2017年6月6日、鳥取県倉吉市の高城公民館で、人権講演をさせていただきました。
この日の演題は、「命の尊厳から学ぶ人権」です。
私がお伝えした中心の一つが、「言葉は心を伝えるためにある」ということでした。
言葉は、人を支えることもあれば、深く傷つけることもあります。
消防士として命と向き合ってきた体験を交えながら、言葉の奥にある「心」についてお話ししました。
一人ひとりの顔が見える公民館での人権講演

私は毎年、さまざまな場所で人権講演をさせていただいています。
大きなホールで行うこともあれば、公民館の小さな会場でお話しすることもあります。
大勢の参加者の笑い声が会場いっぱいに響くのもうれしいのですが、一人ひとりのお顔を見ながらお話しできる小さな会場も、私は好きです。
この日の会場は、高城公民館の畳の大広間でした。
公民館ならではの、くつろいだ雰囲気の中で聞いていただきました。
人権講演会には、さまざまなテーマがあります。
社会制度について考える講演もあれば、差別の歴史を学ぶ講演もあります。
私の場合は、消防・救急現場で命と向き合ってきた体験や、家族との出来事を通して、「心」という視点から人権を考える講演をしています。
人を深く傷つけることもある言葉
何気なく口にしたひと言が、相手の心に深い傷を残すことがあります。
言った側にとっては短いひと言でも、受け取った人の心には、その後も長く残り続けることがあります。
この日は、心の病気で自宅療養していた人が、親戚から厳しい言葉をかけられ、その後、自ら命を絶った出来事についてもお話ししました。
その人の亡骸にすがりながら、ご家族はこう語っていました。
「やっと元気になりかけていたのに、あの人が、あんな言葉をかけたせいでこんなことに」
その言葉を聞いたとき、救急隊員だった私の心も、強く締めつけられました。
この出来事については、次の記事で詳しく書いています。
「やっと元気になりかけていたのに、親戚の者のひと言で」――そのひと言で救われる
言葉には、それほど大きな力があります。
だからこそ、口にする前に、その言葉を受け取る人の心を少しだけ想像することが大切なのだと思います。
「目を開けてくれ」父親の心の叫び
一方で、言葉は、心の中にある愛情や願いを届けることもできます。
救急の現場で、呼吸の止まったわが子に向かって、必死に呼びかけるお父さんがいました。
「目を開けろー!
お前はずっとがんばってきたじゃないか。
暑い日もずっと部活をがんばったじゃないか。
お前ならがんばれる。
頼むから目を開けてくれー!」
それは、わが子に生きてほしいと願う、父親の心の叫びでした。
人を追い詰める言葉もあれば、愛情や願いを届ける言葉もあります。
同じ言葉でも、そこに込められた心によって、受け取る人に届くものは大きく変わります。
その現場で私は、こう思いました。
言葉は、人を傷つけるためにあるのではなく、心の中にある思いを届けるためにある。
せっかく言葉を口にするなら
言葉を使わずに生きていくことはできません。
自分の思いを伝えようとして、うまく言葉にできないこともあります。
気持ちがすれ違い、思わず相手を傷つける言葉を口にしてしまうこともあるでしょう。私自身にも、言葉にしてから後悔した経験があります。
それでも、せっかく言葉を口にするなら、誰かを傷つけるためではなく、信頼や愛情、励ましや喜びを伝えるために使いたい。
「ありがとう」
「大切だよ」
「心配しているよ」
「あなたがいてくれてよかった」
短い言葉でも、そこに心が込められていれば、相手を支える力になることがあります。
言葉にしなければ、伝わらない思いもあります。
だから私は、自分の心の中にある大切な思いを、できるだけ言葉にして伝えていきたいと思っています。
参加された方の表情から伝わってきたこと

私の話を、涙を流しながらうなずいて聴いてくださる方もありました。
その姿を見ながら、言葉について話している私自身も、言葉の重さをあらためて感じていました。
仕事を終えたあとのお疲れの時間帯に、会場まで足を運んでくださった皆さんに、感謝の思いでいっぱいです。
高城地区の皆さん、本当にありがとうございました。
言葉と心を考える人権講演
私の人権講演では、消防・救急現場で命と向き合った体験や、家族との出来事、オリジナルソングの弾き語りを通して、命の大切さ、言葉の力、人と人との心のつながりについてお話ししています。
大きなホールだけでなく、公民館や地域の人権学習会など、少人数の会場でも、参加される皆さんのお顔を見ながら丁寧にお伝えします。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 講演会名 | 高城地区人権講演会 |
| 日時 | 2017年6月6日(火) |
| 演題 | 「命の尊厳から学ぶ人権」 |
| 場所 | 鳥取県倉吉市 高城公民館 |

