言葉には大きな力があります。その力は、時に相手を傷つけることもありますが、同じくらいに救うこともできます。
8月5日(日)島根県松江市の福原会館で「みんなで学ぶ人権事業」の講演の中でそんな言葉の力についてお話させていただきました。
たったひと言で救われる
私たちは人間ですから、ときには気持ちが行き違うこともあるし、相手と思いがぶつかることもあります。
そんなとき、たったひと言の言葉が、ゆううつな心や悩んでいた心を救ってくれます。
例えば、「ごめんね」と謝ることで、気持ちが楽になったり、相手に対する思いを伝えて「好きだよ」と言うことで、相手を心を救うことができます。
心がふさいでいるとき、こころが重いとき、心がねじれてどうしようもないとき、本当は大切に思っているのに思わず心無い言葉を発してしまったとき、自分を責めて責めて苦しいとき…。 そんなとき、たったひと言、「大切だよ」という思いを言葉にするだけで、ずいぶん楽になることがあります。
思いやりと想像力のないひと言が死に向かわせることも
単純な言葉が、とても鋭い刃となって人の心に突き刺さり、命を捨てる決意をさせた自損行為の現場に出動したことがありました。
心の病気で自宅療養している人に、親戚の人が、
「いつまでここでゴロゴロしているつもりなんだ。お前が家族を養っていかなきゃいかんだろう。しっかりしろ!」
と言ったそうです。
そのしばらく後に、その人は自ら命を絶ってしまわれました。
「やっと元気になりかけていたのに、あの人が、あんな言葉をかけたせいでこんなことに」
亡骸にすがりながら、そう泣きながら語る家族の言葉に、救急隊員であった私の心もギューっと締めつけられました。
言葉には本来プラスの力がある
講演で出会った方の中には、苦しみのどん底にいたときにかけられたたったひと言に救われたという人もいました。
どんなに小さな言葉でも、自分の心や相手の心を知ろうとする思いから生まれた言葉には、とても価値があります。言葉にして伝えることで、自分も相手も救われることがあります。
日常生活で、相手の気持ちを気にかけてあげて、それを言葉にしてあげることはとても大切なことです。
例えば、仕事でのミスやトラブルがあったときに、上司や同僚から「大丈夫だよ」「君のことを信じてるよ」と言われると、自分のやる気や自信が復活することがあります。
また、相手に対して謝罪の言葉を言うことで、相手の怒りや不快感を和らげることができます。
ふだんから、お互いに思いやりの言葉で励まし合うことができたら素晴らしいですね。
参加者からの感想
会場には、高校生から年配の方まで、さまざまな年齢層の方が参加され、満席となりました。
アンケートを取りまとめた結果、多くの方から、言葉によって救われた経験があるというコメントをいただきました。
「生まれて来てくれてありがとう」という言葉をもらったことで、病気の家族に支えられたという人がいました。
また、いろいろな体験をしてきた中で、言葉で傷つけられたり、救われたりしたことが伝わってきました。
この講演の感想の一部を「参加者の声」のページに掲載しました。
言葉には日頃わたしたちが思っている以上の強い力があります。 そんな言葉を、人を傷つけることに使わないように気をつけ、自分自身や周りの人を笑顔にしたり、元気にしたり、幸せにするために使いましょう。
項 目 | 内 容 |
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タイトル | みんなで学ぶ人権授業講演会 |
日 時 | 2018年8月5日(日) |
演 題 | 「生きていることの輝き ~知ってほしい言葉の力~」 |
場 所 | 島根県松江市福原町 松江市立福原会館 |