心の元気講演家 石川 達之ホームページ

中学生

山口県和気町の人権講演会のステージで話す石川

言葉は心の中の思いを伝えるためにある【山口県和木町で人権講演会】

ここ数年、小、中、高校の生徒さん対象の講演が増えてきました。
中には保護者さんや地域の大人も一緒に受講される講演も増えてきました。

生徒さんがいる場合は、必ず話すことがあります。
それは、
言葉は心の中の思いを伝えるためにあるということです。

成長過程で感じやすく傷つきやすい年ごろの生徒さんに、「言葉は大事だよ」と紋切り型のことを言っても心に響かないだろうと思います。
私は、私自身が身をもって感じた「言葉の大切さ」を伝えます。

相手の気持ちをわかろうとしないで無神経な言葉を投げかけられて、その直後に自分で命を絶った人がいました。
私は、その亡くなった人にすがりついて泣いている年老いた母親の姿を目にしたときのことを話します。

亡くなってからすでに時間が経過している場合は、救急搬送できず、警察刑事課の方の到着を待つばかりの状態で、そんな悲しみのどん底で泣き叫ぶ姿を目にすることになります。

どんなにたくさん救急出動の経験を重ねても、そんな光景に心が慣れることはありません。
家族の泣き声、悲しみの表情が、胸に突き刺さってきて、その苦しい思いは何日経過しても消えません。

言葉はとても強い力を持っています。
そんな強い力を使うなら、人を悲しませたり、苦しめたりすることに使わないで、相手を笑顔にしたり、心を明るくしたり、優しくすることに使っていきましょう。

そんな話を、2018年11月20日、山口県和木町で開催された「和木町人権のつどい」の講演で話しました。

中学生を前に人権を歌う石川

和木町人権施策推進協議会さんからのご依頼で、会場は和木町文化会館でした。
演題は「救急現場が教えてくれた命の輝き」でした。

町ぐるみ「和木学園」
町全体が学園(学び舎)
みんなが生徒 みんなが先生となり生涯学習を推進します

というコンセプトの授業の一環だということを聞いて、いい企画だと思いました。
そんな取り組みのひとコマに、私の講演を入れていただいたことがとても嬉しいです。

講演のポスターやチラシがグリーンを基調にしてありましたが、和木町のテーマが「緑の風薫る文化のまち」ということからだそうです。
とてもさわやかなデザインにしていただきました。

担当者さんからいただいたご依頼のメールに、町ぐるみの生涯学習ということを考える上で、「言葉」がとても重要だと考えておられた折に、私のホームページで「ことばの力のすごさ」という講演内容を知り、連絡をした経緯が書かれていました。
お目にとめていただいたことに感謝です。

そのコンセプト通り、当日は和木町立和木中学校の生徒さんが進行されました。
人権作文の表彰式に続いて私の講演でした。

受付がはじまる前、音響のリハーサルをやっているとき、ステージ袖で講演の要約筆記をされる方4人が、パソコンに向かって作業をされていました。

人権講演会のリハーサル中の石川

要約筆記や手話を入れていただくときは、事前に講演の概要と歌詞をお送りしているのですが、歌のリハーサル中に、事前に送った歌詞の間違いに気づき、お願いして直接キーボードを使わせていただきました。
土壇場でお忙しいところ、こころよく替わっていただきました。ありがとうございました。

会場は、前の席は中学生生徒さん、その後ろが地域の方という並びでした。
皆さん消防現場のエピソードにはかなり興味をそそられたようで、退屈せずに最後までじっくりと聞いていただけたようでした。
音響も素晴らしくて気持ちよく歌えました。言葉がテーマでしたから、自分で作った歌詞をかみしめながら歌いました。
皆さんにも楽しんでいただけようで、緑の風も感じていただけたら嬉しいです。

和気町人権講演会のポスター
項 目内 容
講演会タイトル和木町人権のつどい
日 時2018/11/20(火)14:00~
演 題 救急現場が教えてくれた命の煌き ~言葉は心を伝えるためにある~
場 所山口県玖珂郡和木町和木2丁目1−1 和木町文化会館
主 催和木町人権施策推進協議会
共 催和木町・和木町教育委員会・岩国人権啓発活動地域ネットワーク協議会
人権講演会が始まる前の中学校体育館

生きていることの輝き【中学生に伝える】

私が講演で小学生、中学生、高校生にまず伝えたいのは、「命の大切さ」です。

小学生2人が建物の屋上から飛び降り自殺 などというニュースを目にすることがあります。
SNSに「誰か一緒に死んでくれる人いませんか」という書き込みが多いというショッキングなニュースも、何度も見ました。

消防士時代にたくさんの「死」に向き合ってきたからこそ伝えたいのは、
きれいな死なんてないよ
楽な死に方なんてないよ

ということです。

大切な家族が亡くなった時、残された家族はどんなに悲しむのか、ということも実際の現場で見てきた光景を話します。
一番大切なのは命だということを、皆さんに伝えに来ました。

現場で亡くなった人を見るたびに、生きていること自体がすごいことだと感じます。
夢が壊れても、悲しい出来事があっても、生きてさえいれば、またエネルギーを蓄えて、新しい夢を見つけることも、素晴らしい人と新しく出会うこともできます。

そして「感謝を伝える」ことが、相手だけではなく、自分の心も元気にしてくれるよ、ということも話しました。

これも、かつて私自身が勇気を出して、両親、妻、息子たちに「ありがとう」と伝えた経験を話しました。

講演の終わったあと、毎回何人もの生徒さんが、感謝のことばを口にしたり、メールで伝えたり、手紙を渡して伝えたりしたことを知らせていただきます。

2019年11月16日、鳥取県伯耆町の伯耆町立溝口中学校人権講演会で、そんな話を歌を交えて、中学生の生徒さんと保護者さんに伝えました。

溝口中学校の外観

2年前にも保護者と生徒が一緒に聞くという同じスタイルの講演をやりました。
その時の演題も今回と同じ「生きていることの輝き」でした。
担当していただいた先生が、前回と同じ話をしてやってくださいと、同じテーマを依頼されました。

当時の1年生が3年生になり、受け止め方も変化しているのではないかと思いました。

後日、先生が生徒さんの感想文を送ってくださいました。

プライバシーの問題もありますので、それぞれ部分的に抜粋してご紹介します。

溝口中学校講演会感想文

◆私は今まで家族や友人、自分のことを大切にしようとはあまり思いませんでした。
もし、自分が死んだら悲しむ人は、たくさんいることがわかったので、自分の命を大切にしようと思いました。
人生を大切に生きていきたいと思いました。

◆石川さんの消防の話は、とても悲しくて、心がしめつけられましたが、同時に心に深く刻みこまれました。
自分もこの先、たくさんの厚い壁にぶつかると思うので、えんりょせずに家族や信頼できる友人に悩みを相談したいとおもいました。

◆石川さんの講演は2回目でしたが、今日、私は命の大切さが以前よりもっとよく分かりました。
講演を聞いて特に私がしようと思ったことは「産んでくれてありがとう」と母に伝えるということです。1年生の時にも伝えましたが、もう一度伝えたくなりました。

◆私は石川さんのお話を聞くのは2回目で、1回目の時は恥ずかしくてお母さんに「産んでくれてありがとう」が言えなかったけれど、高校に進学する前に言いたいなと思いました。
石川さんの歌はとてもいい曲ばかりで、私は「梨のうた」が一番のお気に入りです。

◆すごいと思ったのは、歌です。3曲すべて良かったです。
僕も「産んでくれてありがとう」「育ててくれてありがとう」と思ったことはあるけど、それを親に伝えたことがないので、思いきって言いたいと思いました。伝えられないとしても、行動であらわしたいです。

◆石川さんの消防で体験したお話を聞いて、やっぱり消防士の人はすごいなと思いました。
亡くなった方の家族や友人が泣いている姿を見て胸がキュッとなるような感じになる、と聞いて、私も胸が痛くなりました。
改めて命の大切さが分かりました。

◆私は、石川さんの話を聞いて、せっかく親が産んでくれたのに、誰かの言葉で死んでしまいたいと思っている人や、亡くなっている人がいるので、苦しい事や、悩みごとがある時は、ずっと自分の心にしまっておくのではなくて、家族や、友達、先生などに言いたいです。

◆事故や火事で亡くなられた方の遺族は、残されてどんな気持ちになるのかということも分かりました。
バイクに乗っていて亡くなられた人の話が心に残っています。
梨の歌がとてもいい歌だなと思いました。

みんな長い長い感想文を書いてくれました。
予想以上に「歌がよかった」とか「歌詞の一言一言が響きました」と書いてくれた生徒さんが多かったのは嬉しかったですね。
最近の中・高校生だとヒップホップとかアイドルグループのリズミカルな曲が好みで、私のフォーク調の曲を聞いてくれるかと心配しましたが、逆に最近は生ギターの音に触れる機会が少ないのか、珍しがってくれたようです。

恥ずかしくて今は言えなくても、いつかは両親に「ありがとう」を伝えてくれることを祈っています。

項 目内 容
講演会タイトル溝口中学校人権講演会
日 時2019年11月16日(土)10:00~11:50
演 題「生きていることの輝き」
場 所鳥取県西伯郡伯耆町 伯耆町立溝口中学校
主 催伯耆町立 溝口中学校PTA
人権講演会中の体育館

何人の中学生が「ありがとう」を伝えてくれるだろうか(中学で人権講演会)

500人の中学生を前に、私が両親に「ありがとう」を伝えたエピソードを話しました。
全員が、講演の最後まで真剣に聴いてくれました。

2019年2月2日に、島根県松江市の松江市立第二中学校での人権講演会でした。

授業参観後の講演で、前列は生徒たちで、のの後ろには保護者さんと先生方が並び、一緒に聞いていただきました。

救急、災害現場で私が体験した、人が生きようとする力のすごさについて話し、なんでもない毎日が本当は尊い時間なんだということを歌をまじえて伝えました。

思えば、私自身が中学生の頃は、自分のことばかり考えていて、親の思いについて考えたことがありまりませんでした。
何かしてもらっても、それが当たり前だと思っていました。

月日が流れ、自分が親になっていろんな体験を重ねていき、やっと親の思いについて考えるようになりました。

大人になれば、もう悩んだり苦しんだりすることはなくなるのだと思っていました。
まさかいずれ自分が子どものことで心配したり、悩んだり、苦しんだりするなんて想像もできませんでした。

親も、いろんな思いをしているんだよ。
切ないほど君たちを愛して、大切に思っているんだよ。

そんなことを、生徒のみんなの両親にかわって伝えました。

中学生を前に講演する石川

「生んでくれてありがとう」
「育ててくれてありがとう」

思春期だとよけいに照れくさくて、素直に言葉にできません。

それでも、その恥ずかしさを乗り越えて、伝えて欲しい。
直接伝えるのが無理だったら、メールでも手紙でもいいから、
今はできなくて、それが数年先でもいいから、
いつかきっと伝えて欲しい。

松江第2中学校のみんなも、あの日帰ってから伝えた人、
伝えようと思いながらも、親の顔を見たら言い出せなかった人
もう少し大人になってから伝えようと思った人
さまざまだと思いますが、いつかは伝えたいと思いを持ってくれたらとてもうれしいなあ、と後日先生からメールで送っていただいた画像を見ながら思いました。

ステージから見ていると、生徒さんで涙を見せた人はごく一部でしたが、その後ろの保護者席では、ハンカチで涙を拭かれている方がたくさんいました。
心が動いてこその講演だと思っているので、それは素直に嬉しくて、講演にも力が入りました。
講演が終わったあと、保護者会役員さんや先生方からは、「泣くのを我慢するのがたいへんだった」というお言葉をいただきました。
そこは素直に泣いていただいてけっこうなんですが、男性は特に涙を見られたくないので我慢するんですね。

中学生を前に講演中に弾き語りをする石川

これからもたくさんの人に、命の大切さや、日常のありがたさ、心の病気の予防などを伝えていこうと、あらためて思った一日でした。
先生方に渡り廊下に運んでいただいた音響機材とギターを、そのまま忘れて車を出してしまいご心配をおかけしましたが、またいつかお会いしたいと思います。
皆さん、ありがとうございました。

翌月、人権担当の先生からお礼の文書と一緒に生徒さんの書いた感想文の一部のコピーも送っていただきました。
プライバシーのこともありますので、そのさらに一部を紹介します。

松江市立第二中学校講演感想文

(お礼文より抜粋)

生徒たちは様々な想いを持ちながら講演を聞いていたようです。また、保護者や教職員の中にも自分の家族に置き換えて考える方、家族の感謝を思い浮かべて心を熱くしていた方もいたようでした。

(生徒の感想文抜粋)

◆歌を歌っているときは、その歌詞に感動して心が熱くなりました。
そして、自分で自分の命をなくす自殺については、けっきょく死ぬのが怖くて、助かったときに生きていてよかったのだと思えるのだと思いました。
もし、自分がそういう状況になったとき、楽しいことを考えるようにしたいです。

◆今日の講演を聞いて私は、生きる力とはすばらしいものなんだとあらためて思いました。
わたしが一番心に残ったことは、言葉の力についてです。
人が笑顔、うれしくなるような言葉をかけてあげたいなと思います。

◆生きていることが幸せなんだということに今日気づきました。
石川さんのおかげで、自分の自殺したいという気持ちがうすまりました。
石川さんの各地の講演で、多くの人々が生きるって幸せだと気づいてくれたらうれしいです。

◆いつも私のために注意してくれる親への感謝の気持ちがいっぱいあるのに、口から出る言葉は違います。
今日、石川さんの話で親の気持ちがわかりました。
今日は言えないけど、今年中には自分の思っている事を親に伝えたいです。

項 目内 容
講演会タイトル松江市立第二中学校人権講演会
日 時2019年2月2日(土)
演 題「生きる力と言葉の力」
場 所島根県松江市西川津町 松江市立第二中学校
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