心の元気講演家 石川 達之ホームページ

人権教育

郡家西小学校で講演する石川

人生観が激変した現場体験を通して子育てと人権を

私の講演活動の話になりますが、小・中学校、高校で人権講演会をする機会が多くなりました。
生徒が対象のこともありますが、多くは保護者の方々が対象です。

「子育て」「人権」
一般的には、このふたつのテーマはそれぞれ別の単独の講演、研修会になります。

保護者が対象の講演会は、学校が人権参観日の日に開催されることが多く、主催される側からは、
「人権の話だけではなく、子育てについても話していただきたい」
というご要望がほとんどです。

私がよくお話するのは、
「人権意識は食卓から」ということです。

もちろん、学校などの外部で学んだり、自ら読書などで知識を得たりすることで、人権意識を高めることもあります。

しかし、大切な根本である家庭生活で、差別的な会話がいき交っていれば、幼い子どもの心に正しい人権意識が育まれるとは考えづらいのです。

親子の触れ合い方や会話の内容によって、偏見に固まらない柔軟な思考ができる子どもに育てることが可能になります。

郡家西小学校で講演する石川

10月1日に、八頭町立郡家西小学校の人権参観日で講演をさせていただきました。

演題は「救急現場で学んだ人生の大切なこと ~子育ては親育ち~」

例年は、他校の保護者、地域住民の参加もあるそうですが、今回は感染防止のためにそれらの方々には、収録したものを後日YouTubeで配信される予定とのことでした。

後日配信された講演動画の画面

子どもの心は純粋で、親の会話をよく聞いています。
親が建前と本音を使い分けることも、すぐに察知します。
だからこそ親として、日ごろの言動には注意したいものです。

ことあるごとに「人権教育」の場が設けられ、学習する機会も多いのですが、残念なことにコロナ禍になって差別的な事象があらわになりました。

夜になっても開けている飲食店に投石をしたり、誹謗中傷の張り紙をしたりする人の報道が相次いでありました。

私の住む鳥取県でも、駐車されていた県外車に投石したり、傷つけたりという事例もありました。
新型コロナに感染し、治癒したのちに登校したらいじめられたという報道もありました。

親がテレビニュースを見ながら、差別的なことを口にしたり、根拠もなく不安を煽り立てるような発言をしたりしていなければ、学校でそんな状況にならなかったのではないかと考えてしまうのは私だけでしょうか。

以前、東日本大震災後に、県外に移住した子どもが、「放射能がうつる」といじめられたというニュースも見ました。
それも根っこは同じように、家庭での会話が元になっているようにしか私には思えません。

郡家西小学校で講演する石川

私が消防士時代に出動した「自損行為」の救急現場で、忘れられないことがありました。

すでに亡くなった男性にしがみつきながらお母さんが泣いていました。
心の病気で家に引きこもっていた男性に、親戚の人が言葉をかけたそうです。
「お前はいつまで家でゴロゴロしているつもりなんだ! お前がしっかりと働いて家族を養わなきゃいかんだろが!」
そう叱責された後に、自ら死を選んでしまったそうです。

そんなふうに、不用意な言葉はたったひと言でも、人を死に追いやることがあります。
それが思い込みや無知識から出た言葉や、心無い差別から出た言葉であることもあります。

食卓で家族と過ごす時間に、どんな会話を交わすのかということはとても大切です。

そんなことを中心に話を進めました。

今年、2023年4月に「八頭町P連会報」に当日の講演のことを掲載していただきました。 その中に「参加、視聴された会員の感想」がありましたので、紹介させていただきます。

「八頭町P連会報」の写真

石川さんのお話は、「命」について考える機会となりました。 これまで自分は、「命の尊さ」「命の大切さ」についてあまり考えていなかったことに気づかせてもらいました。

方言交じりのお話と歌で、あっという間に時間が過ぎていました。 笑いがいっぱいの楽しい歌でスタートしましたが、後半は我が子が生まれてきてくれたことに感謝しながらお話を聞きました。

子供が何歳になろうと親子で思いを伝え合う・・・いつまで続けられるか分かりませんがやってみます。「子育ては親育ち」ですね。

参加、視聴していただいた皆様、ありがとうございました。

加東市の人権啓発情報誌に掲載された石川達之の紹介記事

「誰もが笑顔で働くために」社員研修会で人権講演会

1月になり、ようやく新型コロナウイルス感染状況が落ち着いてきたということで、1月20日は予定どおりにご依頼いただいていた「令和3年度加東市企業人権教育協議会第3回社員研修会」が開催決定され、今年の初講演会がやれると喜んでいました。

ところが、オミクロン株の感染がみるみる拡大したので、前の週に収録に変更する旨のご連絡をいただきました。

ニュースを見ていて、覚悟はしていたので、収録になったとはいえ、YouTubeとケーブルテレビでの放送であれば、多くの方に話を聞いていただけるので、気持ちを切り替えて、講演内容もじゃっかん変更して準備しました。

加東市役所の外観画像

広い加東市役所の大会議室で、観客はもちろんゼロで、ケーブルテレビの担当の方と、市役所の担当の方の前で講演をやりました。
当然、拍手も笑いもないわけなんですが、それでもテンションを落とさないでやりました。

内容は、ご要望いただいたので、人権と自殺予防に関してお話しました。
自損行為での救急出動のエピソードや、放火自殺現場で思い知らされたことについてお話しました。

そのひとつは、ふだんはどんなに元気で明るい人でも、自分ひとりで悩みごとを抱え込んでしまうと、心の病気になってしまうという実例です。
以前のその人からは想像もつかないような「放火自殺」という手段で、自分の人生にピリオドを打ってしまった私の友人の話です。

仕事の悩みや人間関係の悩みなど抱えている人はたくさんいますが、今はそれに加えてこのコロナ禍ですから、誰しもが日々の暮らしに暗いモヤのようなものが漂っているように感じているはずです。

以前なら人と会って話したり、スポーツで発散したりできたのに、それさえもできなくなったので、どうしてもストレス度は高くなります。
そんな日常でも、いや、そんな日常だからこそ心を元気に保つために、今の自分の幸せに目を向けることが大事になります。

風邪で熱をだしたときに、当たり前の日頃の健康の大切さを痛感するように、心が弱りそうになったときにこそ、大切な人がいてくれること、自分が健康で生きていることを、当たり前ではなく、とても幸せなことだと気づくきっかけにしたいものです。

そんな話を、救急現場、災害現場での体験とともにお話させていただきました。

加東市の人権啓発情報誌「夢☆きらめいて」(3月1日)に、講演のことを掲載していただきました。

加東市の人権啓発情報誌「夢☆きらめいて」(3月1日)の表紙
加東市の人権啓発情報誌「夢☆きらめいて」(3月1日)石川の講演会紹介ページ

(内容)

第3会社員研修会 第一部
講演「誰もが笑顔で働くために~消防現場で学んだこころの健康~」
石川達之さん

新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、加東市ケーブルテレビとYouTubeを利用して研修をしました。
悲惨な現場で活動したことで、日常生活がこんなにキラキラと輝いていることに気づくようになったことなど、32年間の消防士として数多く出動した交通事故、労働災害、自損行為現場での活動経験から、心の健康の重要性について歌を交えてご講演いただきました。

項 目内 容
講演会タイトル令和3年度加東市企業人権教育協議会第3回社員研修会
日 時2022年1月20日
演 題「誰もが笑顔で働くために  ~消防現場で学んだこころの健康~」
収録場所兵庫県加東市 加東市役所
放 送加東ケーブルビジョン放送、YouTube配信

オンライン講演会準備中の様子

オンライン講演会で「言葉の重みと命の大切さ」【人権講演会】

2020年11月16日(月)に、島根県松江市の松江市立女子高校人権講演会をオンラインでやりました。

コロナ禍ということもあり、最初に連絡をいただいた時点から 「ZOOMを使ったリモートで」というご依頼だったので、私自身もちょうどリモートで講演をやる環境を整えたいと思っていたときだったので二つ返事でお受けしました。

担当の先生は、前年に私が講演をした島根県立横田高校の先生から話を聞かれて、ぜひにとご依頼いただきました。

いわゆるコロナ警察による差別的な行為や、学校でも医療従事者の子どもが差別的なことを言われるなどのニュースが流れました。

数ヶ月前に、松江市内の高校の寮でクラスターが発生したことで、誹謗中傷の嫌がらせ電話が殺到したというようなことがありました。
先生方も、あらためて人権について学び、考え、気づく機会の必要性を強く感じておられたようです。

担当の先生と話し合い、演題は「言葉の重みと命の大切さ」としました。

リモート講演準備

島根県松江市の松江市立女子高校のオンライン講演会の準備をする石川の部屋

初めてリモートでやった講演で、かなりの時間を費やして準備しました。

普通の講演であれば、カメラの前でマイクに向かってしゃべればよいのですが、私の場合はかなり複雑になります。

・ギターの弾き語りが入る
ギターと声を別々で送る
・パワーポイントの画像と音声を送る
(一人で話す画面とパワーポイントを映しながら話す画面とを切り替える)
・パワーポイントの動画に入れているカラオケ音源を自分でモニターし、歌う音声も自分でモニターしながら歌う

細かく説明すると煩雑になりますので、興味のない方は飛ばしてください。

リモート講演用にミキサー、オーディオインターフェイスなどを購入し、ZOOMを使うPCとパワーポイントを使うPCとを別にしてやりました。

アシスタントがいないので、スイッチャーで画面を切り替えながら、音声の調整をし、歌うときはリバーブを入れ、パワーポイントをリモコン操作し、ギターを弾くという大忙しな作業でした。

12クラス前教室にリモート用のディスプレイが配備され、Wi-Fi環境が整ったのが10月後半ということで、本番まで一月もないという状態で、先生方も初めてのことでたいへんだったようです。

4回試験をやりましたが、試験をやる準備がたいへんで、教室間を連続移動して先生方はハアハア呼吸を乱されながら、
「お待たせしました。準備ができましたのでこれより」
という連絡を入れて来られました。

ZOOMが落ちずに無事に最後までやれるだろうか、という先生方の心配がこちらに伝わってきました。

ひたすら試験をくり返す

島根県松江市の松江市立女子高校のオンライン講演会の準備をする石川の部屋

こちらも、何かのミスで配信できなかったら、大切な授業時間がふいになるということなので、回線状況の不安や、機器の操作ミスの心配やらがありました。
さらに、ZOOM特有の画像の遅延という問題があり、音声と画像とのズレを最小化すべくいろいろと試みてみました。

心配だったので、学校との試験以外にも、宅内での試験だけではなく、友人数名にお願いして、違う環境下での試験を繰り返しました。

画像も、しゃべる音声も、歌とギターの音声もまずまずの高音質だという試験結果が得られたので、当日は講演に集中することができました。

オンライン講演会無事終了

島根県松江市の松江市立女子高校のオンライン講演会の準備をする石川のPCディスプレイ画像

リモートとはいえ講演中も、生徒さんの様子が見られ(全クラスというわけにはいきませんでしたが)、自宅の事務所兼作業場でやりながらもしっかりと講演モードでやれました。

講演終了後に、代表の生徒さんから感想と謝辞をいただき、トラブルなくやれ、最後まで聞いていただけたことに感激しました。

全終了後に、先生方と無事に終わったことを喜びあいました。

コロナ禍が終焉してくれて、ふたたび生の歌と話を聞いていただく日がくることを切望しておりますが、オンライン講演会は、今後もとても大切な選択肢だと感じました。

松江女子高校の生徒さん、先生方、ありがとうございました。

項 目内 容
講演会タイトル松江市立女子高等学校人権教育講演会
日 時令和2年11月16日(月)13:30~15:00
演 題「言葉の重みと命の大切さ」
場 所オンライン
主 催松江市立女子高等学校
長門市人権セミナーで話す石川達之

「命の尊さ」を伝えるエピソードを(長門市で人権講演会)

2018年12月2日、山口県長門市で開催されました「第3回長門市人権教育セミナー ~第39回日置地区あたたかいふるさとづくり研修大会~」で講師をつとめさせていただきました。

場所は日置農村環境改善センターの多目的ホールでした。
大きな会場で、たくさんの方の参加がありました。

「第3回長門市人権教育セミナーの会場風景

演題は「救急現場が教えてくれた命の輝き~言葉は心を伝えるためにある~」で、今回は心をあったかくしてもらいながら人権について考える時間にしていただこうと思いました。

「第3回長門市人権教育セミナー」講師石川のチラシ画像

長門市では初めての講演なので、どんな反応だろうかと楽しみにしながら登壇しました。
最初の自己紹介から大爆笑していただきました。

引き続き、消防士時代の現場エピソードでも、爆笑をいただきました。
救急隊員の本人はたいへんでも、外から見ると笑ってしまうようなことがあります。
私の話すエピソードはすべて実話ですが、後になれば笑えても、その時は本当に怖い思いをすることがありました。
そんな本音のエピソードを、自らが再現しました。

そして、私が人権についてより深く考えるようになるきっかけとなったエピソードを話しました。
救えなかった命
あえぎ、苦しみながらも生還した怪我人
家族の愛情が痛いほど伝わってくる現場の状況

現場で活動する隊員に、それらのすべてが理屈抜きで「命の尊さ」を突きつけてきました。

いくつものエピソードを話していると、たくさんの方が涙を流していました。

講演終了後、たくさんの方に声をかけられました。
「よかった、感動しました」と言ってくださる方や、
「CDはどこに行けば買えるのか?」と聞かれた方もいました。

知り合いの人が、友人をつれて見に来てくださっていました。
お友達に「とても感動しました。機会があればもっと聞きたい」と言っていただきました。

とてもありがたいです。
今回の講演会が実現したのも、担当の方にお聞きすると、
2年前に山口県美祢市であった山口県連合婦人会さんに呼んでいただいた講演会を、市の方が聞かれたことがきっかけだったそうです。

考えてみれば、みんないいご縁で次々に呼んでいただいています。
本当に感謝しかありません。

余談ですが、長門市は通過したことはありますが、観光で来たことがなかったので、前日に一泊して観光もしました。

途中、香月泰男美術館で、じっくりと作品を鑑賞しました。
インパクトのあった「シベリアシリーズ」の表現には心惹かれました。

香月泰男美術館外観

金子みすゞ記念館にも行き、パネル展示の文言もしっかりとすべて読みました。
切ない生涯を知り、今まで読んできた詩の感じ方も変わりました。

金子みすゞ記念館の金子みすゞのパネル
屋外に制作された金子みすゞの画像

街並みがとてもいい感じなので、何往復もしました。

講演に参加された方とお話もでき、長門市の文化にも触れることができて、とてもいい2日間でした。

長門市教育委員会の皆様、参加された皆様、お世話になりました。ありがとうございました。

項 目内 容
講演会タイトル第3回長門市人権教育セミナー 第39回日置地区あたたかいふるさとづくり研修大会
日 時2018/12/2(日)9:30~12:00
演 題「救急現場が教えてくれた命の輝き」 ~言葉は心を伝えるためにある~
場 所山口県長門市日置上5880-1 日置農村環境改善センター
主 催長門市教育委員会 長門市人権教育推進委員会
湯梨浜町報の石川達之の人権コンサートの紹介記事

「言葉にしないと伝わらない」人権コンサート

2015年2月25日、湯梨浜町で「人権トーク&コンサート」をやりました。
その時の内容を湯梨浜町報の「人権教育シリーズ」で取り上げていただきましたので、ご紹介します。

湯梨浜町報の「人権教育シリーズ」で取り上げられた石川の講演会記事

共に生きる 人権教育シリーズvol.34
湯梨浜町教育委員会生涯学習・人権推進課

地元ミュージシャンからの心温まるメッセージ

「『あなたは大切な存在、愛している-』。言葉にすると照れくさ いけれど、言葉にしないと相手に伝わりません」
2月5日、中央公民館で開催された「人権トーク&コンサート」で、講師の石川達之さん((長瀬中部)は、このように語られました。

消防署を早期退職し、コンサートや講演活動を展開されている石川さんは、奥さんがうつ病を患った際、どのように接すれば良いか悩んだ時期があったそうです。
しかし、さまざまな人からアド バイスをもらう中で、相手の存在価値を言葉にして伝えることが重要であると知った石川さんは「うつ病を患っている人に限らず、誰かが自分の存在を認めてくれるということは、辛いことや悲しいことを乗り越える力になります」と話されました。

また、消防署勤務時代の体験談も語った石川さん。
「事故現場に到着すると、息子と同い年ほどの小さな子どもが、すでに心肺停止の状態でした。冷静に処置しようと努めましたが、涙が止まりませんでした。帰宅し、息子を繰り返し抱きしめると、また涙がこぼれました。命は何ものにも代え難い尊いものだということを、理屈ではなく、心の底から湧き起こるように自然に感じました」と話され、最後にまあるいいのち」を歌って、会場を優しさあふれる歌声で包み込みました。

項 目内 容
講演会タイトル「思いやり その輪がつくる優しい社会」人権コンサート
日 時2015年2月25日
場 所鳥取県湯梨浜町龍島 湯梨浜町中央公民館
主 催湯梨浜町教育委員会生涯学習・人権推進課
人権講演会中の体育館

何人の中学生が「ありがとう」を伝えてくれるだろうか(中学で人権講演会)

500人の中学生を前に、私が両親に「ありがとう」を伝えたエピソードを話しました。
全員が、講演の最後まで真剣に聴いてくれました。

2019年2月2日に、島根県松江市の松江市立第二中学校での人権講演会でした。

授業参観後の講演で、前列は生徒たちで、のの後ろには保護者さんと先生方が並び、一緒に聞いていただきました。

救急、災害現場で私が体験した、人が生きようとする力のすごさについて話し、なんでもない毎日が本当は尊い時間なんだということを歌をまじえて伝えました。

思えば、私自身が中学生の頃は、自分のことばかり考えていて、親の思いについて考えたことがありまりませんでした。
何かしてもらっても、それが当たり前だと思っていました。

月日が流れ、自分が親になっていろんな体験を重ねていき、やっと親の思いについて考えるようになりました。

大人になれば、もう悩んだり苦しんだりすることはなくなるのだと思っていました。
まさかいずれ自分が子どものことで心配したり、悩んだり、苦しんだりするなんて想像もできませんでした。

親も、いろんな思いをしているんだよ。
切ないほど君たちを愛して、大切に思っているんだよ。

そんなことを、生徒のみんなの両親にかわって伝えました。

中学生を前に講演する石川

「生んでくれてありがとう」
「育ててくれてありがとう」

思春期だとよけいに照れくさくて、素直に言葉にできません。

それでも、その恥ずかしさを乗り越えて、伝えて欲しい。
直接伝えるのが無理だったら、メールでも手紙でもいいから、
今はできなくて、それが数年先でもいいから、
いつかきっと伝えて欲しい。

松江第2中学校のみんなも、あの日帰ってから伝えた人、
伝えようと思いながらも、親の顔を見たら言い出せなかった人
もう少し大人になってから伝えようと思った人
さまざまだと思いますが、いつかは伝えたいと思いを持ってくれたらとてもうれしいなあ、と後日先生からメールで送っていただいた画像を見ながら思いました。

ステージから見ていると、生徒さんで涙を見せた人はごく一部でしたが、その後ろの保護者席では、ハンカチで涙を拭かれている方がたくさんいました。
心が動いてこその講演だと思っているので、それは素直に嬉しくて、講演にも力が入りました。
講演が終わったあと、保護者会役員さんや先生方からは、「泣くのを我慢するのがたいへんだった」というお言葉をいただきました。
そこは素直に泣いていただいてけっこうなんですが、男性は特に涙を見られたくないので我慢するんですね。

中学生を前に講演中に弾き語りをする石川

これからもたくさんの人に、命の大切さや、日常のありがたさ、心の病気の予防などを伝えていこうと、あらためて思った一日でした。
先生方に渡り廊下に運んでいただいた音響機材とギターを、そのまま忘れて車を出してしまいご心配をおかけしましたが、またいつかお会いしたいと思います。
皆さん、ありがとうございました。

翌月、人権担当の先生からお礼の文書と一緒に生徒さんの書いた感想文の一部のコピーも送っていただきました。
プライバシーのこともありますので、そのさらに一部を紹介します。

松江市立第二中学校講演感想文

(お礼文より抜粋)

生徒たちは様々な想いを持ちながら講演を聞いていたようです。また、保護者や教職員の中にも自分の家族に置き換えて考える方、家族の感謝を思い浮かべて心を熱くしていた方もいたようでした。

(生徒の感想文抜粋)

◆歌を歌っているときは、その歌詞に感動して心が熱くなりました。
そして、自分で自分の命をなくす自殺については、けっきょく死ぬのが怖くて、助かったときに生きていてよかったのだと思えるのだと思いました。
もし、自分がそういう状況になったとき、楽しいことを考えるようにしたいです。

◆今日の講演を聞いて私は、生きる力とはすばらしいものなんだとあらためて思いました。
わたしが一番心に残ったことは、言葉の力についてです。
人が笑顔、うれしくなるような言葉をかけてあげたいなと思います。

◆生きていることが幸せなんだということに今日気づきました。
石川さんのおかげで、自分の自殺したいという気持ちがうすまりました。
石川さんの各地の講演で、多くの人々が生きるって幸せだと気づいてくれたらうれしいです。

◆いつも私のために注意してくれる親への感謝の気持ちがいっぱいあるのに、口から出る言葉は違います。
今日、石川さんの話で親の気持ちがわかりました。
今日は言えないけど、今年中には自分の思っている事を親に伝えたいです。

項 目内 容
講演会タイトル松江市立第二中学校人権講演会
日 時2019年2月2日(土)
演 題「生きる力と言葉の力」
場 所島根県松江市西川津町 松江市立第二中学校
松江市立福原会館の外観

そのひと言で救われる

言葉には大きな力があります。その力は、時に相手を傷つけることもありますが、同じくらいに救うこともできます。

8月5日(日)島根県松江市の福原会館で「みんなで学ぶ人権事業」の講演の中でそんな言葉の力についてお話させていただきました。

たったひと言で救われる

私たちは人間ですから、ときには気持ちが行き違うこともあるし、相手と思いがぶつかることもあります。

そんなとき、たったひと言の言葉が、ゆううつな心や悩んでいた心を救ってくれます。

例えば、「ごめんね」と謝ることで、気持ちが楽になったり、相手に対する思いを伝えて「好きだよ」と言うことで、相手を心を救うことができます。

心がふさいでいるとき、こころが重いとき、心がねじれてどうしようもないとき、本当は大切に思っているのに思わず心無い言葉を発してしまったとき、自分を責めて責めて苦しいとき…。 そんなとき、たったひと言、「大切だよ」という思いを言葉にするだけで、ずいぶん楽になることがあります。

思いやりと想像力のないひと言が死に向かわせることも

単純な言葉が、とても鋭い刃となって人の心に突き刺さり、命を捨てる決意をさせた自損行為の現場に出動したことがありました。

心の病気で自宅療養している人に、親戚の人が、

「いつまでここでゴロゴロしているつもりなんだ。お前が家族を養っていかなきゃいかんだろう。しっかりしろ!」

と言ったそうです。

そのしばらく後に、その人は自ら命を絶ってしまわれました。

「やっと元気になりかけていたのに、あの人が、あんな言葉をかけたせいでこんなことに」

亡骸にすがりながら、そう泣きながら語る家族の言葉に、救急隊員であった私の心もギューっと締めつけられました。

言葉には本来プラスの力がある

松江市立福原会館入口の人権講演会の案内板

講演で出会った方の中には、苦しみのどん底にいたときにかけられたたったひと言に救われたという人もいました。

どんなに小さな言葉でも、自分の心や相手の心を知ろうとする思いから生まれた言葉には、とても価値があります。言葉にして伝えることで、自分も相手も救われることがあります。

日常生活で、相手の気持ちを気にかけてあげて、それを言葉にしてあげることはとても大切なことです。

例えば、仕事でのミスやトラブルがあったときに、上司や同僚から「大丈夫だよ」「君のことを信じてるよ」と言われると、自分のやる気や自信が復活することがあります。

また、相手に対して謝罪の言葉を言うことで、相手の怒りや不快感を和らげることができます。

ふだんから、お互いに思いやりの言葉で励まし合うことができたら素晴らしいですね。

参加者からの感想

松江市立福原会館での講演会の感想文

会場には、高校生から年配の方まで、さまざまな年齢層の方が参加され、満席となりました。

アンケートを取りまとめた結果、多くの方から、言葉によって救われた経験があるというコメントをいただきました。

「生まれて来てくれてありがとう」という言葉をもらったことで、病気の家族に支えられたという人がいました。

また、いろいろな体験をしてきた中で、言葉で傷つけられたり、救われたりしたことが伝わってきました。

この講演の感想の一部を「参加者の声」のページに掲載しました。

言葉には日頃わたしたちが思っている以上の強い力があります。 そんな言葉を、人を傷つけることに使わないように気をつけ、自分自身や周りの人を笑顔にしたり、元気にしたり、幸せにするために使いましょう。

項 目内 容
講演会タイトルみんなで学ぶ人権授業講演会
日 時2018年8月5日(日)
演 題「生きていることの輝き ~知ってほしい言葉の力~」
場 所島根県松江市福原町 松江市立福原会館
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