2015年2月6日、鳥取県労働基準協会東部支部で開催された労務管理講習会で、講師を務めました。
対象は、鳥取県東部地区にある企業の労務担当者の皆さんです。
演題は、
「明日を楽しく働くために」
消防・救急現場で経験した労働災害や、家族の心の病気に向き合った経験をもとに、働く人の心の健康について1時間お話ししました。
もちろん、この日もオリジナルソングの弾き語りを交えました。
働き盛りの皆さんに聞いてほしかった心の健康

私は以前から「心の健康」をテーマに講演していました。
当時は、公民館や福祉施設などでお話しする機会が多く、日中に会社で働いている方へ直接お伝えできる機会は、まだそれほど多くありませんでした。
一方、消防士として労働災害へ出動すると、働く人の心身の状態と職場の安全は、切り離して考えられないと感じることがありました。
睡眠不足や疲労、家庭の心配事、職場の人間関係。
そのような問題を抱えているとき、いつもならできる確認を見落としたり、仕事に集中しにくくなったりすることがあります。
ただし、事故の原因を個人の心の問題だけに求めてはいけません。
設備、作業手順、人員配置、教育、職場環境など、組織として整えるべき安全対策が土台です。
そのうえで、働く人が悩みを一人で抱え込んでいないか、無理を重ねていないかにも目を向ける必要があります。
労務管理に携わる皆さんへ、そのことを直接お伝えできる今回の機会を、とてもありがたく感じました。
知識だけでなく、実際の体験を伝える
心の健康や労務管理の研修では、制度や統計、専門用語の説明も必要です。
しかし、知識を並べるだけでは、自分や身近な人の問題として受け取ってもらいにくいことがあります。
私がお話しできるのは、専門家としての理論ではありません。
32年間の消防生活で経験した救急・救助現場のこと。
悲惨な現場で活動した消防職員の心の負担。
そして、家族が心の病気で苦しみ、少しずつ変化していく姿をそばで見てきた経験です。
心が元気な人でも、疲労やストレスが重なれば、心身の調子を崩すことがあります。
反対に、悩んでいる人へ周囲が声をかけ、話を聴き、必要な支援へつなぐことで、孤立を防げる場合があります。
講演では、誰かを「心が強い」「心が弱い」と分けるのではなく、誰にでも起こり得る問題として心の健康を考えていただきました。
硬いテーマだからこそ、笑いと歌を交える
安全や労務管理、メンタルヘルスを扱う研修は、どうしても硬い雰囲気になりがちです。
主催者からも、
「毎年、内容が硬くなってしまう」
「参加者に最後まで関心を持って聞いてほしい」
というお話を伺うことがあります。
だからこそ私は、消防・救急現場の話だけでなく、日常の身近な出来事や穏やかな笑い、オリジナルソングを交えています。
笑いや歌を入れるのは、心の健康というテーマを軽く扱うためではありません。
重い話だけで終わらせず、参加された方が自分や家族、職場の仲間を思い浮かべながら、最後まで心を開いて聞ける時間にしたいからです。
この日の会場では男性の参加者が多く、大きな笑い声が響くという雰囲気ではありませんでした。
それでも、話が進むにつれて表情がやわらぎ、家族の心の病気についてお話しした場面では、真剣に耳を傾けていただきました。
反応の表し方は人によって違います。
声を上げて笑う人もいれば、静かにうなずきながら聞く人もいます。
講師として大切にしたいのは、表面的な反応の大きさではなく、参加された方が自分の生活や職場を振り返る時間になることです。
労働基準協会からいただいた講演の機会
この講習会は、鳥取県労働基準協会東部支部の事務局長から推薦していただき、実現しました。
当時の私は、地域の公民館や福祉施設での講演が中心で、企業の労務担当者の間では、まだほとんど知られていませんでした。
事務局長からは、
「日中働いている人には、石川さんの存在を知っている人がまだ少ないので、もっとPRしたほうがいいですよ」
という趣旨の言葉をいただきました。
講習会のなかでも私の活動を紹介していただき、その後、参加企業から講演についてのお問い合わせをいただきました。
そのうちの一社へ打ち合わせに伺った際、社長から、
「実際の体験の話を、うちの社員にも聞かせたい」
と言っていただきました。
この講習会をきっかけに、心の健康について企業でお話しする機会が広がっていきました。
講演は、話して終わりではありません。
そこで聞いた言葉が職場へ持ち帰られ、別の誰かに伝わっていくことがあります。
鳥取県労働基準協会東部支部の皆さんがつないでくださったご縁に、改めて感謝しています。
労務担当者にお伝えしたかったこと
心の不調は、本人から「つらい」と言葉にされるとは限りません。
遅刻や欠勤が増える、表情が変わる、会話が減る、仕事上のミスが増えるなど、普段との違いとして表れることもあります。
ただし、その変化だけを見て、周囲が病気だと決めつけてはいけません。
大切なのは、
「最近、疲れていませんか」
「何か困っていることはありませんか」
と穏やかに声をかけ、必要に応じて専門的な相談先へつなぐことです。
また、本人の頑張りだけに任せるのではなく、業務量、人員配置、休みやすさ、相談しやすい職場の雰囲気などを見直すことも必要です。
働く人の心の健康を守ることは、特別な誰かだけのための取り組みではありません。
職場で働く一人ひとりと、その帰りを待つ家族の日常を守ることにつながります。
開催概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 行事 | 労務管理講習会 |
| 日時 | 2015年2月6日 |
| 演題 | 明日を楽しく働くために |
| 対象 | 鳥取県東部地区の企業の労務担当者 |
| 会場 | 鳥取市若葉台南・一般社団法人鳥取県労働基準協会 |
| 主催 | 一般社団法人鳥取県労働基準協会東部支部 |
企業研修・心の健康講演について
私は、32年間の消防・救急現場での経験と、家族の心の病気に向き合った経験をもとに、企業研修や心の健康講演会でお話ししています。
心の不調を知識として学ぶだけでなく、職場での声かけ、悩みを抱え込まないこと、働く人と家族の日常を守ることを、実体験とオリジナルソングの弾き語りを交えてお伝えします。
企業の労務担当者研修、管理職研修、メンタルヘルス研修など、主催者や参加される方に合わせて内容を構成します。
心の健康をテーマにした講演を企画されている方は、講演案内をご覧ください。

