昨年、2024年11月に溝口中学校での人権講演会に登壇する機会をいただきました。
中学1年生から3年生までの生徒たちと、その保護者の方々を前に、消防士として経験してきた「命の現場」での体験と、そこから学んだ家族の絆の大切さについてお話しさせていただきました。
溝口中学校での講演は3回目で、今回も生徒と保護者の方々の感想を送っていただきました。
その感想の一部をご紹介しますので、言葉の力、家族や友人への愛情の力について一緒に考えてみましょう。
命の現場からの報告
講演では、まず生徒たちに向けて、消防士として経験した現場での話をさせていただきました。
ガソリンの放火火災の消火後、火災原因調査で発見した焼死体が友人であった、という体験。
悲惨な交通事故現場で、失われてしまった若い命。
いつまでも続いていくと思われていた平穏な日常が、ふいに断ち切られる残酷さは、活動している消防士の心にも突き刺さります。
そんな現場は、人生で何が一番大切なのかを突きつけてきました。
それは、子育てにおいても大きな気づきと学びがある体験でした。
保護者の皆さんには、眼の前の悩み事で頭の中を埋め尽くすのではなく、親として日常の大切さにあらためて気づき、子どもとともに成長して行きましょうと、いくつかの悲しい事故事例をお話しました。
講演に歌があるから
講演の中で、お話するエピソードに沿ったオリジナルソングの弾き語りを入れていますが、今ヒットしているようなアップテンポのポピュラーソングでも、ヒップホップ調でもなく、レトロなフォーク調な曲なので、中学生や高校生が退屈しはしないだろうか、とちょっとだけ心配します。
ですが、毎回感想を読むと、しっかりと歌詞に耳を傾けて、メロディーを楽しんでいてくれていました。
・3年生
(今日の講演で印象に残ったことは何ですか?)
石川さんが、ギターやハーモニカで演奏しながら歌っていて面白かったし、いい歌だなとおもったこと。びっくりしました。
・3年生
(今日の講演で印象に残ったことは何ですか?)
一番印象に残っているのは4曲の歌です。全部自作なのがすごいなと思ったし、すごく面白かったです。
保護者の方も歌のことについて書かれた方が多くいらっしゃいました。
・保護者
(今日の講演で印象に残ったことは何ですか?)
一番印象に残っている事は歌です。
映像と一緒に拝見、お聞きすると、吸い込まれ「ぐっ」とくるものがありました。
感謝を伝えたい人、伝えた人
私の人権講演会のテーマのひとつである「感謝を伝える」に関しての感想もたくさんありました。
感謝を伝えた人もいれば、今まで考えたこともなかったが、私の講演をきっかけに伝えようと思うようになった方もたくさんいました。
そのごく一部の感想を紹介します。
・1年生
(感想をお願いします)
親に「産んでくれてありがとう」とか「育ててくれてありがとう」と直接言ったことはないけど、直接ではなくても、メールとか手紙で伝えたりできたらいいなと思いました。
・2年生
(今日の講演で印象に残ったことは何ですか?)
私も暴言ばっかりでお礼を言ったことがなかったので、いつか言いたいと思いました。
・3年生
(感想をお願いします)
石川さんの消防だったころの話を聞いて、とても分かりやすく、たくさん共感しました。
その話から、もし困ったり悩んだりしたら相談などができるようにしたいし、親に「ありがとう」と言えるようにしたいと思いました。
・3年生
(感想をお願いします)
石川さんの講演を聞いて、今生きていられていることは奇跡なんだとわかりました。
いつ事故にあうか分からないし、いつ自然災害が起こるか分からない、なので今「ありがとう」をしっかり伝えることが大切だと思いました。
・保護者
(感想をお願いします)
家に帰って、我が子に「生まれてくれてありがとう」と伝えたら、我が子からも「産んでくれてありがとう」と言われました。
我が子の素直さに教えられることが多々あります。まさに「親育て」です。
大切なメッセージをありがとうございました。
・保護者
(感想をお願いします)
「ありがとう」はお互いに恥ずかしいですが、普段から言葉にして伝えていくようにしていきたいです。
時々”グッ”ときて涙が出そうでした。「日々の幸せをかみしめ、一生懸命生きよう」と思いました。
・保護者
(感想をお願いします)
私自身も10歳で交通事故にあい、命がなくなってもおかしくありませんでした。
あれから30年以上生きて、我が子にも出会い、楽しい時間を過ごせていることに感謝します。
歌っていいですね。感動しました。
改めて親子の絆を再確認
感想文に多かったのは、改めて子どもの存在の大きさを再確認した、というような内容でした。
子育ての悩みが大きくなる子どもたちの思春期。
でも、それは子育ての歴史でもとても貴重な時期です。
振り返ってみれば、親が人として大きく成長した時期でした。
子どもたちは全身のエネルギーを使って親育てをしてくれています。
その時点では寂しさや、腹立たしさや、いろんな感情を経験しますが、子どもたちが成人して離れて暮らすようになると、宝物のような大切な思い出になります。
私自身、こんなふうに子どもたちの思春期の頃を思い出しながら文章を書いていると、思わず目がウルウルとしてきます。
暴言を吐かれたり、つれない態度で接されたこともありましたが、しっかりと自分自身や家族や友人の存在を大切にする社会人になってくれました。
講演に参加された保護者さん、生徒さんが、共に成長されることを願いながら感想文を何度も読み返しました。
こちらの記事も親子関係について書いています。
親としての自分を否定しないで【保育園保護者会講演会】
項 目 | 内 容 |
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タイトル | 伯耆町立溝口中学校人権講演会 |
日 時 | 2024年11月14日(木) |
場 所 | 鳥取県伯耆町 伯耆町立溝口中学校 |