心の元気講演家 石川 達之ホームページ

ストレス解消

講演する石川達之

明るく楽しく健康づくり

心が弱ったとき
人恋しくてせつないとき

親しい誰かと会って時間をともに過ごすことは、この上ない癒やしになります。

それなのに会いた人に会えない状況になってしまうことがあります。

それでもストレスを発散させる手段を持っていれば、心身の健康を損なうことを回避できます。
心身を健康に保っていないと、状況が変わってようやく大切な人に会えるようになっても、出かける元気もないなんてことになりかねません。

コロナ禍になって「不要不急の外出はしない」「密にならない」ようにと、ひっきりなしにテレビや新聞で呼びかけられるようになりました。
そんな状況下で、特にご高齢な方は、人との接触を避けるために外出する機会が激減したことで、認知症になるリスクが高まったといわれています。

部屋に閉じこもることを余儀なくされることで、ストレスが蓄積し、健康を害されないためには、日々溜まっていくストレスを上手に発散させる必要があります。

アメリカ心理学会(APA)が発表した科学的効果のあるストレスの発散方法の中で一番効果があるのは「運動」だそうです。
「読書」や「瞑想」も効果があります。
そのどちらも、やらない人にくらべて認知機能の低下がかなり高い割合で抑えられることがわかっています。

心の健康講演会で話す石川

脳の活性化(脳活)に大事なのは、
食事
運動
コミュニケーション
だと言われています。

「読書」も「瞑想」も、基本的にはひとりでやることがほとんどです。
そこに「コミュニケーション」は含まれません。

ゲームなども脳の活性化によいといわれていますが、一人ゲームより複数人でやる方が効果が高いという調査結果もあり、それは認知症の予防においても同様です。

日頃は人と対面で楽しみながらやれるストレス発散法も、ひとりでやれる発散法(趣味など)を持っていなければ、この度のコロナ禍のような状況になったり、あるいは膝や足首を痛めたりなど、外出ができなくなると何もやることがない生活になってしまいます。

そういう生活を過ごしていれば、身体的な面でも運動ができなくなり、ストレスを発散させる趣味がなければ、要介護の前段階である「フレイル」になるリスクが上昇します。
そうならないためには、ストレス発散法である「趣味」を複数持つ必要があります。

ひとりでも楽しめるもの、複数の人と一緒に楽しめるもの
外でやれるもの、屋内でやれるもの
などです。

趣味なんてほとんどないとおっしゃる方は、日頃から意識して楽しめることを探しみることをお勧めします。

ケーブルテレビで放送された心の健康講演会で歌う石川

そして、なんといっても年齢不問、万国共通の大きなストレス発散法

「笑い」です。

何歳になっても、日常生活で面白いことを見つけ、楽しみながら声を出して笑えることは免疫力を上げることにもなりますし、何より幸福感も得られます。

2022年12月6日は、鳥取県倉琴浦町で開催された「令和4年度琴浦町高齢者のつどい」で講師を務めさせていただきました。

ケーブルテレビで放送された心の健康講演会で弾き語りをする石川

私の歌とおしゃべりで何度も爆笑が起こり、やっているこちらも大いにストレスが発散できました。
後半の歌では、涙を拭われる方もいらっしゃいました。

この日は、ずいぶん前に作ってなかなか歌う機会のなかったオリジナルソング「いなくなるなら」を歌いました。
歌詞は、消防士時代に出動した救急現場で体験したことを元に作りました。

穏やかな日常生活に、突然悲しい別れの場面がやってきて、悲しむ家族の姿をたくさん見てきました。
もっとたくさん感謝の言葉をかけてあげたかった
いつも思っていても言えなかった言葉をどうしても伝えたい

そんな思いが、救急隊員である私の心にも突き刺さりました。
ふだんから大切な人に感謝や思いを伝えておきましょうというメッセージを込めた歌です。

この日は、ケーブル局TCC 鳥取中央有線放送株式会社さんが取材こられ、この歌を歌うところを放送していただきました。

心の健康講演会を聞く参加者

終わったあと、何人もの方が話しかけてこられました。
「笑った、笑った。もう何日分も笑いましたわ」
「胸の中がスーッとして、気持ちが穏やかになりました」
そんな嬉しいお言葉をたくさんいただきました。

皆さんの元気そうな輝く笑顔を拝見しながら講演をやらせていただき、私の笑顔もおそらく輝いていたと思います。

項 目内 容
講演会タイトル第18回琴浦町高齢者のつどい
日 時2022年12月6日(火)
演 題「明るく楽しく健康づくり」
場 所鳥取県東伯郡東伯郡徳万   琴浦町生涯学習センターまなびたうんとうはく

講演で歌う石川達之

在宅介護の疲れを癒やしていただきたい

コロナ禍になって、遠方で生活している家族と会えないことが、とてもストレスになりました。

結婚式を延ばしに延ばして、けっきょくは結婚式も披露宴もやらずに、籍だけを入れた親戚もいます。

私の身近なところでは、親戚と会えないだけではなく、葬儀のやり方について身内同士で意見が分かれ、もめたという人もいました。
家族だけでいいじゃないかという意見、親戚は呼ばなきゃだめだろうという意見。

都会から帰ってくれば感染の心配があるから帰るな、と言われ、遺体に分かれを告げることもできない上に、まるでウイルスそのもののように言われたと傷ついたようです。

高齢者福祉施設に入居する親と会えないストレスを抱えていた人もいます。

また逆に、在宅で介護していて、コロナ禍で今まで以上にストレスを抱えてしまった人たちもいます。
いくら大切な家族だといっても、時にはほかの人と話して気を紛らわせたいと思いながら、高齢者に感染させてはいけないと引きこもり状態になってしまった人も多いのではないでしょうか。

私自身は在宅で介護をした経験はないのですが、日常生活に介護という仕事が加わる(あるいは主になる場合もあるかもしれません)ことは、想像するだけでたいへんだと思います。

平常時ならば受けることができた自治体のサービスも、感染対策のために受けられなくなっているケースもあると思います。

終了日程が皆目みとおせないこのコロナ禍の生活です。
ストレスが日々増大していることは、想像に難くありません。

鳥取県北栄町の社会協議会の方から、講演依頼のお電話をいただいたとき、そんな話も伺いました。

例年の行事は、日頃の介護のストレス解消に旅行に出かけられていたそうですが、このコロナ禍なので講演に切り替えられることになったそうです。

「日頃の慰労と心身のリフレッシュができる内容でお願いします」

とのご依頼だったので、90分の時間内でふだんより多めに歌を入れました。

コロナ禍でも一人でできるストレス解消に有効なストレス解消法についてお話をしました。

在宅介護者講演会で歌う石川

さらに、セルフケアで解消できないストレスは、
家族との会話
知人・友人との会話
など、人と話すことで解消できることがわかっています。

近年、毎年日本のあちらこちらで起こる災害で、いわゆる「惨事ストレス」といわれるストレス反応もクローズアップされるようになりました。

そんな日常生活以上にストレス度が高くなる状態にも、「家族との会話」や「知人・友人との会話」が効果的だと言われています。

なかなかリアルで会う機会がもてない場合は、スマホのビデオ通話でも、普通の電話でもいいですから、話すことを意識したいものです。

90分のあいだ、たくさん笑って、そして泣いていただきました。

終わったあとも、何人かの方が話しかけてこられ、感想を述べられました。

話しながら涙を浮かべられた方もいらっしゃいました。

リフレッシュしてご家庭に帰っていただけていたら、私は最高に幸せです。

今回は人数限定で、大きな部屋でかなり距離を取った椅子の設定でしたが、早くたくさんの方が集まれるようになり、大きな声で語り合いながら聞いていただける状況になることを記念しております。

北栄町在宅介護者の集いのチラシ

項 目内 容
講演会タイトル令和3年度第一回在宅介護者の集い
日 時2021年10月11日(月)10:00~11:30
演 題「しゃべって泣いて笑って免疫力アップ」
場 所鳥取県東伯郡北栄町 北栄町社会福祉センター
考え込む女性

嫌いな人のいい所なんて見つけられない!

嫌いな人っていますか?

いないってことはないですよね。

マザーテレサのような特別な聖人でもないかぎり、できれば顔を合わせたくないという人が、誰だって一人や二人くらいはいるはずです。

それどころか、同じ空気を吸いたくないくらい、徹底的に嫌いな人がいるという人だっているでしょう。

嫌いな人や苦手な人がいる場合に、人に相談するとよく言われる言葉で
「嫌いな人は、自分自身の映し鏡」
というのがあります。

その意味は、
相手に嫌だと感じる部分があなた自身の中にある
ということのようです。

中には、
「あなたにそのことを気づかせるために、あなたの前に現れたのよ」
なんて忠告する人もいます。

そう言われてすぐに、
「そうか、そう言われてみれば、確かにそうかもしれない。反省しなければ」
と思い当たる節がある場合もあれば、

「とんでもない、絶対にそんなはずない!」
と反発したくなる場合もあると思います。

嫌だと思っている相手に、日常的に悩まされ、心が弱っている状態の人が、そんなことを言われてよけいに苦しくなったという人もいます。

本当に、自分にとってそんな嫌な存在が「映し鏡」なのかどうかを、今日は一緒に考えてみたいと思います。

私的には「必ずしも映し鏡ではない」と思っています。
はっきり言って「映し鏡」じゃない場合の方が多いと思っています。

そうはいっても中には映し鏡な場合もある

鏡の画像

「嫌いな人は、あなたの映し鏡説」でよく言われているのは、
自分の中の嫌な部分を相手に言動や行動に見ているんではないか、ということや、
自分がやりたくてもできないことを、やっている人を羨やむ気持ちがあるのではないか、ということです。

例えば、職場の後輩が、誰にでも明るくしゃべって、いつも場の中心になっている人を見て、
「異性に上手に取り入る人なんて嫌い」
「異性の前だと態度変わるんだから」
という気持ちを持つのは、気持ちのどこかで、
自分も気さくに異性と話して、話の中心にいたいと思っている、ということです。

確かに私だって、無意識にそんな感情を抱くことだってあるかもしれませんが、そんなケースばかりではないと思います。

どうもすべてに当てはまる法則ではなさそうです。

嫌いな人のいい所をみるべき説

虫眼鏡で見る女性

「映し鏡説」でよく言われるのは、嫌いな人、苦手な人とうまく接することができない人に対して、

「その人のいい所を見つけるようにすればいい」
「悪い所ばかり見ないで、いい所に目を向けなさい」
なんてことを言う人がいます。

自己啓発本などでよく目にする言葉でもあります。

自己啓発本も、いい意味でやる気を奮い起こしてくれるものもあれば、読み手の心の状態によっては、まるで実行不可能だったり、自分が責められているように感じて逆効果だったりすることがあります。

すべてとは言いませんが、自己啓発本に多いのは、たまたまその人がうまく行ったことを広げて書いていたり、心理学を自分の説に都合のいい部分だけをつまみ上げて書いていたりするケースが多いように感じます。

そんな本を読んで、苦手だけど仕事上どうしてもそんな相手とかかわらないといけない場合など、なんとか努力しようと頑張ってみても、たいがい挫折してしまいます。

中には、視点を変えて見るようにしたら、嫌な気持ちが薄らいだということもあるかもしれませんし、

生理的に受けつけないとか、相手を偏見の目で見ていたことに気づいたなどであれば、自分自身が反省しなければならないと感じる場合もあるかもしれません。

しかし、そんなふうに努力しても、嫌いな気持ちがどんどん大きくなっていく場合があります。

相手にある程度「いい所」があるなら、そこまで嫌いにならないのではないか、と思います。

世の中には驚くほど嫌な奴だっている

怒っている中年男性

「映し鏡説」は、そもそも性善説の上でこそ成り立つ説ではないかと思います。

しかし、現実世界では性善説では対応できないような事件のニュースが、毎日たくさん流れています。

平気であおり運転する人
SNSでヘイト発言をする人
特定人物を誹謗中傷して自殺まで追い込む人
窃盗、放火、傷害、殺人までする人が存在しています。

その人に対して嫌悪する感情も、映し鏡になるんでしょうか。

そんな特殊例じゃなくても、
日常生活で出会う人にも、考えられない行動を取る人だっています。

そんな人に、職場で出会うこともあれば、今まで普通に付き合っていた友人がそんなふうに変化する場合だってあります。

圧倒的に理不尽なことを言ってくる人
日常的にパワハラ発言をくり返す人
信じられないような差別発言をする人
マウントが取りたくてこちらの心を傷つけるようなことを平気で投げつける人

そんな人に一度も出会ったことがないという人は、おそらく存在しないのではないでしょうか。

私自身、かつて勤務した職場で、そんな人が何人もいるような環境で仕事をしていて、日々、消耗していました。

まあとてつもないパワハラ三昧の中で何年も過ごしていましたねえ。
メンタルは平気ではなくて、ちょっと病みそうになったこともあります。

メンタルを病んで自宅療養を続ける同僚も、一人や二人ではありませんでした。

そんな状況の中にいる人にも
「その存在も、あなた自身の映し鏡なのです」
なんて無責任な言葉を発することができるのか!と言いたくなりますね。

嫌いな人はより意識してしまう

悩んでいる若い女性

「嫌い」「苦手」という感情にも、大小があったり、種類がいろいろあったりします。
自分自身の心の状態でも変化します。

なんとか我慢して平静を装って付き合える場合もあれば、
今までは割り切って対応できたのに、嫌だという感情が積もりに積もって、「もう限界だ!」という状態もあります。

嫌いな気持ちが強ければ強いほど、相手のことをより意識してしまいますからねえ。

平静を装おうとしても、感情がどこかに表れてしまい、向こうをさらに刺激して、悪いループにはまることになりがちです。

顔も見たくないという感情が、その人のいないときでも尾を引いて、いつまでも嫌なことを考えている時間が長くなります。

忘れようとしても、いつまでもその人の影がつきまとうようになります。

私もそんなことがあって、
休みの日も、気づくとその嫌な相手のこと、まあはっきり言うと上司でしたが、
その人のことを考えているんです。

あー明日はまたあいつになんか言われるのかあ、と思うと、まったく気が休まりませんでした。

こんな状態が続けば、誰だって抑うつ状態になり、メンタルを病んでしまいます。

相手を変えることはできないから自分を変える」説

「相手のいいところを見るようにしなさい」の次によく言われることは、 「相手を変えることはできないから自分を変えなさい」ということです。

確かに、誰だって基本自分が悪いとは思わないので、変わりたくなし、変わらされたくないはずです。

変えようという意図で発言などすれば、激怒させることになって逆効果になることはあっても、考え方を改めさせることなどできません。

それでも、状況によっては、あえて態度を変えてもらわないといけない場合もあるかもしれません。差別発言をくり返す人に、言わないようにしてもらうとか、パワハラ発言を止めてもらうなど、変化を求めるべきな場合もあるでしょう。

相手の心の中は変えることができなくても最低限、言動や態度は改めてもらうべき場合です。

相手が上司であれば、もっと上の立場の人に厳重に注意してもらえば、それが可能になる場合もあります。

そう考えると「相手を変えることはできない説」が万能ではないということが言えると思います。

次は、「自分の心を変える説」ですが、
変わる必要があるかどうか、変えることができる精神状態かどうか、ということにもよると思います。

相手の考え方、行動を受け入れがたいので、自分を変えるべきじゃないと判断するケースもあるはずです。

夫婦や親子関係と違い、こちらが自分を変えてまで対応すべき相手なのかどうかも問題ですが、悩まされている相手ですから、自分が変わることを拒否できないことが多いと思います。

しかし、自分の心が疲れて苦しい状態であれば、自分を無理に変えようとすることで、更に心を鞭打つことになってしまいます。

こんな場合は、「自分の心を変える」ことは避けるべきです。

自分の価値観や心の健康、人権は守る

仏像の画像

「あの人をこんなに嫌うなんて、私は心の狭い人間なんだわ」
「人の悪い面しか見ることができない私は、ひどい人間なんだ」
そんなふうに自分を責めすぎないことが大切です。

まず自分の心の中の「嫌い」という感情を認めてあげてください。
心理学では、感情にいいも悪いもない、と言っています。

すべての感情は、理由があって生まれてきたわけですから、相手を嫌う自分の感情を責めないでください。

お釈迦様も、「縁なき衆生は度し難し」とおしゃってます。
あの慈悲深いお釈迦様でも、仏縁のない人は救えない、という意味だそうです。

あの釈迦様でもそうなんですから、凡人である私達が「嫌い」という感情をゼロにして、好きな人ばかりにすることなんてできなくて当然です。

心が苦しいときには「嫌い」「苦手」「合わない」という感情を持つことを責めないで、まず自分の心を癒やしてあげてください。

まとめ

「嫌いな人は自分の映し鏡」は、万能の法則ではなく、当てはまらない場合も多い。

嫌いな人のいい所を見つけようと無理をすると、自分が苦しくなる。

「相手は変えらないから自分を変える」説については、自分の心が弱っているときは変わろうとしなくていい。無理に変わる必要なんてない場合だってある。

心が苦しいときに相談した相手から、説教めいたことを言われたり、「相手は映し鏡」的なことを言われたら、聞き流す。

感情そのものにいいも悪いもない。

相手を嫌いだという感情を持つことで、自分を責めない。

嫌な人に心の中をかき乱されて、苦しくなったときには以上のことを思い出してください。

窓の掃除をする若い女性

心の風通しをよくする時期

昨年から続くコロナ禍の影響で、今年も多くの講演が中止になりました。

中には、「昨年の予定が中止になったので、今年こそは」という思いでご依頼いただいた講演もありますが、第5波(2021年9月現在)がきてしまったため、またも中止という講演もあります。

最近いただくご依頼の多くは、コロナ禍が長引いてストレス度が高くなっているため、「気持ちがスッキリして元気が出るような話と歌を聞きたい」というご希望があります。

ふだん以上に笑って泣いて心の整理をしていただこうと、内容もいろいろと考えて準備をしていたので、本当にとても残念です。

このコロナ禍だからこそ、今まで以上に心の整理をする必要があると感じています。実際の部屋が身動きできないほど物であふれていては、火災発生時に避難するのも困難になりますし、鎮火するまで相当時間がかかることになります。

部屋と同じように、心の中も心配事や悩み、不安、ストレスがところ狭しと蓄積していけば、感情も動けなくなり、生きづらくなります。

体と心をストレスから守るためには、まずは心の中をスッキリと整理しましょう。

誰かと話すことで心の中の風通しがよくなる

風で揺れる白いカーテン

以前、整理収納アドバイザーの先生と一緒にセミナーの講師をやらせていただいたことがあります。

そのときは、私が消防士時代に感じていた部屋の状況と住人の心の関係や、内部が荒れた住宅が何度も火災を起こしていたことなど、安全面についてお話しました。

ゴミ屋敷状態の家屋の火災にも何度か出動しました。部屋が荒れたり、ゴミ屋敷化したりする原因はひとつではなく、住人の精神状態や身体状態によって違いますが、住人の「孤独感」が強いことが原因の場合もあります。

私が消防士時代には、ご高齢の方のお宅を訪問し、防火診断をすることがよくありました。たくさんのご家庭を訪問しましたが、ゴミ屋敷状態に近い家庭もありました。親戚やご近所とのつきあいもなく、孤独と不安を抱えながら生活していることが、話しているとよくわかりました。

仕事でお邪魔しているので、そうそう長居はできなかったのですが、いろいろ話しているうちに、硬い表情がだんだん柔らかくなり、心のうちを話してくださる方もいました。心の中がネガティブな感情で埋まってしまわないように、誰かと話すことだけでかなり風通しがよくなることがわかりました。

心の中に風を通す

窓ガラスを掃除する若い男性

このコロナ禍で話したくても話せない という期間がとても長くなりました。

減少傾向にあった自殺者数でしたが、2020年は11年ぶりに増加に転じました。まだまだ予断を許さない新型コロナの感染状況ですが、このまま同じような状況が続けば、大人も子どもも心の中の風通しはよくなりません。

しかし、心の中が荒れ放題にならないように、親しい人どうしで、意識して連絡をとりあうことが大切になりますね。

今は、年齢にかかわらずSNSを楽しんでいますが、楽しんでいるつもりが、SNSに振り回されてしまって、よけいにストレスを溜め込んでいる人も多いようです。コロナ禍で人とリアルに会えないから、よけいにSNSに頼ってしまうということもあるかもしれませんが、文字のやりとりで傷つけられることで、メンタルを病んでしまう人もいます。

私は、消防士時代に、そんなふうに心無いひと言をかけられたことが原因で、みずからの命を絶ってしまった人を救急搬送したことがあります。残されて泣き叫ぶ家族の姿を見ると、そんな言葉をかけるような人と出会わなければ助かったのに、と無念さがこちらにも伝わってきました。

実社会でも、SNSでも、自分に不愉快な思いを抱かせる人を、拒絶したり距離を置いたりすることには抵抗があるかもしれません。しかし、それも心の整理整頓だと思って、あえてやれば、心の中の風通しがよくなると思います。

SNSではなくても、スマホを使ってのやりとりが自由にできる時代なので、自分の心にしまい込まずに、グチをこぼしたり、悩みを話したりすることが、何よりも大事ですね。

心の中に風を通すことで、ストレスから身体や心を守りましょう。

鳥取市社会福祉協議会講演会開始前

「笑顔を増やして住みよい町に」を社会福祉協議会の職員さんに

「希望が持てて、もう少しがんばろうと思える、元気が出る話をしてください!」

講演依頼の電話でそう要望されたのは、研修会を担当された方でした。

2019年5月24日に、鳥取市内で 鳥取県東部地区社会福祉協議会職員連絡協議会の研修会で講師をつとめさせていただきました。

社会福祉協議会さんのお仕事内容は幅広いのですが、どのお仕事も「住民の笑顔を増やすこと」につながっているのではないかと思い、演題を「笑顔を増やして住みよい町に」にさせていただきました。

職員の方が接することで施設利用者さんをはじめ、地域住民の方々を元気にしたり、明るく過ごしてもらうことが最終目的ではないかと思います。

私の仕事も、ときにはかなりヘビーな内容の研修を頼まれたりすることもあり、大きな悩みを抱えた方が参加されることもよくありますが、参加する前より少しでも元気になって帰っていただくのが仕事だと考えています。

社協職員さんとは仕事内容は異なりますが、そういう面では共通しているところもあると思います。
まず、私達自身が体も心も元気ではないといけないと思います。

「さわやか会館」の外観

私がかつていた消防という世界も、いろいろとストレスを抱えてしまうことの多い仕事でした。

とんでもなく理不尽なクレームを受けたり、現場では罵詈雑言を浴びせられることもよくありました。

悲惨な現場にショックを受けてメンタル壊さないようにすることも大事ですが、理不尽なクレームなどでメンタルを壊さないようにもしないといけないとも感じていました。

おそらく社協の皆さんも、口にはされないものの、お仕事上で「なんでこんなことを言われなきゃいけないんだ!」と辛くなるような理不尽なことを言われることもあると思います。

そんな思いを乗り越えて、しっかりと人と接するためには、心が元気ではないと対応できません。

ストレス解消に有効な解消法についてお話しました。

「笑い」が心と身体の免疫力を高めることについて、話しました。

心が落ち込んでいるとき、なんでもないことで笑ったらふっと心が軽くなったという経験は、誰でもあると思います。

そんなふうに日頃から、「楽しい」「面白い」「おかしい」ことに対するアンテナを張ることを意識して、笑いのボリュームを上げていけば、ストレス耐性を高めることができます。

実際に私自身が、日常生活の中で見過ごしそうな面白い出来事を素材にした歌を聞いていただきました。

会場内は爆笑となりました。
参加者さんの免疫力も上がったことと思います。

「さわやか会館」玄関

たいていの方が、いくつか趣味を持っています。

「俺は無趣味で、仕事ひと筋だ!」
なんて言う人でも、実際はなんらかの趣味を持っているものです。

自分ではストレス解消になっていると思ってやっている趣味も、実は逆効果なこともあります。
ストレス解消に効果的な趣味と、逆効果となりうる趣味についてお話しました。
もちろん、個人個人でストレス解消度は違うので、いちがいに言える話ではありません。

運動がストレス解消によい、と言っても疲労が蓄積しているときにやると、そのときは気持ちが晴れたとしても、その疲れがその後メンタルにも影響してくることもあります。

体が疲労していてもやれる趣味
自宅で一人でも楽しめる趣味

そんな趣味も持っておいたほうがいいです。

好きな趣味で、よけいにストレスをためないように、自分の体と心の状態に気をつけておくことが大切ですね。
がんばり過ぎてしまう人が多いと言われる日本人ですが、趣味までがんばり過ぎないように気をつけましょう。

まずは自分自身が心身ともに元気になって
まわりの笑顔を増やしていきましょう!

項 目内 容
講演会タイトル鳥取県東部地区社会福祉協議会 職員連絡協議会研修会
日 時2019年5月24日(金)14:40~15:50
演 題「笑顔を増やして住みよいまちに」
場 所鳥取県鳥取市富安 鳥取市障害者福祉センター「さわやか会館」3F
日本海新聞に掲載された石川達之のコラム

心の声を聞くこと(日本海新聞コラム)

震度6弱の地震が鳥取県中部を襲い、ようやく余震の間隔は間違になってきたものこの原稿を書いている今日現在、まだゼロとはならないようです。

回数が減少したことに安堵したい気持ちと、警戒を怠ってはならないという張りつめた気持ちと、行きつ戻りつする日々が続いています。

昼の時間帯に襲われたので、職場やショッピングセンターや体育館や、それぞれさまざまな場所で地震を体験されたことと思います。

普段過ごしている家の内部の変貌や、窓ガラスが壊れ、棚から商品が落下散乱し、悲鳴が飛び交う商店の情景が、いまだに脳裏から去らない方も多いのではないでしょうか。

恐怖心がほんの少し薄らぎかけた時に、またも襲ってくる余震に、一人住まいの高齢者の方の不安はたとえようもないほど大きいだろうということは、想像に難くありません。

ボランティア募集のニュースを見て、「何もできない自分が歯がゆい」と自分を責める方もいました。あれほどの揺れを体験したのですから、誰の心も無傷ではいられません。

収束したという実感が得られるまでは、どことなく重苦しい気持ちが続くのではないでしょうか。

それでも仕事はすぐに再開され、日々の業務に、あるいは平常時以上の激務に追われている方もたくさんいらっしゃるでしょう。

まずは自分のできることをやり、日常を取り戻すことが大事なのだと思います。

私は、心が揺れるたびに、かつて阪神淡路大震災のあと、総務省消防庁から通知された消防職員の惨事ストレス対策を思い起こします。

その中に、イライラしたり、過敏になったり、感情が湧かない、出来事を思い出しそう
な場所を避けるなどの反応が出てくるが、それは「異常な状況に対する正常な反応でる」ということが書かれていました。

1人になると不安になったり、気持ちがどんよりと曇りがちになったりすることは、心が弱いのではなく、当たり前のことだということです。

自衛隊のメンタル官だった下園壮太氏の著作に、惨事後のイイラ対処法として、「仲間と愚痴る」「笑い、ユーモア、音楽の活用」ということを挙げられています。さらに、もっとも効果的なストレス解消法は、「人に相談する・悩みを打ち明ける」ことだと言われています。

地震の数日後に白壁土蔵群周辺の知り合いを訪ねました。

あちらこちらで、立ち話をする方々の姿が見られました。
みなさん、相手の被害の説明に耳を傾け、お互いに励ましあっていました。

顔を合わせて話しあうことで、張りつめていた気持ちが和らぐという実例を目にした思いでした。

忙しくて何もできないながらも、まずは身内から、離れて暮らす家族や友人に電話をかけたり、メールで話し相手になることも、大きな救いになるのではないでしょうか。

そして、自分の心の声を聞いてあげることも、忘れないでほしいと思います。

日本海新聞「潮流」の記事画像
講演ステージで歌う石川達之

心配事をなくすことで交通安全を

建設会社さんの安全大会でお話をさせていただく機会が、年々増えてきました。

やわらかい話も、かたい話も織り交ぜてお話をさせていただいていますが、2017年6月16日の馬野建設株式会社様の安全大会では、
「心配ごとをなくすことで安全を」
というお話もさせていただきました。

馬野建設株式会社安全大会の会場となった未来中心外観
鳥取県立未来中心

今回の講演では、特に「交通安全」をテーマに、というご要望でしたので、交通事故のお話をさせていただきました。

私の講演の場合、事故事例をお話しても単なる事故の概要ではなく、負傷者の状態や、事故に至るきっかけについてもお話しました。

といいますのは、
交通事故の事故原因は、たとえば「一時不停止」とか「安全不確認」など行為としての原因が主にあげられますが、さらにその行為の原因は? というところは詳らかにはなりません。

救急隊員は、事故現場の詳細な調査をするわけではなく、負傷者の応急処置と搬送が仕事なのですが、病院に到着するまでずっと負傷者と一緒にいることになります。

道中、負傷した方がいろいろと話されることがあります。

「実は、心配事があって、気持ちがそっちにいってたんです」

「家を出る前に、家内と言い合いになって、カッとしたまま車を出したせいであんな事故になったんですわ」

というようなことを耳にすると、統計上の事故原因にはあがってこない、「心の原因」というものも、かなり多くあるようだと感じました。

馬野建設株式会社安全大会で話す石川

ストレスが蓄積していたせいで、追い越されただけでカッとなったり、
心配事があったために、注意力が散漫になったり、
いろんなケースがありました。

普段からのストレス解消や、家庭や職場でのコミュニケーションを円滑にすることで、回避できた事故もたくさんあったはずです。

日頃から心配事やイライラをなくすために、ストレス解消法について今一度考え直してみることや、
会話によって意志の疎通をはかることが、結果として交通安全への効果的な取り組みになります。

悲惨な交通事故現場のエピソードをお話させていただくことで、少しでもリアルに感じていただけたら、とこの日も汗だくで話し、歌いました。

馬野建設株式会社社長と記念撮影する石川
馬野社長さんとのツーショット

終了後、代表取締役社長の馬野様から、
「心に響きました」
というお言葉をいただきました。

項 目内 容
講演会タイトル馬野建設株式会社安全大会
日 時2017/6/16(金)13:30~15:00
演 題「消防現場で学んだ安全意識と心の健康」
場 所鳥取県倉吉市 鳥取県立倉吉未来中心
日本海新聞に掲載された石川達之のコラム

「笑い」のチカラ(日本海新聞コラム)

以前から「笑い」というテーマで障がい者家族会、介護者教室などでお声をかけていただく機会がありました。

家族を介護していく中でどうしてもストレスを溜めがちになるので笑わせて欲しい、という講演依頼でした。

打合せ、会場の準備、片づけのときなどに家族の介護をしていらっしゃる方から伺う介護の苦労は、私の想像をはるかに超えたものでした。

そんな話の中に、先の見えない長い介護生活で心身ともに疲へいしきっているとき、寝たきりのおじいちゃんがふいに「プーッ」ととても長い、間の抜けた音階のオナラをしたため、家族で顔を見合わせて噴き出したことがあった、というエピソードがありました。

長い期間笑うことも忘れていたのに、ふっと心身の力が抜け、ほのぼのとした気持ちになって笑い、涙を流されたそうです。「笑うって大事なことですね。もう限界だ、と思っていたのに、またがんばろうという気持ちになりました」と語られました。

ここ数年、「笑って心の健康」というテーマでの講演依頼を、企業、お寺、公民館などさまざまな団体から受けることが多くなりました。

免疫力を上げ、ストレス抵抗力を高めるために、日々の生活の中で「笑い」を見つけ、会話に「笑い」を取り入れる方法、さらには「笑い」を生み出すコツなどについて実例をあげ、歌を交えてお話しさせていただきます。

「笑い」を見つけ、取り入れるという行為は、私自身が笑えない時期を過ごしたからこそ取った方法でした。

自分の心が弱り切っているときに、同僚を笑わせたり、友人と笑いあったりすることが、エネルギーを充てんすることになりました。笑うことで肩の力が抜け、相手との心の距離がぐんと縮まるというメリットもあります。

「笑い」にも多種あり、ブラックな笑い、攻撃的な笑いもあります。時と場所、聞き手の心理的な状況などで、それが「笑い」になるかならないかが決まるデリケートなものでもあります。

そんな多様な「笑い」の中でも、自己開示を伴う「笑い」は優秀なコミュニケーションツールとなります。自己開示は、コミュニケーションの基本であり、信頼関係を築くための基本でもあります。

初めて訪れた土地での講演で、私が壇上に立つと、「あれは誰?」というアウェーな空気が充満することがあります。そんなとき、「みなさん、せっかくお越しくださったのに、オーラのない講師で申し訳ありません」の一言に続く失敗談、挫折経験などを交えた自己紹介で笑いが起こると、空気が一転して、会場に笑顔が広がります。

私自身のストレスも「笑い」で見事に解消されることを、身を持って体験する瞬間です。

日本海新聞「潮流」の記事画像
上部へスクロール