私の講演活動の話になりますが、小・中学校、高校で人権講演会をする機会が多くなりました。
生徒が対象のこともありますが、多くは保護者の方々が対象です。
「子育て」と「人権」
一般的には、このふたつのテーマはそれぞれ別の単独の講演、研修会になります。
保護者が対象の講演会は、学校が人権参観日の日に開催されることが多く、主催される側からは、
「人権の話だけではなく、子育てについても話していただきたい」
というご要望がほとんどです。
私がよくお話するのは、
「人権意識は食卓から」ということです。
もちろん、学校などの外部で学んだり、自ら読書などで知識を得たりすることで、人権意識を高めることもあります。
しかし、大切な根本である家庭生活で、差別的な会話がいき交っていれば、幼い子どもの心に正しい人権意識が育まれるとは考えづらいのです。
親子の触れ合い方や会話の内容によって、偏見に固まらない柔軟な思考ができる子どもに育てることが可能になります。
10月1日に、八頭町立郡家西小学校の人権参観日で講演をさせていただきました。
演題は「救急現場で学んだ人生の大切なこと ~子育ては親育ち~」。
例年は、他校の保護者、地域住民の参加もあるそうですが、今回は感染防止のためにそれらの方々には、収録したものを後日YouTubeで配信される予定とのことでした。
子どもの心は純粋で、親の会話をよく聞いています。
親が建前と本音を使い分けることも、すぐに察知します。
だからこそ親として、日ごろの言動には注意したいものです。
ことあるごとに「人権教育」の場が設けられ、学習する機会も多いのですが、残念なことにコロナ禍になって差別的な事象があらわになりました。
夜になっても開けている飲食店に投石をしたり、誹謗中傷の張り紙をしたりする人の報道が相次いでありました。
私の住む鳥取県でも、駐車されていた県外車に投石したり、傷つけたりという事例もありました。
新型コロナに感染し、治癒したのちに登校したらいじめられたという報道もありました。
親がテレビニュースを見ながら、差別的なことを口にしたり、根拠もなく不安を煽り立てるような発言をしたりしていなければ、学校でそんな状況にならなかったのではないかと考えてしまうのは私だけでしょうか。
以前、東日本大震災後に、県外に移住した子どもが、「放射能がうつる」といじめられたというニュースも見ました。
それも根っこは同じように、家庭での会話が元になっているようにしか私には思えません。
私が消防士時代に出動した「自損行為」の救急現場で、忘れられないことがありました。
すでに亡くなった男性にしがみつきながらお母さんが泣いていました。
心の病気で家に引きこもっていた男性に、親戚の人が言葉をかけたそうです。
「お前はいつまで家でゴロゴロしているつもりなんだ! お前がしっかりと働いて家族を養わなきゃいかんだろが!」
そう叱責された後に、自ら死を選んでしまったそうです。
そんなふうに、不用意な言葉はたったひと言でも、人を死に追いやることがあります。
それが思い込みや無知識から出た言葉や、心無い差別から出た言葉であることもあります。
食卓で家族と過ごす時間に、どんな会話を交わすのかということはとても大切です。
そんなことを中心に話を進めました。
今年、2023年4月に「八頭町P連会報」に当日の講演のことを掲載していただきました。 その中に「参加、視聴された会員の感想」がありましたので、紹介させていただきます。
石川さんのお話は、「命」について考える機会となりました。 これまで自分は、「命の尊さ」「命の大切さ」についてあまり考えていなかったことに気づかせてもらいました。
方言交じりのお話と歌で、あっという間に時間が過ぎていました。 笑いがいっぱいの楽しい歌でスタートしましたが、後半は我が子が生まれてきてくれたことに感謝しながらお話を聞きました。
子供が何歳になろうと親子で思いを伝え合う・・・いつまで続けられるか分かりませんがやってみます。「子育ては親育ち」ですね。
参加、視聴していただいた皆様、ありがとうございました。