心の傷を自分で癒す

心の傷がもとで、眠れない、悪夢をみる、そんな経験はないでしょうか?

ほかにも、心が痛手を負うと、吐き気がある、食欲がない、頭痛がある、息苦しい、動悸が打つなどの症状にみまわれることがあります。

そんな状態を放っておくと、うつ病など心の病気になる危険性があります。
日頃からストレス解消を心がける必要はありますが、心がショックを受けるようなことがあれば、ふだん以上にセルフケアを意識する必要があります。

今日は、心の傷を癒すためのセルフケアについてお話します。

心の傷は残る

人生では、大きなショックを受けることが誰にでもあります。

「トラウマ」という言葉は一般的に使われるようになりましたが、ショッキングな出来事を経験した後、時間が経過しても心の傷として残ります。

特に有名なのは、ベトナム戦争の帰還兵士が、現場で体験した危険が去って何年も経過した後も、大量のストレスホルモンを分泌するということです。

心の傷は、ほかの人には見えないので、同じような体験をしていない人は気づきません。中には、
「過ぎ去ったことにいつまでこだわっているんだ」
などとかんたんに言い放ってしまう人もいます。

しかし、本人にとっては、自分の意思ではどうにもできないようなケガが、心に存在しているわけです。

同じようなことが、災害を経験された方の心の中にも起こっています。

近年よく耳にするようになった「惨事ストレス」という言葉を連想される方もいらしゃるのではないでしょうか。

幅広く捉えられるようになった惨事ストレス

もともと「惨事ストレス」という言葉は、大災害で対応した警察官、消防官、自衛官、海上保安官、医療関係者が体験した、業務上のストレスを指していました。

しかし、災害が多発する近年では、もっと幅広く捉えられるようになりました。

災害を取材するマスコミ関係者や、現地で対応するボランティアや、応援にかけつけた他の自治体職員なども同様のストレスを負うと捉えられるようになりました。

さらに、自然災害だけではなく、犯罪の被害にあったり、目撃したりする人、テレビで災害のニュースを長時間みた人も同じようなストレスを受けるので、惨事ストレス対策の対象として捉えられています。

個人のセルフケア

大災害で対応した人たちが、心を壊し、離職したり、自殺したりすることにならないように、惨事ストレス対策がとられています。

その中の、個人がセルフケアする方法は、日常生活でのストレス解消方法とほとんど同じです。

アメリカの心理学会(APA)が発表した科学的に効果のあるストレスの発散方法について、以前のブログ記事に書きました。

効果が認められた科学的に効果のあるストレスの発散方法
・運動
・読書
・瞑想
・音楽
・散歩
・友人や家族と過ごす

ですが、惨事ストレス対策としてのセルフケアもほとんど同じです。

セルフケア(自己解消法)

①飲食の節制・充分な睡眠や休養
②リラクセーション(呼吸法、ヨガ、瞑想、入浴など)
③趣味・レクリエーション・運動
④発想の転換
 無理に忘れようとしない
 限界を自覚する
 ちょっといい加減になる
 成長への希望を持つ
⑤感情の発散(笑う、泣く)

松井豊「惨事ストレスとは何か」河出書房新社

心がつらいときこそストレス解消を

力になろうと思ったのに、結果的に何もできなかったときの無力感は、大きなストレスになります。

私も消防士時代に、せいいっぱいやったのに救えなかった命がありました。
救急隊が到着する前に亡くなっていた場合でさえも、いいようのない無力感に襲われました。

出動するたびにストレスが蓄積されるので、意識してストレス解消をしようと思いました。

「惨事ストレス」という言葉になじみがなかった頃には、同僚とお酒を飲むというのが主な解消法でした。
以前は、警察や消防は、とにかく酒席の多い職場だと言われていました。
ストレス度の高い職業だからでしょう。

ほどよい量のお酒で心の中を話せる席であれば、有効なストレス解消法になるのですが、多量のお酒を飲むだけでは逆効果のようです。

責任感は大事なものですが、必死になって自分を責めてしまっては仕事面でも悪く作用してしまいます。

自分で自分を追いつめないように、ちょっといい加減になって趣味に打ち込むことが、メンタル的にとてもいいということなんですね。