誰だって「安全」に気をつけています!

「事故ったっていいや」
なんて思っている人はいません。

ふだんの車の運転でも、勤務中の作業でも、誰もが「安全に」と思っています。

それでも、毎日のように悲惨な交通事故や、勤務中の過失による事故のニュースが流れます。
安全に気をつけているつもりでも、起こるはずのない事故が、現実に起きてしまうことがあります。

消防士時代にたくさんの労働災害事故現場に、あるときは救急隊員として、あるときは救助隊員として、またあるときは消防隊員として出動してきました。

私が30年あまり勤務した消防は、田舎なので、現場に知り合いがいるケースもけっこうありました。
事故状況を調査しているときや、後日怪我をされた本人から、いろいろとお話をうかがうことも多かったのです。

起こるはずのない事故が起きてしまった原因を、統計上の原因分類の、さらに奥の事情を聞くことで、知ることがありました。

毎年、安全大会の講師としてお声をかけていただいています。
建設土木業、製造業など、業種はさまざまです。

講演では、私が消防士時代に出動した労災事故についてお話しています。

事故原因となった「不安全行動」に、メンタル的なことが関係している事故が少なくないという話もします。
統計上の数字では感じ取れない、労働災害現場の生の体験をお伝えしています。

消防では、機材の破損事故や、紛失事例などがあると、上司が厳しく注意します。

注意されることで、署員全員がピリッと気を引き締めます。
そこは大事なところではありますが、あまりにしつこく厳しすぎ、ことに個人攻撃的になるとどうなるかというと、署員は守りに入ってしまうのです。
自分までミスを犯してはいけないから、必要最低限のことだけしか手を出すまい、という考えになってしまいがちなのです。

実際に、私のいた頃、ミスを犯した職員を徹底的に厳しく叱るため、職場内のムードは暗く重い空気になった時期がありました。
ふだんは明るく話す署員同士が、みょうにぎくしゃくした関係になってしまいました。

そんなときほど、事故が増加しました。
あろうことか、機材の紛失や、破損が続発しました。

上司の叱責の度合いはより強くなり、さながら負のループに陥ったかの様相を呈していました。

ずいぶん前のことですが、チームワークがほころびかけた時に、実際に現場活動中に事故が起こりました。

今まであれば、互いに声をかけあい、注意しあって活動していたのに、ぎくしゃくした関係が続いていたために、マニュアルによる最低限の安全基準さえ守っていれば自分の過失を問われることはないだろう、という思いになっていたようです。

しかし、現場の状況は刻一刻と変化します。

一人では目配りできない死角が生じ、小さな事故になってしまいました。
本来なら隊員同士が多方向から注視して、声をかけあって活動するところが、最低限の安全確認で収めてしまったのです。

不幸中の幸いで、小さな事故ですみましたが、まかり間違えば命を失いかねない事故につながった可能性もあります。

日頃のチームワークが、事故を未然に防ぐことになるのだ、ということを思い知らされた事例でした。

7月5日に、島根県安来市の丸永建設株式会社安全大会で、実際にあった事例をお話しました。

建設業と消防の業務とはかなり相違のある業種ですが、どちらも他の業種にくらべて危険度が高く、「安全」に対しての心がけは同じだと思います。

チームワークを良好に保つには、日頃のコミュニケーションがとても大切になります。

部下や同僚がミスを犯したら、責め心のない厳しさで注意し、決して個人攻撃にならないように配慮することが大事になります。

ふだんから思いやりのある言葉かけを忘れないようにしたいものです。