早期退職して初めて桜が「きれいだ」と思えた日|40代・50代の迷いは弱さじゃない

桜の花見の画像

40代・50代になると、春が憂鬱に感じることはありませんか?

桜が咲いて、街に新しい空気が漂いはじめる季節。本来なら心が弾むはずなのに、なぜかワクワクより不安の方が大きい。

「4月から環境が変わる」
「このまま同じ日々が続くのかと思うと、焦る」
「周りは前向きなのに、自分だけ取り残されているような気がする」

そんな気持ちを抱えながら、桜を見上げている方も少なくないと思います。

私も長い間、手放しに春を謳歌できないでいました。

でも今は、桜の季節が待ち遠しい。

その変化には、50代が目前に迫ってきた時の迷いや不安と、深く向き合ってきた時間がありました。

目次

消防士だった頃、桜が美しいと思えなかった

消防士として働いていた頃、春といえば花見の季節でした。

満開の桜の下、同僚や上司と酒を酌み交わす。
外から見れば、楽しそうな光景です。

でも実際は違いました。

当時はパワハラ発言が日常会話のように飛び交っていた時代でした。
人事異動後、威圧的な上司のいる署での花見は、憂鬱以外の何物でもありませんでした。

桜の花が目に入っても、「きれいだな」と思う余裕がない。
いや、視界には入っているのに、見ているようで、見ていなかった。

そんな春が、何年も続きました。

春は子どもたちの卒業や進学と、本来喜ぶべき季節であったはずなのに、それさえも心の底から喜べていなかった。
今思うと、それほど消耗していたんだと思います。

退職して初めて、桜を心から美しいと感じた

桜の花が咲く枝

早期退職して、初めて迎えた春のことは今でも鮮明に覚えています。

桜の花が広がる公園を歩いていたとき、ふと立ち止まりました。

「あ、きれいだ」

それだけのことです。でも、胸がじんとしました。

こんなふうに桜を心から楽しめる日を迎えられたことの喜びが、体の中から湧き上がるように感じました。
と同時に、自分がどれだけ長い間、消耗していたかに気づきました。

「同じ桜なのに、こんなに違うのか!」
そう思いました。

美しいものを、そのまま美しいと感じる心の余裕さえ失っていたんだと、そのときあらためて気づきました。

夜中に何度も目が覚めた、50歳手前の頃

夜の寝室の天井

50歳が近づいてくる頃から、夜中に突然目が覚めることが増えました。

眠れないまま天井を見つめ、いろんなことを考えました。

このまま自分の人生は終わってしまうのか。
生きがいを感じられないまま、定年まで生きていくのか。

消防の仕事を軽視していたわけでは、決してありません。
やりがいがないわけでもなかった。
でも、自分の資質を活かせる場所ではないという感覚が、ずっとありました。

教育費はまだかかる。住宅ローンも完済には程遠い。そんな現実を考えると、大きなため息しか出てきませんでした。

子どもたちに、 「お父さんは、生きがいを感じながら精一杯生きてきたよ」 と言って人生を終えたい。

「おやじ、楽しそうに生きてたなぁ」
そう思ってもらいたい。

そんなことを考えれば考えるほど、真逆な人生を生きている現実から、目が逸らせなくなっていました。

早期退職の背中を押してくれた出来事

消防署の車庫で悩んでいる消防士

50歳になって、ようやく本気で脱サラを考えるようになりました。

きっかけのひとつは、定年前に癌が発見され、心待ちにしていた「自由な生活」を送ることなく他界した先輩の存在でした。

また、救急隊員として対応した、私よりひと回りもふた回りも年下の人たちが、病気や事故で亡くなっていく場面を、何度も目にしてきました。

それらが重なり、

「自分のやりたいことをやらなかったら、一生後悔することになる」

と強く思うようになりました。

時間が経つと弱気になることもありました。
でも、そのたびに亡くなった先輩や、現場で見送った若者たちの姿が蘇り、

「自分の人生と、ちゃんと向き合えているのか?」

そう問いかけられているような気がしました。

40代・50代の不安は弱さじゃない

40代・50代になると、こんなことを考えるようになります。

「このままでいいのか」
「自分には、もっと合った道があるんじゃないか」
「もっと生きがいを感じられる生き方があるんじゃないか」

でも同時に、もう一人の自分のこんな声が聞こえてきます。

「ローンや生活費はどうするんだ」
「脱サラするには遅すぎる年齢じゃないか」
「夢みたいなことを考えずに、今のまま地道に生きたほうがいいぞ」

私もそうでした。
迷っていること自体に、後ろめたさを感じていました。

しかし早期退職して、あの迷いは、弱さじゃなかったということが、わかりました。

自分の人生を見つめ、よりよい人生を生きようとしていた証でした。

焦りも、不安も、夜中に目が覚めることも全部、「もっと自分らしく生きたい」という心の声だったんです。

迷ったから見えてきたもの

桜の花見をする家族

私は54歳で消防局を早期退職し、講演活動を始めましたが、最初から自信があったわけじゃありません。

でも、「自分はどう生きたいのか」と問い続けてきたからこそ、踏み出すことができました。
あの迷いがなければ、今の自分はいなかったと思っています。

そして、今まで一度も後悔したことはありません。

とは言え、
「迷ったらすぐに脱サラした方がいいですよ」と、脱サラを推奨しているわけではありません。

真剣に今後の人生を考える時間を持つことは、脱サラを実行するにしても、今の仕事についての考え方を再点検するにしても、無駄にはなりません。

「より良く生きたい」という思いを持ち続けることは、きっと自己実現につながるはずだからです。

4月から、異動、転勤など、新しい環境に飛び込む方もいると思います。

変わらない日常の中で、焦りや迷いを感じている方もいると思います。

どうか、その「このままでいいのか」と疑問を持つことを、簡単に手放さないでください。

それはあなたが、自分の人生をちゃんと考えている証です。

まず、自分にこう問いかけてみてください。

自分は何がやりたいのか。
ずっと情熱を傾けられるものは何か。
これからどんな自分でありたいか。

どう生きることが後悔しないことにつながるのか。

答えはすぐに出ないかもしれません。
問い続けることが、すでに一歩です。

私だって、また問い直す時期がやってくるはずです。
さらに高齢になって、遠方まで講演に行かれなくなる時期もくるでしょう。

それでも、きっと問い続けるだろうと思います。
桜の花を、毎年美しいと感じられる自分でいられるように。

今年の桜は、去年より少し違って見えるかもしれません。

美しいものを、美しいと感じられる自分でいること。それが、いい人生の始まりだと私は思っています。


自分の経験を棚卸しして「強み」と「生きがいの種」を見つけるために、私がUdemyで講座を作りました。
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