「別に、長生きしたいとは思わない」
皆さんも、そんな言葉を聞いたことがありませんか。
健康のために、好きな酒を控える。
たばこをやめる。
食べたいものを我慢する。
「そこまでして長生きしたくない」
私の周囲でも、そんな言葉を耳にすることがあります。
以前の私は、消防・救急現場での経験から、
(いやいや、本当に苦しくなったら、きっと助けてほしいと思うはずだ)
と考えていました。
しかし、「長生きしたいと思わない」という言葉が何を意味するのかは、人によって違います。
健康管理を押しつけられることへの反発かもしれません。
健康のために努力するのが面倒だという気持ちや、気になっている生活習慣から目をそらしたい心理が隠れている場合もあります。
また、将来への不安や、毎日の疲れから出てくる言葉かもしれません。
ですから、この言葉をすべて強がりだと決めつけることはできません。
ただ、そのまま笑って済ませるのではなく、言葉の奥にある自分の気持ちを一度見つめてみることも必要ではないかと思います。
「長生きしたい」と「今の苦しさから助かりたい」
救急隊員として活動していた頃、激しい痛みや息苦しさのなかで、一刻も早い処置や病院への搬送を求める方々に何度も接しました。
火災や交通事故などの現場では、大きなけがを負い、意識を失っていても、懸命に呼吸を続けている人の姿も見てきました。
その姿を前にすると、人の体は最後まで生きようとしているように、私には感じられました。
ただし、
「今の苦しさから助かりたい」
という思いと、
「できるだけ長く生きたい」
という願いは、同じようで少し違うのかもしれません。
命の長さだけを考えるのではなく、毎日をどのような気持ちで生きられるか。
それも、心と体の健康を考えるうえで大切なことだと思います。
「分かっているけれど、見たくない」という気持ち
「健康のために、好きなものを我慢してまで長生きしたくない」
そう言いたくなる気持ちは、私にも分かります。
食べ過ぎている。
運動不足になっている。
酒やたばこを少し控えたほうがよい。
自分でも、どこかでは気づいている。
けれど、生活を変えるのは面倒ですし、好きなことを我慢するのも楽しくありません。
分かっていることを誰かから改めて言われると、かえって反発したくなることもあります。
そんなときに、
「別に、長生きしたいとは思わない」
という言葉で、気になっていることにふたをしたくなる場合もあるのではないでしょうか。
これは、決して特別な心理ではないと思います。
私たちは誰でも、自分にとって都合の悪いことや、耳の痛いことから目をそらしたくなります。
私の講演は、そうした気持ちを否定したり、生活習慣を厳しく指導したりするためのものではありません。
ただ、一度だけ立ち止まり、
「本当に、このままでいいのだろうか」
「自分は、何から目をそらそうとしているのだろう」
と、少し正面から見つめるきっかけになればと思っています。
健康は、我慢だけでつくるものではない
自分の生活を正面から見つめるといっても、いきなりすべてを変える必要はありません。
食べる量をほんの少し意識する。
体を動かす機会を少し増やす。
疲れたときには無理をせず休む。
健診の結果を、そのままにしない。
自分にできそうなことを、一つだけ始めてみる。
それくらいからでよいのではないでしょうか。
また、心と体をいたわることは、ただ我慢を重ねることではありません。
誰かと話す。
よく笑う。
好きな音楽を聴く。
身近な人と食事をする。
心にたまったものを、自分に合った方法で少し外へ出す。
健康のために自分を苦しめるのではなく、明日の自分が今日より少し楽に過ごせるように、今日の選択を少しだけ変えてみる。
何十年先のためだけではなく、今日を少し気持ちよく生きるために、自分の心と体を大切にする。
それも健康づくりの一つだと思います。
倉吉市で「うたで伝える心の健康」

2019年11月、鳥取県倉吉市の倉吉交流プラザ視聴覚ホールで、「こころの健康づくり講演会」が開催されました。
演題は、「うたで伝える心の健康~笑って元気に~」です。
地域社会振興財団の現地研修会でもあり、倉吉市保健センターの皆さんが、大きなポスターを作るなど事前に広く案内してくださいました。
その結果、メイン会場の150席は早くから予約でいっぱいになったそうです。
当日参加される方のために、講演の様子をモニターで視聴できる別会場も用意されました。
正直に言うと私は、
(天気のよい土曜日の午後に、別会場にまで来てくださる方があるだろうか)
と思っていました。
講演を終えて別会場へごあいさつに行くと、そこにも50人以上の方が参加されていたと聞きました。
心の健康について考える機会を、それだけ多くの方が求めておられたのかもしれません。
笑いと歌を交えて伝えたこと

講演では、消防・救急現場で経験したことをもとに、命や健康、ストレスとの付き合い方についてお話ししました。
会場では笑っていただく場面があり、ストレスとの付き合い方について話すと、メモを取る方の姿も見られました。
心の健康というテーマは、とても大切ですが、真面目に説明するだけでは、聞く人の心まで疲れさせてしまうことがあります。
そのため私は、少し笑っていただける話や、ギターの弾き語りを交えながらお伝えしています。
笑う時間があり、歌を聴きながら自分や家族のことを振り返る時間がある。
そんな講演なら、心の健康について構えすぎずに考えていただけるのではないかと思っています。
講演後には、サインや写真撮影を求めてくださる方もありました。
メイン会場だけでなく、別会場でも長時間お聴きくださった皆さん、本当にありがとうございました。


「長生きしたくない」を、自分と向き合うきっかけに
「長生きしたいとは思わない」
その言葉の奥にある気持ちは、人によって違います。
健康のための努力を面倒に感じていることもあれば、気になっている生活習慣から目をそらしたい気持ちが隠れていることもあります。
一方で、毎日の生活に疲れ、生きることそのものをつらく感じている場合もあります。
ですから、その言葉を頭ごなしに否定する必要はないと思います。
ただ、そのまま笑って済ませるのでもなく、
「なぜ、自分はそう言いたくなったのだろう」
と、一度だけ考えてみる。
もし生活習慣が気になっているのなら、自分にできる小さなことを一つ始めてみる。
もし心が疲れているのなら、一人で抱え込まず、誰かに話してみる。
身近な人が「長生きしたいと思わない」と口にしたときにも、
「そんなことを言うな」
とすぐに否定するのではなく、
「何かあったの?」
と、その言葉の奥にある気持ちを尋ねてみてもよいのではないでしょうか。
私の講演が、自分の心と体の状態から目をそらさず、少し正面から見つめてみるきっかけになればうれしく思います。
何十年先のためだけではありません。
明日の自分が、今日より少し気持ちよく過ごせるように、自分の心と体を大切にする。
その積み重ねが、結果として健康に過ごせる時間につながっていくのではないでしょうか。
心の健康講演会を企画されている皆さまへ

心の健康講演会では、32年間の消防・救急現場での体験や家族との出来事、オリジナルソングの弾き語りを交えながら、ストレスとの付き合い方、自分や身近な人の心を大切にすることについてお話ししています。
一方的に知識を伝えるだけでなく、笑い、歌を聴き、自分自身の日常を振り返る時間にしたいと考えています。
講演内容については、心の健康講演会の案内ページをご覧ください。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 行事名 | こころの健康づくり講演会 |
| 日時 | 2019年11月30日(土)14時~16時10分 |
| 演題 | うたで伝える心の健康~笑って元気に~ |
| 場所 | 鳥取県倉吉市・倉吉交流プラザ視聴覚ホール |
| 主催 | 倉吉市保健センター |

