今日は、認知症予防にとても効果的な方法についてお話しします。
それは、なんと「笑い」なんです。
「えっ、笑うだけで認知症予防になるの?」って思われるかもしれませんね。
でも、本当なんです。
笑いには、私たちの体と心を健康に保つ素晴らしい力があります。
そして、これは単なる言い伝えではありません。科学的な研究結果がそれを裏付けています。
認知症予防、これなら難しくありません
最近、テレビや新聞で認知症の話題をよく目にしませんか?
高齢化社会が進む中で、認知症は避けて通れない大きな課題になっています。
特に、新型コロナウイルスの影響で、外出する機会が減ってしまった高齢者の方々は、フレイルといって健康な状態と要介護状態の中間の段階の方がとても増加してしまいました。
ますます認知症のリスクが高まっているというわけです。
でも、心配しないでください。認知症予防の方法もいろいろありますが、とても簡単にできる方法があります。
それが、「笑う」ことなんです。
笑いの科学的効果
「笑い」は、年齢に関係なく誰でも楽しめる最高のストレス発散法です。
そして、このストレス発散が、実は認知症予防にとても効果的なんです。
2014年に発表された研究(カリフォルニア大学アーバイン校の研究チームによって行われた)によると、ユーモアを理解し笑うことは、短期記憶や創造的思考、学習能力の向上に繋がることが分かっています。
これらの能力は、認知症の予防に重要な役割を果たします。
笑うと、私たちの体の中でどんなことが起こるか知っていますか?
- エンドルフィンの分泌
脳内で「エンドルフィン」というホルモンが分泌されます。このエンドルフィン、「幸せホルモン」とも呼ばれていて、気分を良くしてくれるんです。 - ストレス軽減
2016年のカリフォルニア大学アーバイン校の研究チームによって行われた研究では、笑いがストレスホルモンであるコルチゾールのレベルを下げることが確認されています。 - 運動効果
思い切り笑うと、お腹に力が入りますよね。これは立派な運動なんです。アメリカの研究者の計算によると、15分間の笑いで、約10〜40カロリーを消費するそうです。
※主な研究者: ガーシャ・ブレイン博士を中心とするチーム(ロマリンダ大学とカリフォルニア大学アーバイン校の共同研究)
脳の活性化と笑い
脳の活性化には、食事、運動、コミュニケーションの3つが欠かせません。
そして、「笑い」は、この「運動」と「コミュニケーション」を同時に満たしてくれる素晴らしい活動です。
友達や家族と一緒に笑うと、それは立派なコミュニケーションです。
一人でテレビを見て笑っても、それは脳にとっては他者とコミュニケーションをとっているのと同じような効果があります。
2017年の研究では、社会的な笑いが認知機能の低下を遅らせる可能性があることが示されています。
※主な研究者: マリー・ベネット(Mary P. Bennett)博士とシャキーラ・レングアチャー(Cecile A. Lengacher)博士
さらに、笑いには免疫力を高める効果もあります。
2015年の研究では、笑いが自然キラー細胞の活性を高め、免疫機能を向上させることが確認されています。
※主な研究者: リー・ベーク(Lee Berk)博士を中心とするチーム(ロマリンダ大学)
免疫力が高まると、体の調子が良くなります。体の調子が良いと、自然と外出する機会も増えますよね。外出して人と会話をする。これもまた、認知症予防にとても良いことなんです。
男性は笑顔のハードルを下げましょう
さて、ここで特に日本人男性の皆さんにお話ししたいことがあります。
「笑顔を見せるのは照れくさい」
「感情を表に出すのは苦手だ」
そんな風に感じている方も多いのではないでしょうか。でも、健康のためには、そのハードルを少しずつ下げていく必要があるんです。
では、どうすれば笑顔を取り入れやすくなるでしょうか。いくつかのポイントをお伝えします。
- お笑い番組や映画を見る
現代の日本はお笑い大国となりました。 テレビ・ラジオではお笑い芸人さんの楽しい番組がたくさんあります。 また動画視聴サイトには、各国のコメディ映画が選択に迷うほどたくさんあります。 お笑い番組や映画を見ながら、意識して笑顔になったり、声を出して笑ったりしてみましょう。 - 小さな喜びを見つける
日常生活の中で、ほんの些細な喜びを見つけて微笑むことから始めましょう。 美味しいコーヒーを飲んだ時、好きな音楽を聴いた時など、小さな幸せを噛みしめるんです。 - 笑顔の効果を意識する
笑顔を見せると、周りの人も笑顔になります。それによって、良好な人間関係が築けるということを意識してみてください。 - 趣味の場で笑顔を
好きなことをしている時は自然と表情が和らぎます。趣味の場で意識的に笑顔を増やしてみましょう。 - 家族や親しい友人から
まずは家族や親しい友人といる時に意識的に笑顔を見せてみましょう。慣れてきたら、徐々に他の場面でも笑顔を増やしていけばいいんです。
笑顔を見せることは、決して「カッコ悪い」ことではありません。むしろ、自信と余裕のある人だと周りに映るものです。健康のためだけでなく、人間関係の潤滑油としても、笑顔はとても大切なんです。
また、心の健康に関する講演会や催しに参加するのも効果的です。
私自身、「心の健康講演会」の講師を務めていますが、そこでは単に話を聞いていただくだけでなく、歌を交えたり、消防士時代の現場活動のエピソードを聞いていただき、時には泣いたり笑ったりと、様々な感情を体験していただいています。
普段は抵抗があって、人前で笑顔になることも、涙を流すこともなさそうな、無表情な男性の参加者さんの多くが、講演の前半でとてもいい表情で大笑いされ、後半では手で涙を拭う仕草がステージの上から見えます。
暗い会場で、隣の席の人もステージ上の私を見ているので、自分を見られることはないという安心感もあるのかもしれません。
実は、笑うことだけでなく、泣くことも脳にとっては良い刺激になります。感情を抑え込まずに表現することで、ストレス解消にもつながります。
ある研究では、感情を適切に表現する人の方が、認知機能の低下が遅いという結果も出ています。
※主な研究者: サラ・マッティングリー(Sarah A. Mattingly)博士とマーク・ヘルフリッチ(Mark A. Helfrich)博士を中心とするチーム
こういった講演会や催しでは、同じような興味を持つ人たちと出会える機会にもなります。新しい人間関係を築くことも、脳の活性化には大切なんですよ。
日々の生活に笑顔を
大切なのは、笑顔で過ごす時間を意識的に増やすことです。
朝起きたときに、鏡の前で自分に向かって笑いかけてみてください。気分が良くなります。
実際、意識的に笑顔を作ることでストレスへの反応が和らぐことがわかっています。
そして、周りの人たちにも笑顔を向けてみてください。きっと、笑顔は返ってきます。 その笑顔の交換が、あなたの脳を活性化させ、認知症予防につながっていきます。
2018年の研究では、社会的な交流が多い高齢者は、認知機能の低下が遅いことが報告されています。
※主な研究者: イヴォンヌ・ルフェーブル=アンダーソン(Yvonne Lefevre-Anderson)博士を中心とするチーム
時には、悲しいことや辛いこともあるでしょう。
そんな時は、無理に笑顔を作る必要はありません。感情を素直に表現することも大切です。
泣きたい時は泣き、怒りたい時は怒る。そうやって感情を表現した後に、自然と笑顔が戻ってくる。そんな心の動きも、実は脳にとってはとても良い刺激なんです。
まとめ:笑顔で健康に
「笑い」には、素晴らしい力があります。気分を良くし、体を動かし、人とのつながりを作る。そのどれもが、認知症予防に効果的なんです。
だから、今日からもっと笑いましょう。そして、時には泣いたり怒ったりと、感情豊かに過ごしましょう。
たくさん笑って、楽しく過ごすことが、一番の健康づくり、認知症予防になります。
明るく、楽しく、笑顔で。そんな毎日を過ごしていけば、きっと健康な体と心を保つことができますよ。
さあ、今日も笑顔で過ごしましょう!