ここ数年、近しい友人が次々に亡くなりました。
考えてみれば、私自身も終活を考えてもいい年齢に来ました。
友人が亡くなったあと、家族が本人のスマホにログインできなくて、友人・知人の連絡先がわからず困ったとか、どんなサブスクに課金してたかがわからず大変だったなどと聞きました。
自分が亡くなったあと、子どもたちが困らないように、いろいろと整理しておくことは大切なことです。
少しずつではありますが、準備を始めています。
それと同時に、やり残したこと、まだ手をつけていないけれど、やらずに死んだら後悔しそうなことを整理しようと考えるようになりました。
私にとっての終活は、ただ人生を閉じる準備ではありません。
「残りの人生の限られた時間を大切に過ごす」きっかけにする終活 でありたいと思っています。
そう考えたとき、ある言葉を思い出しました。
「夢はかなうためにある」への違和感

私が脱サラする前のことです。
読んだ本でよく目にしたり、講演でよく耳にしたりした言葉がありました。
「夢はかなうためにある」
聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。
当時、熱い系の講演家がもてはやされていた時期で、ファンの人たちがよく口にしていた言葉でもありました。
「やってやってやり抜け!」
「すでに夢が実現したようにイメージしろ!」
そんな言葉に励まされてがんばっても、夢をかなえられなかった人がいます。
夢なんかなくても充実した毎日を過ごしている人もいます。
夢がかなえられなかったために、夢見たことを後悔する人さえいます。
私には夢があります。
(キング牧師のような大きな夢ではありませんが)
すでにかなった小さな夢もあれば、この歳になってもまだまだ近づけていない夢もあります。
夢かなわずに死ぬかもしれません。
それでも、追いかけながら死ねればいいなと思っています。
「もう時間が足りないだろう」と言われても

「そこまで壮大な夢を描いても、残りの人生の時間じゃ足りないだろう」
そう思われるかもしれません。
しかし、達成できなくても、夢に向かって進んでいくこと自体に生きがいを感じています。
実は私、防災士なんです。
元消防士なので意外性もなにもないのですが、防災関係の本を読んでいて、この思いを強くした言葉があります。
山村武彦 さんの 「新・人は皆『自分は死なないと思っている』」 の中にこうありました。
悲観的に準備し、楽観的に生きる
最善を尽くす
準備は最大限に備えて、準備したら日常は楽観的に生きよう。
そして最善を尽くす。
片田敏孝 さんの 「人が死なない防災」 にも、とても感銘を受ける言葉がありました。
自らの命を守るために主体的たれ
最善を尽くしても死ぬかもしれない
これは防災だけの話ではないと思いました。
夢や目標にもそのまま当てはまります。
自分の夢だから、自分が主体的にやっていく。
最善を尽くしても夢は実現しないかもしれない。
それでも最善を尽くすことに意味がある。
この言葉に、大きな救いを感じました。
希望を持って生きることは、心と体にもいい

私がそう感じていたことは、実は科学的にも裏付けられていました。
日本で約4万3,000人を対象に行われた大規模な研究(大崎国保コホート研究)では、「生きがいがある」と答えた人に比べ、「生きがいがない」と答えた人は全死亡リスクが約1.5倍高かった ことが報告されています。
(出典:Psychosomatic Medicine, 2008年)
アメリカでは、50歳以上の約7,000人を追跡した研究で、「人生に目的がある」と感じている人ほど死亡リスクが低い ことが示されました。
(出典:Psychological Science, 2014年)
さらに、米国国立老化研究所(NIA)は、楽観的な姿勢を持つ人ほど長寿で、精神的な健康状態も良好である という研究結果を紹介しています。希望や前向きな気持ちが、ストレスへの対処力を高め、心身の健康に良い影響を与えると考えられているのです。
つまり、夢を持ち、希望を持ちながら生きることは、気持ちの問題だけではなく、実際に心と体を健やかにしてくれる ということです。
「夢」「目標」「使命」など、心が弱っているときには見たくもない言葉かもしれません。
でも、心のエネルギーが枯れないように気をつけながら、自分のペースで追いかけていく。
そこに、充実感があると感じています。
生き生きと活動する高齢者たち

内閣府の調査によると、60歳以上の高齢者のうち、生きがいを「十分感じている」「多少感じている」と答えた方は、合わせて約8割にのぼります。
一方で、社会活動に参加している65歳以上の方は約半数にとどまっています。
参加していない理由として多いのは、「健康や体力に自信がない」、そして「きっかけや機会がない」というものでした。
きっかけさえあれば動きたいと思っている方が、実はたくさんいるのかもしれません。
私は各地に講演で伺う機会がありますが、地域活動に生き生きと取り組んでおられる高齢者の方々にお会いすることが多くあります。
ボランティアや趣味のサークル、地域の見守り活動など、それぞれのかたちで社会とつながり、誰かの役に立つことに喜びを感じておられる。
そのたびに、こちらのほうが元気と刺激をもらっています。
社会活動に参加している高齢者ほど健康状態が良いという調査結果もあります。
何かに向かって動いていること、誰かとつながっていること。
それ自体が、心と体を支えてくれるのだと実感します。
子どもや孫に見せたい「諦めない姿」

子育て講演会でお話させていただく機会があります。
講演会の中で、こんなことを話しています。
「子どもが社会人になろうと、私は自分が死ぬまでが子育てだと思っています」
うちの子どもたちは社会人になり、家庭を持って、しっかりと自立してくれています。
ふつうなら、もう親の仕事は終わったといわれます。
しかしその後も、親が生きる姿を彼らはずっと見つづけるわけです。
夢をかなえる姿を見せることができれば一番いい。
でも、かなえられないかもしれません。
それでも、諦めないで、人生を楽しみながら進んでいく姿 を見てもらいたいと思っています。
孫たちが「おじいちゃんは楽しそうに何かに向かっている」と感じてくれたなら。
自分の未来にも夢を持ってもらえるかもしれない。
「年をとっても大丈夫なんだ」と安心してもらえるかもしれない。
これはあくまで私なりの思いですが、ときに苦しみもがきながらも前を向いている姿は、言葉よりも強いメッセージになるのではないかと思っています。
生きているかぎり、伝えつづけたい

生きているかぎり、オリジナルソングも作りつづけたいと思っています。
そして、講演やUdemy講座を通じて、一人でも多くの方に伝えていきたいことがあります。
大切な人に 「ありがとう」 を伝えることの大切さ。
命の尊さや、日常のありがたさや、
自分が経験してきたこと、学んできたことを、誰かに届けることの意味。
先のことは誰にもわかりません。
私の友人たちも、現代では、亡くなるにははまだ早いという言われる年齢で、突然襲ってきた病気に命を奪われてしまいました。
私だって、いつ何時、予想もしていなかった病気が襲ってくるかもしれません。
それでも、なるべくピンピンころりと逝けるように、健康に気をつけながら活動を続けていきたいと思います。
あなたの経験にも、きっと誰かを救う力があります。
あなたの言葉を待っている人が、どこかにいるかもしれません。
その一歩は、必ず誰かに届きます。
思い描いた計画は、最善を尽くしても完了できないかもしれない。
それでも、追いかけつづける姿勢は、とても尊いものだと思います。
まだまだ道の途中です。
合わせて読みたい:「マイナス体験は伝えることで輝く【過去の失敗で傷ついた心を癒やす】」
もしこの記事を読んで、ご自身の人生を振り返ってみたいと感じた方へ。
バラバラに見えた経験が一つにつながる「自分だけの視点の見つけ方」を、短い動画にまとめました。
これからの人生で、自分の体験や学びを大切な誰かに届けるきっかけになれば嬉しいです。
参考文献:
- Sone T, et al. “Sense of life worth living (ikigai) and mortality in Japan: Ohsaki Study” Psychosomatic Medicine, 2008.
- Hill PL, Turiano NA. “Purpose in Life as a Predictor of Mortality Across Adulthood” Psychological Science, 2014.
- National Institute on Aging. “Optimism linked to longevity and well-being in two recent studies“
- 内閣府「令和4年度 高齢者の健康に関する調査」





