「お母さんに、ありがとうを言いたいと思いました」
講演後、一人の生徒がこんな感想を話してくれました。
お母さんからいろいろ言われたとき、面倒くさそうな態度を取っていたそうです。
でも、講演を聞いて、
「ありがとうを言いたいと思いました」
そう話してくれました。
園田学園中学校で、人権講演会の講師を務めさせていただきました。
講演のテーマは、
「救急現場で学んだ人生の大切なこと
~言葉は心を伝えるためにある~」。
生徒のみなさんは、講演の最初から最後まで、本当に真面目に話を聞いてくれました。
真面目に聞きながらも、私がジョークを言うと、ニヤニヤしたり、思わず吹き出したり。
その素直な反応が、とてもうれしかったです。
講演会は、話す人だけでつくるものではありません。
聞いてくださる方の表情や反応があって、初めて一緒につくられていくものだと思います。
園田学園中学校のみなさんとは、そんな時間を過ごすことができました。
次々に上がった手

講演後の質疑応答でも、次々に手が上がりました。
「オリジナルソングは、歌詞と曲の両方を作るんですか?」
「今まで何曲くらい作ってきましたか?」
講演の内容だけでなく、オリジナルソングにも興味を持ってくれたようです。
そして、質問だけではなく、自分が感じたことを言葉にして伝えてくれる生徒もいました。
その中の一つが、冒頭に紹介した、
「お母さんに、ありがとうを言いたい」
という感想でした。
感じたことを心の中にしまったままにせず、みんなの前で言葉にしてくれたことが、何よりうれしかったです。
何も解決できなくても

今回の講演で伝えたかったことの一つに、
悩んでいる友だちや、元気のない友だちに寄り添ってほしい
ということがあります。
友だちが悩んでいるとき、何を言えばいいのか分からないこともあるでしょう。
自分では、悩みを解決してあげられない。
自分には何もしてあげられない。
そう思うこともあるかもしれません。
でも、問題を解決できなくても、声をかけることはできます。
「一人じゃないよ」
「そばにいるよ」
「何かあったら話してね」
そんな短い言葉に、救われることがあります。
すばらしいアドバイスをしなくてもいい。
ただ話を聞いてくれる人がそばにいるだけで、少し安心できることもあるのです。
特別なことを言えなくても、「大丈夫?」「話を聞くよ」というひと言が、友だちの心を支えることがあります。
関連記事:そのひと言で救われる
自分の悩みも言葉にしてみる

これは、自分自身が悩んでいるときも同じです。
友だちに打ち明けたからといって、悩みごとがすぐに解決するとは限りません。
状況は何も変わらないかもしれません。
それでも、自分の中に閉じ込めていた気持ちを言葉にすることで、心が少し楽になることがあります。
悩みを話すことは、弱いことではありません。
一人で抱えきれないとき、信頼できる誰かに、
「ちょっと聞いてほしい」
と言ってみてほしいと思います。
SNSでは、簡単に人の心を傷つける攻撃的な言葉であふれています。
おそらく学校でも、何かの拍子に、
「死ね」などという言葉も発してしまうこともあるかもしれません。
しかし、本来言葉は、人を傷つけたり、苦しめたりするためにあるのではありません。
言葉は、心の中の思いを伝えるためにある。
大切な人に感謝の思いを伝える。
「あなたが大切なんだ」
「何もできないけど、僕は君のそばにいるよ」
そんな素直な言葉ひとつで、心が救われることもあります。
「ありがとう」も、その大切な言葉の一つです。
せっかく言葉を口にするなら、相手が笑顔になったり、心が楽になったり、幸せを感じられるような言葉を発していきましょう。

あの日、感想を話してくれた生徒は、お母さんに「ありがとう」を伝えられたでしょうか。
講演で届けた言葉が、生徒のみなさんの心の中で、それぞれの言葉になってくれることを祈りながら話しました。
真剣に耳を傾け、ジョークにも反応し、勇気を出して手を上げてくれた園田学園中学校のみなさん。
そして、このような機会をつくってくださった先生方。
本当にありがとうございました。





