなって、感謝の思いが薄らいでしまうこともあります。
そんなときこそ、「ありがとう」と感謝の言葉を口にすると、投げやりになりそうな気持ちが少しずつ前を向いてくれます。
心の余裕がないときは、ほんの小さなものでもいいので、「感謝」を探してみましょう。
ゆううつな朝に、心が重い夜に、あらためて伝える「感謝」は、少しずつ心を軽くしてくれます。
あなたも今一度、自分のまわりを見渡し、感謝できることを見つけてみてください。
心から感謝することで、幸福感が増し、人生がより豊かになることを願っています。